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2018年12月26日

少子化、クルマ離れの中で抜きん出る南部自動車学校② ~”おだてる” じゃない ! ”ほめる”教習

南部自動車学校創業50周年を迎えた2012年に加藤光一社長は「三種の神器」を打ち出しました。
一つは前回取り上げた「担任制」ですが、第二は「ほめる教習」でした。今回も「『人』財経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から「南部自動車学校」の取組みを紹介します。

「ほめる」というと、苦虫をつぶしたような顔する人がいます。「ほめる≒おだてる」と勘違いしているからでしょう。そしてそういう人は、どちらかというと「叱り飛ばして、その反発をエネルギーにしてやる気を引き出す」というやり方を好むようですが、それは私権時代の活力を前提にした古いやり方かもしれません。今は若者でも活力を生み出すことから始める必要があるからです。その一つの手法として加藤社長は「ほめる(=認める)」こと推奨してきたのです。

加藤社長が生徒をほめようと考えた理由の一つに深刻な若者の車離れがあります。

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経済的要因:そもそも自動車を購入・維持できない。
意識の変化:自動車に魅力を感じないため、所有する理由・メリットを見出せない。

若者の車離れについては、1970年代に豊かさが実現して以降、ライフスタイルや価値観の変化も含めて、様々な要因が指摘されています。

「言えるのは、積極的に免許を取りたいということではなく、社会人になれば必要とされるから仕方なく取っておくという若者が多いのは間違いない」と加藤社長は見ている。

「電車やバスなど公共交通機関が整備されている都会と違って、地方では車がなければ日常生活に不自由します。だから車にそれほど関心はないけれど、免許がなければ困るということで来られる生徒さんも少なくありません」(加藤社長)

このような意識が生徒のやる気に影響を及ぼす。指導員がいくら熱心に指導してもなかなか運転技能が向上しないケースも出てきます。だからこそ、ほめてやる気を引き出そうとしたのです。

「ほめる=認める」であり、認められれば運転が楽しくなるという考え方です。イソップ寓話の「北風と太陽」のように、物事に対して厳罰で臨む態度(北風)のではなく、寛容的に対応する態度(太陽)をしていこうというもの。
南部自動車学校では、ほめる技術を向上させるために毎日の朝礼で「ほめるロール・プレイング」もしている。誰かが誰かのどんな些細なことでもいいから、徹底的にほめるという練習です。

ほめることがヒトを育てると加藤社長は強調するが、ほめることによってどのような効果が生まれるのでしょうか。加藤社長は次のような点を挙げています。

・ほめると、相手が成長する
・ほめると、相手との良好な関係を築くことが出来る
・ほめると、人間力が上がる
・ほめると、感動に出会える

経営の現場では「ほめる≒甘やかす」になると捉える向きもある。しかし、加藤社長は挨拶、感謝、笑顔、そして「ほめる」を重視している。

「ほめなければ、本来伸びる人間も伸ばすことができないと思うのです」(加藤社長)

叱られた人間は叱られたところだけ直そうとする。次は叱られないように、と。つまりマイナス思考になりがちだ、というのです。
まず頑張っていることを認めて、ほめる。その上でどこをどう直せばいいのか、アドバイスすれば、アドバイスされた所以外も直すようになる。こちらはプラス思考だ。これが加藤の言う「ほめると相手が成長する」ということだ。

「ほめると人間力が上がる」は例えばある行動を見たとき、それをすごいと思い、「すごい」と口に出せるようになるためには、絶えず言葉を意識しておく必要がある。観察眼も鋭くなくてはいけない。この姿勢が、ほめる側の人間力を高めるという。

「そして人をほめた結果は感動という形で返ってきます。ほめた本人の成長にも繋がっていくし、人を惹き付ける力にもなります。人脈やネットワークも広がっていく。だからほめることを実践して欲しいんです」(加藤社長)

「ほめる≒認める」であり、さらに「評価する」にもつながります。加藤社長が捉えた自動車業界の「活力のなさ」は実は社会全般にもつながる状況であり、「活力再生」はどの業界でも待ったなしの課題。その第一歩が人と人とのつながり≒充足を生み出すこと。そして加藤社長が提起する「挨拶」「感謝」「笑顔」「ほめる」という基本的な人間関係の基礎作りが、具体的な手法だと考えます。

 

 

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