2022年10月07日
【今週の注目情報】思考の枠を突き抜ける!ムーンショット思考
近年、壮大な夢や目標こそが人々を奮い立たせ、現実の困難な問題を解決することに繋がるという考えが広がりつつあるようです。
それは「ムーンショット思考」と呼ばれ、「デザイン思考」に代わる思考法として注目を集めています。
■“ムーンショット”とは?
スタンフォード大学のWilliam Cockayne教授によると、
ムーンショットとは、未来社会の困難な課題を解決するためのほとんど不可能と思われるような挑戦的目標であり、それらの夢を実現するための多様な創意工夫とその実行、さらなる改革、技術革新である。
とのことですが、効果やいかに?いくつか具体的な事例から見てみましょう。
「世界初のLuxury groupをつくる」という大きな目標を立て、その実現に向けて様々な活動や買収を実行。
最終的に、6事業にまたがって、「クリスチャン・ディオール」、「プラダ」、「モエ・エ・シャンドン」、「マーク・ジェイコブス・ビューティ」、「ティファニー」など75もの高級ブランドを保有する世界有数の大企業へと発展した。
時価総額は2021年現在、2,645億5,000万ユーロ(約34兆1,270億円)で、ヨーロッパで最も企業価値の高い企業として発展し続けている。
(参考:世界最大のファッショングループLVMHとは?気になる傘下ブランドは?)
一事業を超えた大きな課題を一つの会社で実現するのは不可能。ムーンショットが、企業間の共創や共同・一体化を推し進めてゆく原動力になっているようです。
また、現CEOベルナール・アルノー氏によると、
この最大の利点は、最も優れた人々を採用できることである
とあるように、その大きな志や推進力に優秀な人材が集まるという効果もあるようです。
・Alphabet(Googleの親会社)研究機関「X」
Xが目指すムーンショットの定義は「Huge Problem」「Radical Solution」「Breakthrough Technology」の3つです。
解決すれば多くの人の生活などが改善される大規模な問題に対し、現代の技術を進展させて抜本的な解決を可能にする研究を目指しています。
本業とは関係のない事業がほとんどで、その内容や分野は多岐にわたります。
実験や検証などを重ね、ビジネスとしてある程度の効果が実証され、実用化できるような状態になったら研究機関Xから卒業し、Alphabet社の子会社または独立して事業を継続します。Xから卒業を果たした代表的なプロジェクトは以下のとおりです。
- Waymo(自動運転の自動車の開発)
- Wing(無人ドローンによる配送)
- Veriy(ライフサイエンスの研究)
(参考:ムーンショットの意味や由来は?シリコンバレーや日本の事例、目指すメリットを解説)
■枠を突き抜けるムーンショット
不可能に近いような突拍子も無いアイディアを設定して、その実現に向けて、創意工夫、技術革新のストーリーを作り、それを実行していくムーンショット。
こうだったらいいな!と思える社会課題を設定するからこそ、本業、顧客の期待、一企業の枠を超えた新しい発想や出会えなかったような人脈にふれ、あらゆる課題を実現に導く力を蓄積してゆける。(デザイン思考は、思考に顧客対象の枠が残る)
ムーンショットは、いわば思考の解放装置であり、共創の加速器にもなる思考・戦略なのかもしれません。
また、世界のトップ企業がそこに力を注いでいるということは、一企業では答えを出せないような難題に他企業を巻き込んで挑戦してこそ、企業の活力や成果を最大に引き出し勝って行ける時代だという事ではないでしょうか。
- posted by moriaki at : 20:37 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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