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2023年02月17日

『学びの行方』~不登校児の異常な急増。学校は見捨てられたのか~

◆増え続ける不登校児数
小・中学校の生徒数が減少しているにもかかわらず、令和3年度は不登校児数が24万4940人と前年度から4万8813人増で9年連続で増加し過去最多を記録しています。
10年前と比較すると小学生は3.6倍、中学生は1.7倍増となっており、不登校の内訳は小学校が8万1498人(前年比28.6%増)、中学生が16万3442人(同23.1%増)で増加率も過去最大値となっています。

ただ、実数としては中学生が小学生の2倍以上多くなっています。これは成績や受験といった問題も関係しているのではないでしょうか。

不登校の大きな要因は小中学校を通して「本人の無気力・不安」が最も多く半数に上っています。
上記の数値をみても不登校の生徒は、もはや現代では特殊事例ではなく、ごく当たり前に起きている事象であることがいえます。
次世代をになっていく“子どもたち”の今後の可能性を探索するためにも現状を明らかにし、可能性を見出す記事にしたいと考えています。

◆子どもたちの活力不全の原因はなにか
「勉強しようという気持ちがわかない」という思いは、2019 年(45.1%)→2020 年(50.7%)→2021 年(54.3%)となっており年々上昇しています。
※データは小学 4 年生から高校 3 年生のもの(子ども自身による回答結果)

ここで重要なのは「学ぶ中身」が問題なのか「学び方」が問題なのか。前者であればそもそも5教科といった勉強に興味を示さない、勉強内容自体が面白くないといった問題になり、後者であれば、従来通りの学校というシステムが現代の子どもたちにそぐわないという問題になります。

「学ぶ」は「真似ぶ」といわれるように本来、赤ちゃんのときから周囲の人を真似て様々なことができるようになっていきます。それは大人の「仕事の技術を上げたい」「語学力を高めたい」という感覚とも一貫している気がします。

◆社会が求める新たな潮流
そこで机の上の学習ではなく「現実課題」である職場体験や自然体験に焦点を当てました。
〈仕事を体験する”職場体験”〉
生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動である「職場体験」。
文部科学省は職場体験の意義を

「職場体験には、生徒が直接働く人と接することにより、また、実際的な知識や技術・技能に触れることを通して、学ぶことの意義や働くことの意義を理解し、生きることの尊さを実感させることが求められています。また、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など培うことのできる教育活動として、重要な意味を持っています。」
としているように、働くこと、働くための学びに意義を見出すこと。つまり何のために学ぶのかを明確にすること。そして進路選択をすることを求められています。

実際にそれらの意義が求められてか、公立中学校における職場体験の実施状況は、2004年度の実施率が89.7%であったのに対し、2017年度には98.6%と、職場体験の実施校は常に増加傾向にあります。その結果、職場体験が生徒の進路や仕事に対するイメージが明確になり意欲を向上させ、 進学についても自主的に考えるようになる。さらに、職場体験後も効果が持続することが確認されています。

〈五感を刺激する”自然体験”〉
集中力や発想力、問題解決力、身体能力など、子供たちのたくさんの力を育むと言われる「自然体験」。実際の調査結果として、自然体験を多く経験した子供の方が、自己肯定感や道徳観・正義感が高い傾向があります。

また、自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがある小中学生のほうが、「全国学力調査」での理科の平均正答率が10%以上も高いというデータがあります。
さらには、「自然に触れる体験をしたあと、勉強に対してやる気が出る子どもが増える」という調査結果もあります。

このことから、「自然体験」というと、子供の人間としての成長が着目されがちですが、実は学習面の意欲・能力の向上にも大きな効果があることがわかります。
その効果が認められてか、文部科学省の調査によると、公立学校における農山漁村での体験活動の実施状況は、2016年度→2021年度で、小学校では23.1%→34.0%、中学校では11.5%→13.3%と、新型コロナウイルスの流行があったにも関わらず、増加しています。

◆現実課題が活力再生の場になるのか
無味乾燥的な机上の“勉強”ではなく、現実課題に向き合い取り組むことで、対象が広がることで子どもたちは”学ぶ”意味が分かり、意欲や興味が上昇する。その結果学力向上にもつながっている。

この結果は5科目等の「学ぶ中身」が面白くないのではなく、根本的な「学び方」によって子どもたちの意欲・興味関心は左右されるということではないでしょうか。
だからこそ、子どもたちは学校に「行けない」のではなく「行かない」という選択を取りつつある。
これは、子どもだけの問題ではなく大人・社会側の問題として捉えて、現在の子どもたちは何を求めているのか、欲しているのかに耳を澄まし、追求し続け答えを出すことが求められます。

参照
・文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行為・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』」https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_1.pdf
・東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト『子どもの生活と学びに関する親子調査 』
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400186362.pdf
・文部科学省『職場体験・インターンシップ実施状況等調査結果』、https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1340402.htm
・山田智之氏『職場体験に よる中学生の 進路成熟及び 自律的高校進学動機の 変容と影響要因』https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssce/30/1/30_KJ00007475613/_pdf/-char/ja
・文部科学省『農山漁村体験活動実施状況等調査結果』
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/kidstaiken/pdf/kopuro_jisseki_r3.pdf
・独立行政法人国立青少年教育振興機構『青少年の体験活動等に関する実態調査(平成28年度調査)』https://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/137/File/12_report1.pdf
・内閣府https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/b1_03_02.html

 

 

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