2009年02月28日
【企業が農業に参入するのは何で?】第五弾 ~成功事例の分析① 伊賀の里モクモク手作りファーム~
最近、話題沸騰中の「モクモクファーム」。「農業界でその名を知らないものはいない」とまで言われており、同ファームの代表取締役に至っては「観光カリスマ」という称号を国土交通省から与えられるようです。
この事業は、1988年、三重県経済連の2人が中心となって始められました。1984年に設立した「伊賀豚銘柄豚振興協議会」に属する生産農家19軒からの立上資金=200万円×19件、補助金3,800万円 加えて7,000万円をJAから借り受け立ち上げ資金として設立されました。
そして、約10年後の1995年に「モクモク手づくりファーム」を15億円の資金(その内5.4億円は国県の補助金)を投入しオープン。その後も、制度資金を積極的に活用しているようです。
2007年度の売上げ約40億円、利益7,000万円、雇用は200名。
大阪と名古屋のほぼ中間に位置する三重県阿山町(人口8500人)の小さな町に立地しながら、年間50万人もの観光客が訪れ、週末の土曜/日曜は4,000~5,000人もの来園者がいるそうです。
大きさは14ヘクタール(東京ドーム3個分)。
入園料は一人400円。入園料の収入だけで年間2億円になります。
来園者はファミリー客が主で、リピーターが多いのが特徴のようです。
ファーム以外の販売網は中部、近畿の百貨店、スーパーの直営店や生協、農協となっています。
今回は、この「伊賀の里モクモク手作りファーム」の成功事例を分析したいと思います。
なお、分析は、当ブログでも活躍されているsystemaさんが作成した 「農業事業戦略マトリクス」 に沿って行うことにします。
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画像の確認
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まず、「モクモクファーム」の概要は、るいネットの投稿をご覧下さい。
(リンク1)(リンク2)(リンク3)
概要をつかんだところで、「農業事業戦略マトリクス」 に沿って整理してみましょう。
整理すると、この「モクモクファーム」の現在の成功は、以下の3つの戦略がメインとなっていることがわかります。
1)テーマパークとなっている「体験・施設」
2)ソーセージやビールなどの「加工品」の販売
3)、地元農家との「協同」、会員制による消費者との「NW」
1)「体験・施設」
・手づくりの農業体験(ウインナーの体験工房)
・農業の伝承、自然に触れたり工作する自由研究、動物・虫教室
・農園内に宿泊施設、レストラン、温泉施設、結婚式場を整備
・農業公園の整備
2)「加工品」
・地元産の豚肉を使ったソーセージやパン、地ビール、野菜ジュースなどの手作り農産物を製造販売
・農園内に加工品販売所の設置
3)「協同・NW」
・契約農業者と価値を共有する仕組み(米の買入価格を一俵19,000円とするなど優遇措置)
・志のある農業者を生かすことを基本と考え専門家の教える塾などを開催
・農園内に地元農家による「ファーマーズマーケット」を設置
・農家自身が生協や農協店頭に立ち、直接消費者に試食、販売
・会員制による消費者の組織化、イベント企画
・会員制の宅配業務(農産物を加工し消費者に、250以上のアイテム)
・会員制の通販(ネイチャークラブ事務局)毎月約三百人の会員増。
・会員にはギフトカタログとネイチャークラブ通信、モクモク通信送付。
・通販と体験施設を結びつける仕掛け(通販会員特典としては入園ファミリー券)
・消費者との関係構築を図る予約インフォメーション、品質管理室等の専門部署を設置
・農園を離れた都市圏でのレストランの経営
これら現在の状態を、再度 「農業事業戦略マトリクス」 で確認してみましょう。
画像の確認
確かに ○ が多いですね。
整理してみると、『成功すべくして成功している』 ことがわかります。生産者と消費者の結びつきを徹底的に重視し、消費者を上手く囲い込んでいる?という感じもします。
今回の分析はここまでです。
次回は、「モクモクファーム」の現状の問題点や今後の課題について考えていきたいと思います。
- posted by isgitmhr at : 14:26 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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