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2022年09月08日

【今週の注目情報】「オンライン」が脳に与える知られざるダメージ

現在、学校でICT(情報通信技術)を積極活用する「GIGA(ギガ)スクール構想」が政府の肝いりで進んでいます。文科省はそれによって、「公正に個別最適化された教育によって、1人ひとりの資質や能力を伸ばす環境を実現する」ことを目指すそうですが…その効果はいかに?

東北大学の川島隆太教授は、独自の実験結果をもとに、オンラインは「脳の発達不全」「集中力低下」「学力低下」など脳へのダメージを招くと警鐘を鳴らしています。
以下その趣旨を『東洋経済オンライン:「オンライン」が脳に与える知られざるダメージ』より要約します。

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私の研究では他に「相手の気持ちを思いやりながら行動する」側面にも注目しています。対面でお互い顔を見ながらよいコミュニケーションがとれた場合には、お互いの脳活動が「同期する」という現象が起きます。

ところが、オンラインでは脳が「同期しない」という実験結果が出たのです。

これは、重要なことを示しています。脳活動が同期しないことは、脳にとっては、「オンラインでは、コミュニケーションになっていない」のです。オンラインコミュニケーションでは最低限の情報伝達はできても、「感情を共感する」までには至っていない、ということです。
私は、オンラインが拡大すればするほど孤立化が進んでしまう状況が、企業でも教育現場でも目立ってくることを恐れているのです。

<中略>

■読解・数学・理科では成績向上に影響がない
ICTを教育に導入したことがうまくいかなかったというエビデンスは、だいぶ前から世界中で報告されています。
OECD(経済協力開発機構)がおこなう学習到達度調査(PISA)は2015年、72カ国・地域の約54万人を対象として、コンピュータの利用が生徒の成績にどう影響しているか調べました。結果はこうです。

●ICTの教育への活用は、読解・数学・理科では成績向上に影響がない。

● ICTを授業であまり使わなくなった国では、ICTを平均的に使う国ぐによりも読解力が劇的に向上した。

● 学校にコンピュータの数が多い国ほど、数学の成績が下がる

● 学校でコンピュータを閲覧する時間が長いほど、読解力の成績が下がる

スマホを始めれば成績が下がり、手放せば成績が上がるというデータも明らかになっています。ICTを多用する公教育がこのまま広がれば、9割方の子どもたちが自分で考える力を失っても、何の不思議もありません。

現在多くの企業は、縮小する市場を勝ち抜く創造力を切望し、その源泉をオープンイノベーションに求めています。
そこでは、事業課題から社会課題まで扱われ、企業が社会に対する問題意識をもって発信するのも当たり前となっています(そこから新事業に繋がることも)。そのような最先端の創造も、インターネット・ICTだけで実現された例がありません。(「オンラインでは脳が同期しない=やり取りが成立しない」という事実から見れば必定。)

これが意味するところは、あくまで創造の本体は対面追求にあり、ICTは対面追求の充足度を促進する『情報共有の道具』だという事ではないでしょうか。人間に求められるのは理解・共有する力ではなく追求する力。そしてみんなと共有or追求したい中身があってこそ、ICTを使いこなせる
ICT教育とは、「資質が伸ばす」教育ではなく、それを使って何を共有するのか?という使う側=生徒や教師の資質が問われる教育なのかもしれません。

 

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