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2022年09月15日

おとなから解放され、生き返った子どもたちからのメッセージ「世界は広いぞ」「大人のことばを信じすぎるな」  

赤ちゃんは、この世の中にまっさらの状態で生まれてきます。そのときどきの環境やまわりの期待に合わせて生きていけるようになっています。それは人間が動物の中でも極めて弱い存在だから。生来そなわっている本能を超えたところで生きていくことがそれを突破する可能性だったからでしょう。だから、人間の赤ちゃんは、何にでもなれるように、何にもできない状態で生まれてきます。与えられる環境しだいで、可能性は無限大なんです。

そのように考えてみると、現在の子どもたちが生きる環境は、あまりに窮屈で、その可能性を潰してしまっているようでなりません。ここで紹介する2つの実話は、そのことに自ら気づき、大人たちから脱出できた子どもたちからのメッセージです。そこに共通するのは、いまの子どもたちは「世界はもっと広いのに、大人のことばを信じすぎている」ということです。 

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小幡和輝さん 起業家 28歳

学校に対する理不尽さが募る

僕は牛乳が大嫌いで飲めません。でも、小学校では毎日給食に出てきて、飲むことを強要されました。先生から、牛乳を飲まないと「身長が伸びない」「栄養が偏る」など色々なことを言われました。でも、僕はクラスで一番身長が高かったのです。運動も苦手で、逆上がりができないのに体育では練習を続けさせられました。

牛乳が飲めたから、逆上がりができたから、何の意味があるのだろう。嫌いなもの、苦手なものを強要される一方で、「この科目をもっと勉強していたい」と思っても、時間が来れば授業は終わってしまう。学校に対する理不尽さが募り、ちょっとずつ休みがちになりました。

小2の夏休み明け、クラスメートに殴られ不登校に

しかし、父親は学校の教師で、毎朝「登校する」「しない」を巡り、親子げんかになりました。勝手に決められたルールに従わされることが嫌だったのですが、教師である父親にはその「違和感」が分からなかったのだと思います。僕は逆に、なぜ行きたくない場所に行くことを強制されるのか分かりませんでした。行きたくない気持ちははっきりしているのに、行かないといけない。毎日絶望的な気持ちで学校に行っていました。この「不登校になりたくてもなれない時期」は、今思うと一番苦しく、つらい時期でした。

そんな状態の僕に「トドメ」をさす出来事が起こりました。小学2年の夏休み明けに、ボス的な存在のクラスメートに「ずる休みしているんじゃねえよ」「何で学校こねえんだよ」といきなり殴られたのです。親も「いじめられているのでは仕方ない」と、不登校を受け入れたようでした。その後、義務教育の大半はずっと不登校でした。

好きなものを一緒に追求できる仲間に出会うことができた

5歳年上のいとこも不登校で、毎日一緒にゲームをして過ごしました。1日に10時間くらいやる日もありましたし、不登校だった期間に累計3万時間はゲームに費やしたと思います。中学進学後も授業には行きませんでしたが、好きだった囲碁をやるため、放課後の囲碁部の活動には参加していました。囲碁やカードゲームは全国大会にも出場するほど強くなりました。

こうした活動を通じて、年齢や立場など関係ない、好きなものを一緒に追求できる仲間に出会うことができました。また、囲碁やゲームに勝つことで自信をつけることもできました。ようやく学校以外で、自分の居場所を見つけられた気がしました。

日本初のゲーム用のオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」を立ちあげ

カードゲームが強くなると、大会の運営を手伝うようになりました。ゲーム大会を企画したり、スタッフを務めたりもして、人間関係がどんどん広がりました。イベントに色々な人が集まり、様々な出会いが生まれることがうれしく、18歳の時にイベントを企画する会社を起業しました。2019年には、日本初のゲーム用のオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」を立ちあげました。

不登校だった時期に教科書を開いたことはありません。テレビのクイズ番組をよく見ていて、歴史系のゲームも好きでした。興味が広がり、歴史の本やドラマを見始めました。ゲムトレでは、子どもがゲームを通して、考える力を養ったり、集団プレーの中でコミュニケーション能力を高めたりすることを目指しています。現在の生徒数は約350人で、平均年齢は11歳。このうち半数ほどは不登校の子どもたちです。

子どもの頃の世界は狭くて小さい。「世界は広いぞ」

僕は、不登校で良かったと思っています。むしろ、あのまま学校にいっていたらどうなっていたか。ただ、学校に行かない方がいいとは思っておらず、人それぞれだと思います。

学校が合っている子もいますが、僕には、たまたま合っていなかった。同じような子どもたちには、「世界は広いぞ」と伝えたいです。子どもの頃の世界は人間関係とか評価とか本当に狭くて小さいし、どうでもいい。そこにとらわれ続けず、ほかの時間でめちゃくちゃ楽しいと思えることをいっぱいやってほしい。そして、僕にとってのゲームがそうだったように、自分を成長させてくれるものを見つけ、充実した人生を自分のペースで歩んでいってもらいたいです。

不登校の時期に熱中したゲームで自信、「世界は広いぞ」と伝えたい…小幡和輝さんより

 

植松努さん 植松電機社長 56歳

大人は「できない理由」しか教えてくれなかった

子どものころ、「飛行機やロケットに関わる仕事がしたい」と思ったところ、まわりの大人から「お前なんかにムリだ。できるわけない」とたくさん言われた。そんななかで、なぜチャレンジを続けることができたのか?それ、前に小学生にも質問されました。「どうしてだろう?」と自分でも思いました。ふり返ってみると、僕には相談できる人がいたんですね。

僕の相談相手は、伝記に書かれている人でした。実在の大人は、「できない理由」しか教えてくれなかった。「すごく頭がよくないとムリだ」、「お金もすごくかかるぞ」と。

大人たちの言うことを信じすぎている

しかも、こんなふうに否定してくる大人は、全員、飛行機やロケットをつくったことがない人たちでした。ところが、伝記を読めば、ライト兄弟など、実際につくった人が「こうやったらできるよ」と教えてくれます。何もやっていない大人ではなく、実際にやっている伝記のほうが真実だと思いました。僕は伝記の人たちに励まされて、生きてきたんです。

でも最近の中学生、高校生の相談を受けていると、彼らはまわりの大人の言うことを信じすぎているように思います。もっといろんなものを読んだり、見たりすればいいのに。みんなまじめなのか、見ている世界が狭いんじゃないかなという気がするんです。

素直でまじめで勤勉な人はロボットに負ける

もちろん子どもたちが悪いんじゃないですよ。大人たちの問題です。大人たちがつくりあげた今の学校教育制度では、素直でまじめで勤勉な人を育成しようとしていますね。でもそれは、ロボットに100%負ける人です。

僕は、この世のすべての仕事というのは、本来は困ったこと、悲しいこと、苦しいことの解決であってほしいと思っています。でも優しさがないと、この3つを見落とすことになります。今、日本は、優しい人を増やす必要があると、すごく思っているんです。

役に立った、助けることができた経験は人を元気にする

僕は、自信を失った人(会社を辞めた人)たちに小さなロケットのつくり方を覚えてもらう機会をつくりました。そのロケットを持って、近くの小学校へロケットのつくり方を教えに行ってもらうんです。

会社とかで、さんざんやっつけられて、「自分なんかダメだ」と思っている人たちが、子どもたちをサポートするわけです。子どものつくったロケットが飛んで行って、子どもの喜ぶ顔を見ると、なんだかサポートしている人の自信が増えていくんですよ。自分が役に立った、誰かを助けることができた経験は、人を元気にするんだなと気づいたんです。だから僕はロケット教室をあちこちでトライしています。

「できるわけないと思うようなことが、できるようになったら、自信が増えるかな」

一番最初にロケットを使った授業をさせてほしいとお願いしたのは、娘のクラスでした。うちの娘のクラスは、16人しかいなかったんですが、そこで学級崩壊が起きていました。先週いじめをしていた人が、今週はいじめられるみたいな感じで、全員ローテーションでいじめられていたんです。しかも、すごく陰湿なんですよ。「なんでこんなことになるのだろう。ひょっとしたら、この子たちは自信がないのかな」と思ったんです。この子たちの自信を増やすにはどうしたらよいか考えました。

そして、「できるわけないと思うようなことが、できるようになったら、自信が増えるかな」と思って、ロケットを持って教室へ行きたいと言ったんです。そしたら、娘の担任の先生に怒られました。「このクラスの子どもたちは、みんな能力が低いんです。ロケットなんか、つくれるわけがないんです」と言われました。いや、うちの娘、そこにいるんだけどね(笑)。

「みんな好きにつくっていいから」

実際にロケットの授業ができることになって、教室へ行ってみると、その先生がすべて仕切るんですよ。「はい、この表を見なさい。部品番号を調べなさい。勝手なことをするんじゃない。まだ袋を開けるんじゃない」とか言っている。僕は先生、それはやめてくださいとお願いしました。それから子どもたちに言いました。「みんな好きにつくっていいから。わかんなかったら、わかってそうな人に聞けばいいから。わかったら、わかってなさそうな人に教えればいいたったそれだけです。予備部品を山ほど持ってきたから、好きにつくっていいよ」と。そうしたら、みんなどんどん勝手につくっていくんですね。

飛んだら、子どもの表情は変わりますね。そしたら学級崩壊はおさまっちゃった。

つくり終わったロケットを飛ばすときには、みんな「自分から飛ばしたい」と我先に並ぶんです。「風向きを見るために、ためしに1本飛ばしてみるね」と言って、1本、私が打ち上げます。時速200キロを超えるロケットがバーっと100メートル上空まで一気に上がって、それからパラシュートを開いてゆっくり降りてきます。それを見て、みんなの顔がまた曇っちゃうんですね。「あんな飛ぶとは思わなかった」と。そして「自分のはダメだ、絶対飛ばない」と言うんです。列も逆になってしまう。「君からどうぞ」と譲り合うんです。

でもね、飛ぶんです。飛ぶように、ちゃんと僕らが見ていますから。飛んだら、子どもの表情は変わりますね。そして、そのあと学級崩壊がおさまっちゃったんですよ。みんな仲よくなることができました。

「できなかったことができた」という経験は「比べなくてよい自信」になる

学校でも社会でも、今、すごく問題になっているのは、「比べる自信」だと思います。小さいときからお兄ちゃん・お姉ちゃんと比べられたり、ほかの子どもと比べられたり、ずっとしてきたわけじゃないですか。だからつねに他人に対する劣等感か優等感で自分の気持ちを維持している。それは絶対苦しいですよね。けれども、「できなかったことができた」という経験は、「比べなくてよい自信」になるんですよ。「あんなに高くロケットを飛ばすなんて私にはムリ」と思っていたことが、ちゃんとできた。そうした体験だけが、きっと比べない自信を生むんです。

人と比べられる世の中。子どもたちに必要なのは「人と比べない自信」(不登校新聞)より

 

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