2009年08月12日
銀行ってなんだろうか?
もうすぐお盆休みですね。
「仕事がなくて盆休みもくそもないですわ。ずっとお盆が続いてます 😥 」という悲鳴をとあるメーカーの営業マンから聞きました。様々な業界で再編が続き、倒産件数も急増しているようです。
帝国データバンクが発表した6月の全国企業倒産集計によると、倒産件数は前年同月比21.5%増の1294件となり、13か月連続で増加した。集計基準を変更した2005年4月以降、倒産件数は過去最多となった。(2009.7.8)
出口の見えない経済不況。。 今後もこの流れは続きそうです。
さて、今回は銀行について考えてみたいと思います。 😮
世界の先進国は借金まみれ。つまり大量なその借金分のカネが世界に出回っているわけです。ところが実体経済はそこまで必要としていない=金余りとなります。そのカネは銀行に預けられのですが、その利払いが必要となります。
それに伴い銀行は、株や証券などの運用益で稼ぐ方向へと転換していきます。それが、アメリカにおけるサブプライムローン問題に端を発する金融破綻へとつながりました。
本来の信用と健全経営を基礎とした経済活動の下支えの存在として機能していた銀行は、証券化ビジネスによるマネーゲームへの参加により「カネ転がし」のバクチ屋へ転落したわけです。
利払いがムリヤリな市場拡大を強制させているとも言えます。
この市場拡大が環境破壊の原因であることは確かです。
それでは銀行にもう役割はないのか?
どのように転換していけばいいのか?
将来的には銀行の業務は国家が担えばいいと思います。ですから銀行は不要となる。しかし、それは大量の失業者を生みますし、社会の制度が急激に変化していくことも考え難い。
銀行の業務の中身が皆が必要と認めるものであれば、存続の意義もでてくる。ではその中身は?
そのお手本となるような銀行を紹介します。 😀
発展途上国であるバングラデシュ人民共和国のグラミン銀行です。創立者であるムハマド・ユヌス氏は2006年度のノーベル平和賞を受賞しています。低所得者への融資という意味では、アメリカのサブプライムと同じですが、その考え方、融資の仕方には全くの正反対。
また、下記引用文の最後にこう締めています。全く同感です。
> 経済活動の血液循環に当たる金融システムの原点は、あくまでも資金の余剰主体と資金の不足主体とを金融のプロとしての調査情報と知能を付加して仲介し、天下の回りものといわれる資金を社会的に意義ある必要部門に提供し有効に循環させる機能と、Bankの称号が意味するように、国民生活や産業経済活動の安全を守り発展を支援する貯水池の防波堤としての役割を果たすことにあり、単なる自己収益本位の金貸し業であってはならず、資金の過剰流動性が実体経済の繁栄に結びつかないで、投機的マネーゲームの過熱や錬金術に悪用されることは好ましくない。
是非、一読下さい。
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バングラデシュは、戦前はイギリス領であった旧東パキスタンから1971年に分離独立したが、政情不安定で近隣国との争乱も続き、経済発展の面で出遅れていた。
インドとミャンマーに取り囲まれ、国土面積は約14.4万キロ平米と日本のほぼ4割程度と狭いが、人口は約1億4200万人と日本を上回り、人口密度は985人/キロ平米と日本の2倍以上の過密さ、首都のダッカは北緯20度でほぼ台湾と同緯度だが、主産業は農業しかなく、輸入が輸出を上回り、国民1人当たりGNIは450ドルと低く、世界でも貧しい後進国の部類に属するが、所得分配の適正度を示すジニ係数では32と日本より貧富格差が少ない。国名が示すように、ベンガル人が主体の人民共和国で、宗教ではイスラム教徒が多く、享楽と拝金主義を慎む、相互扶助を尊ぶ国風が土壌としてあった。
グラミン銀行の創立者ムハマド・ユヌス氏は、1940年にバングラデシュで生まれ、同国の大学を卒業後フルブライト奨学金を得て渡米、さらにアメリカの大学で学び経済博士号を取得し、テネシー州立大学で教鞭もとり、1972年に帰国、政府の経済局委員も努めたが、1974年の大飢饉をきっかけに貧困者の救済活動に身を投じたという経歴の持ち主である。
農民の生活と能力向上のために農村の組織化運動を展開し、竹細工で得た小金を各自が持ち寄り、この僅か27ドルを元手にグラミン銀行の原形を立ち上げ、漸次相互扶助の資金融通システムを発展させて独特なマイクロクレジット(無担保小口融資)制度を開発し、その普及に努めた。
氏は「貧困は個人の責にあるのでなく、社会制度に起因する」、「現代の社会制度や企業は、自己の利益確保に重点を置く仕組みになっており、人間を利益追求の道具としかみなさない」、「民衆も、誰れかがうまくやってくれという受動的考えではだめ。みんなが考え、協力し合い、行動して幸福を掴まねばならない」との信念から、民衆の相互扶助機関としてグラミン銀行を、みんなで少額資金を出し合って設立、その基本理念を
1)「飢餓と貧困を解消する根本は、農業と産業振興による国内自給自足率の向上」が大切であること、
2)従来の先進国の貧困国に対する経済援助は、所詮は支援国の打算に基づき、お金さえ提供すれば良しとし、その支援政策方針はTrickle-down方式(政治や産業の上層部を富ませる肥料を与えれば、漸次それが下層部にも間接的に浸透するという考え方であり、日本の政策もこれと同じ)であったが、この方式では国の経済はある程度成長しても、下部の貧困層にまでは浸透せず、むしろ貧富格差の増大を招くだけで根底からの自立経済活力を身につけるものとはならなかったので、まずは「根底にある民衆の意識改革と教育、技術や経営指導にまで踏み込んだ顧客民衆のためのコンサルティング・バイキングをめざすこと」、
3)「銀行の営利優先でなく、あくまでも国利・民利優先で、民衆の成長とともに健全発展する銀行経営をめざす」とした。
グラミン銀行はこの基本理念に基づき、取引の主対象者を農民(グラミンはベンガル語で農民の意味)に置き、各地の農村単位で組織されたもので、日本でいえば会員制度の信用農業協同組合か旧相互無尽(後の相互銀行)のようなものである。
当然、取引対象の農民層は土地担保を持たない貧しい者が多いが、それ向きに開発した融資制度の無担保・無保証のマイクロクレジットが支持を受けて事業目的を達成、農民の所得を5年で2倍に引き上げ、現在では国内約6千ヵ所の農村部で、合計約2500の支店を有する銀行にまで成長し、700万人超もの人々を極貧状態から経済的自立へと脱出させ、各種産業の起業化促進、女性の社会的地位向上、国民の能力レベルの向上に多大な貢献をし、世界中から高く評価され、ノーベル賞の受賞にまで至ったのである。
低所得層へのリスキーな融資という点では、問題のアメリカのサブプライムローンやその亜流の日本の中小金融機関が実施しているスモールビジネスローンに似ているが、経済先進国のこの種制度化された簡易ローンが不良債権の多発化で苦悩しているのに対し、後発国で高度な金融ノウハウの蓄積もないグラミン銀行のマイクロクレジットの方が、なぜ不良債権の発生もなく成功をみたのであろうか?
一言でその理由を述べると、素朴ながらも普遍の真理である金融の原点を尊重し、民衆本位の民衆のための銀行、顧客を啓蒙指導し顧客を育てる融資、顧客の善意を信じ相互信頼をベースとした事業運営を貫き通したグラミン銀行と、金融資本の私利益や効率本位主義で、まやかしの金融手法を駆使して善良な庶民客を巧妙に騙して食い物にし、本来の正しい金融の原点や理念を逸脱し、単なる狡猾な金貸し業、投資ギャブラーに成り下がった先進経済国金融機関との哲学的理念の差異にあったといえよう。
グラミン銀行の融資債権保全管理は、
1)資金支援を必要とする顧客が銀行に足を運んで融資申し込みをするのでなく、銀行の方から現場に足を運び、村単位の組織構成員全員と対話し、その納得と推挙を経て、適切な融資顧客の選定と諾否を決定したこと(一種の集団合議制)、一般銀行の融資のように物的担保、信用保証担保主義や、債権の証券化による転売リスク回避でなく、あくまでも人的担保に重点を置くとはいえ、それは連帯保証人を設定するという人的担保ではなく、むしろ顧客の啓蒙教育(融資の条件に、事前教育研修の受講を義務づけた)を通じた人柄診断と、
2)顧客の相互扶助制度を構築しリスクの予防的回避を心がけたこと、
3)日常の交流を通じ、与信客の経営や生活現場実態を熟知することに努めたことなど、双方信頼の絆が無形の信用担保として機能したものといえる。
強欲金融資本主義の論理で洗脳され心眼が濁った拝金亡者には、こんな単純な真理が理解できなくなってしまったことこそが、今次の金融バブル破綻経済危機の真因である。
【グラミン銀行の成功要因と米流少額簡易金融制度の反省点】より引用
http://www.tsr-net.co.jp/new/report/1186609_819.html
株式会社 東京商工リサーチ
- posted by saito at : 0:00 | コメント (3件) | トラックバック (0)
コメント
アミタは、私も一度興味があって調べたんです。
調べる前は、失礼ながら、職業的にあまり良いイメージが無かったのですが、皆→社会の事を考えた企業経営に非常に好感が持てた事を覚えています。
欧米系の(私権)企業は個々の営利が集まった集団ですが、アミタの場合は、皆期待を受け、期待に応えていく為に集団形成をしている点及びボランティアではなく、事業継続していく為に必要なお金をしっかり取る事を理解している点だと思います。
本当に必要なもので経済が回るようにする、という発想は事業家ならではですね。お金を撒けばいいと思っているお役人方とは違うなぁと感じました。
本当に必要な価値を提供する企業と、その価値を正当に評価して支援する客。そのシステムができるかどうかが、これからの社会のあり方を決めるような気がしました。
男塾一号さん、羊犬さん、コメントありがとうございます!
>ボランティアではなく、事業継続していく為に必要なお金をしっかり取る事を理解している点だと思います。
>本当に必要なもので経済が回るようにする、という発想は事業家ならではですね。
この発想を持っている経営者は、あまりいないのではないかという気がしています。
だからこそ、こうやってブログなどを通じて発信していく必要があると思っています。
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