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2022年12月10日

巨大IT企業も競争から共創へ

先の投稿記事に続いて今回も「共創」をテーマにしてみたいと思います。

ITビジネスの世界をイメージするなら「競争」でしょう。ライバルよりも先を行き、相手を叩き伏せないと自社がやられる――そんな業界です。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの右腕だったスティーブ・バルマー元CEOはそんな業界のシンボルでした。ライバル企業の業績が好調だと聞けば、デスクを全力で叩き、部下たちに、相手企業の息の根を止めろ!と顔を真っ赤にして怒りを隠さないような人でした。

そんな競争激しいIT業界である変化の兆しが見はじめています。それは「共創」。「他社はライバルである」から「他社も共に創造する仲間」という変化です。

その先陣を切っているのがメタ社。この社名に聞きなれない人もいるかもしれませんが、フェイスブックをやっている会社といえば分かっていただけるでしょうか(※以前はその名の通り「フェイスブック」が社名でしたが2021年に変更しました。商品・サービス名としてのフェイスブックはそのままです)。

メタ社は今年のカンファレンス(企業の事業説明会)でこう言っています。

「メタバースは特定企業が単独で構築できるものではない。本エキスポには産業界、開発者、クリエーター、関係省庁の方々に集結いただいた。メタバースを共に創っていく第一歩としたい」(同社日本法人代表・味澤将宏氏)

この発言にある「メタバース」。この言葉をどこかで聞いたり、見たりしたことはありませんか。メタバースとは、同社のSNSサービス「フェイスブック」とともに、今後ビジネスの主力にしていきたいと考えている商品名です(メタ社の名前の由来はここにあります)。

その中身はというと、ネット上に仮想空間をつくって、人々にそこでさまざまな活動をしてもらおう、というものです。フェイスブックの儲けのほとんどは広告ですから、メタ社はおそらくメタバースでも広告収益を事業の柱に考えているのだと思います。

仮想空間であるメタバースの中で、人々は自分の分身(これを「アバター」といいます)を作成する。また企業やその他の組織(例えば行政とか)も仮想空間でアバターをつくり、そこで活動する。仮想空間では現実空間と同様の活動ができるというものです。VR(バーチャル・リアリティー)の機器を使って、遠く離れた知人や友人と仮想空間でスポーツを楽しんだり、仕事をしたりということが可能になります。言葉で書くと何だかふわふわした感じですが、実際に実現したら社会のあらゆる事象が仮想空間に移され、世界ががらりと一変するのではないかと見られるテクノロジーです。

そんな将来性のあるアイデアや技術をメタ社は独自で事業展開をしないのでしょうか。ファイスブックのサービスは自社だけでやっているのに。

自社だけでできない理由は、世界そのものを取り込んでいこうとすると、いくら巨大企業のメタ社といえども、人材、開発力、時間などが全く足りない、間に合わないためです。と同時に、メタ社一社だけの考えを反映させた世界は、正しい世界とはいえない。世界とは、微小なものから大きなものを含めて、多種多様な生き物・事象で成り立っています。人種だけに限っても、この世界にはさまざまな人たちがいます。それを無視して、例えばある人種だけがいる世界は、正しい世界を反映しているといえるでしょうか。

世界的規模のビジネスを遂行するにはもはや企業一社だけではできない。また、できたとしても、その企業だけの利益追求ならば、人々はそっぽを向くでしょう。なぜなら、現代は、インターネットで世界中の人々がつながって情報をやりとりし、価値を判断し合う社会だからです。多種多様な立場の人々を尊重しないようなものには世界中から否認され、評価されないようになってきています。仮想空間であるメタバースが先進的なものであればあるほど、共創になるというのは自明なことです。

アップルやグーグルに並ぶ先端IT企業のフェイスブック(メタ社)が競争ではなく、共創の方向に歩を進めているというのは、これからの時代潮流を読む大きなヒントになるのではないでしょうか。

この事例をきっかけに共創について考えていただければ、と思います。

 

 

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