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2017年04月27日

飲食店の常識を覆す未来食堂 ①偏食家が生み出す食の充足

今年の3月30日に「カンブリア宮殿」というTV番組に「未来食堂」が紹介されていました。様々な利用者が「食」を通じて、ゆるやかなつながりを作っていく新しい取組みだと思いましたので、紹介します。場所は東京都千代田区一ツ橋のオフィス街で、小林せかいさんという女性が一人で切り盛りしています。小林さんは、大阪府出身で神戸女学院高校から東京工業大学に進学。そして、卒業後は、日本IBM、クックパッドでエンジニアとして働いた後に、サイゼリヤや、オリジン弁当などで経験や知識を積み、未来食堂を始めました。

TVで取り上げられたポイントは
①独特のメニュー ②「まかない」というお手伝いシステム ③情報公開  でした。
今週は、そのうちの ①の独特のメニュー を紹介します。

写真はコチラからお借りしました

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① 独特のメニュー

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昼のメニューは日替わり定食の一つだけ。夕方からは「あつらえ」という方式があります。この方式は、定食にプラス400円支払えば、その日、お店にある食材と調味料が記されている一覧表を見て、食材を選び(2品まで)、自分が食べたいものをオーダーすることができるシステム。店側がおいしさを提案するのではなく、お客さんが今、一番食べたいものと向き合い、一緒に作り上げていく。それが未来食堂の一番のコンセプト。小林さんが、この「あつらえ」という仕組みを考えた原点は、自身の偏食だという。

「例えば大学1年の時は1年間、ざるそばとシリアルしか食べなかった。また、社会人になったばかりのころは、毎食ヨーグルトだけ。私は『これがおいしい』と思うものを、ずっと食べ続ける性格で…。それが人を不安にさせるわけです。例えば誰かと一緒に食事をすると必ず『大丈夫? ちゃんと食べた方がいいよ』と言われてしまう。自分では”ふつう”と思っている事が人を心配させてしまう。そしてその心配が、妙な”その場に居づらい”感覚を生む。私はただ、一緒に食事をしたいだけなのに…。
そうではなく、それぞれの人が食べたいと思うものを一緒に食べられる場。その人が必要としているものが、分け隔てなく差し出される場を作りたい。あつらえというコンセプトを考えた背景には、そんな思いがありました」(小林せかい氏)

そんな彼女は飲食を提供しながら「”おいしいもの”に興味はない」と言い切る!おいしさを追求するモチベーションは、一切ないらしい。一体なぜ?

「おいしさとは文化ではあるけれど、消費をただ繰り返すような、どこか醜い一面があると思っています。だから私は『おいしいからお店に来て』とは誰にも決して言いません。そう言ってしまうと、お店側が”おいしさ”をアピールする従来の在り方とおなじになってしまうからです。また、例えばお米や食材の産地なども、いっさい口外しません。店側の”○○産だからおいしい”というプレゼンは、店側のおいしさを押し付けているわけです。それでは従来の飲食店と何も変わらない。」(小林せかい氏)

彼女にとっての“消費されるおいしさ”を象徴する出来事が、以前に在職していた会社にあったのです。

「その会社は社内にキッチンがあり、そこで社員が自炊するんです。ある時、女性二人がパスタランチを作り、きれいに盛り付けて食べていた。それを見た時『なんて貧しい食事なんだろう』という思いがぬぐえなかった。自分達だけのためにご飯を作り、自分達だけで食べる。それが凝ったものであるほど、貧しく思えてしまう。その会社は非常に生産性が高い。つまり、すごく忙しいんです。そのため、ご飯を食べる時間がない人もたくさんいました。その事実に対して存在する、決して誰にも分けることができず、いっさい他者を寄せつけない盛りつけ感。それがとても悲しく思えました」(小林せかい氏)

そんなランチの風景を垣間見、”誰もやっていないのなら自分がやるしかない”と、小林さんは入社してすぐのころから、多くの人に昼食をふるまっていた。大鍋で豚汁を作り、ご飯を炊き、それを書いたメニューを持ってフロア中を練り歩くと、多くの人が集まった。

「初めは、誰だこいつは?という目で見られるのですが、最終的にはフロアにいる人の約半分が来て、部屋がいっぱいになりました。それが、普段会話することのない人達同士が出会う、いい機会になっていた。正直、そこまで人が集まったのは計算外でした。なぜなら豚汁もご飯も、ごく普通の味。終業時間前の限られた時間で作るから何一つ凝らなかったし、おかずすらろくにない。そんなメニューでしたから。
でも、その時に思ったんです。『この人達は、ただおいしさを求めて集まっているわけではない。食事はおいしさが全てじゃない。食事には、おいしさとは別の存在意義がある』って。正直今も、それが何なのか言語化できてはいません。多くの人が来てくれた理由も、今でもわかりません。
確かに子供のころから、将来何かしらのお店をやりたいとは思っていましたが、偏食だから飲食店はぜんぜん考えなかった。でも、この時にたくさんの人にご飯をふるまって思ったんです。自分にもできる飲食店があるんじゃないか、偏食だった自分だからこそできる飲食店があるんじゃないか、って」(小林せかい氏)

「同じ釜のメシを食った」と仲間を表現する言葉があります。本能である食を満たす充足と、皆と一緒の行動をする共認充足の両方を満たすものが、一緒にメシを作り食う行為です。偏食家で人と同じ食事がしづらい小林さんだからこそ、一緒に食事する喜びを人一倍感じたと野田と思います。同じ充足を共有することで人がつながっていくことに着目して「未来食堂」がスタートします。

次回は、②まかないというお手伝いシステム を紹介します。

参考:未来食堂
参考:日本のマーケター

 

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