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2009年07月21日

【企業が農業に参入するのはなんで?】第十四弾 ~コラム②:食糧自給率に代わる新たな指標とは?~

こんにちは、ハシヒロです 😀
チウエさんの投稿から、食糧自給率のおかしさ、そしてその背後には農水省、農協とマスコミの利権が透けて見えました。彼らの「日本の農業は不活性化だ、食糧自給率を上げないといけない」という一本やりで、具体的な政策もないまま世論が大きく歪められています。
 
本当に私達が目を向ける必要があるのは、「日本の農業は一体どんなことになっているのか?」その『事実』を押さえることです。
 
今回の投稿では、統計データに基づいて分析を行われている「農業経営者『食糧自給率の罠』」シリーズを紹介し、食糧自給率に代わる新たな農業の指標について考えてみたいと思います。
 
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ポイント 食糧自給率はうまく実態を隠蔽するためのインチキであり、都合のいい「割合(%など)」によって本質を分からなくしています。
日本の農業の実態を考えるために、国民を賄うための農作物や農業従事者がどのくらいいるのかという「量」でみる必要があります。
 
では、まず農作物生産量からみてみましょう!
 
①農作物生産量の推移

 
・農畜産物の生産量は増加している

日本の総農産物生産量は増えている!自給率が79%だった1960年と40%を切る前年の05年を比べてみてほしい。5100万トンから5600万トンへと500万トンの増加だ。多くの人は自給率半減と聞いて、生産量が半減していると勘違いしているはずだ。「ニッポン農家は食糧の増産に成功している」――このシンプルな事実だけで、漠然とした不安感を払拭し、頼もしい産業であると農業への認識が改められるだろう。 『食糧自給率の罠』(農業経営者2009年1月号)

  
食糧自給率には「廃棄」されるものも含まれているのです。つまり、海外輸入作物が増加した結果、廃棄されるものが増えた。その結果食糧自給率が低下しているだけで、日本の農業はむしろ生産性が向上しているのです。
この事実はとても重要な点でしょう。
 
②農業従事者の推移

 
・農業者一人当たり生産量6倍になっている

農業者一人当たりの生産量は、1960年の4.3トンと比較して、06年には26トン。過去40年で6倍も生産性があがっていることが分かる。
 
農業者数と生産量の推移に注目すると、分かりやすい。確かに農家数は激減している。しかし、60年に1200万人の農業者が生産していた量を05年、6分の一の200万人で突破した。現実は低い生産性の農民が減り、高い生産性の農業経営者が増えているのだ。

 
農業生産量の増加を実現しているのは機械化などの技術力の向上が大きな要因と考えられます。技術力を駆使して、効率的に生産している農業者によって農作物が賄われてきた背景も評価されるべき点です。
 
③活力ある農業経営者によって日本の農業が支えられている

約200万の販売農家のうち、売上1億円以上の農場・農業法人が占めるのは、たしかにわずか0.25%の5000事業体。それが国内生産額8兆円の15%を稼ぎ出している。しかも過去5年で160%成長をとげているのだ。(中略)続いて、3000万以上の農家の事業体数シェアは1.5%の3万件で、30%の国内生産額を占め、過去5年150%成長した。1000万以上の農家は7%で14万件。130%伸張し、生産額の60%を上げている。つまり、われわれの胃袋の半分以上はすでにこうした成長農場に支えられているのだ。
 
では、残りの180万件強の9割の農家は何をしているのか。売上100万円以下(利益じゃない!)の農家が120万件もあるのに対し、国内生産額にわずか5%しか貢献していない。

 
④農業生産額は世界2位

日本の農業生産額は、主要先進国の中で米国の1580億ドルに次ぐ793億ドルの2位である。フランス、ドイツ、イタリア、イギリスをはじめとしたEU諸国のどこよりも多い。ロシア(211億ドル)、オーストラリア(203億ドル)の3倍超えもある。

 
以上のように、日本の農業は国内、世界から見ても可能性を秘めている産業であることが分かります。
 
では、一方で、日本の農業が抱える問題点、それを解決していくための指標はどのようなものにしていけばよいのでしょうか?
 
⑤日本の農業の課題
民主党のマニュフェストには、日本の農業を活性化するために、農業従事者に補助金をばら撒く政策を打ち出そうとしていますが、それでは可能性を感じることはできないし活力もでません。
戸別所得補償制度
 
日本の農業で深刻なのは、将来の可能性をみんなが感じられていない、共有できていない点にあります。
 
その具体事例として、「耕作放棄地の拡大」「新規就農者の減少」特に若手担い手不足です。
(これは、みなさんもお分かりのように農水省、農協の政策が誤った方向に行われたからに他なりません。)
 
・耕作放棄地の拡大

・新規就農者の減少

  
現在の農業に必要なのは社会目的意識の形成、つまり、国民の食糧をどれだけ賄っているか、日本の農業をどれだけ引っ張っているか、その社会的貢献度を示していくことではないでしょうか。そして、貢献してくれている農家にこそ、その評価として支援金を与えていくべきではないでしょうか。
 
つまり今後の指標の可能性は、国の食糧確保、農業の育成という観点から、
目的となる指標は、
・(国民を賄う)農作物生産量
・(国民を賄う)耕作地面積

であり、
 
そのための、評価形成をうながすための企業単位、あるいは自治単位ごと
・耕作地創出面積
・雇用創出数(新規就農者数)

といった指標が必要なのではないでしょうか。

 

コメント

企業が旧い概念を捨てて、新しい概念装置を構築できるかどうかは本当に重要だと感じます。
文中にもあった社長や重役による旧いスローガンや訓示の形骸化は、成功体験を積んだ大企業こそ顕著です。
形骸化していることを認めて、これを捨てない限りは、いくら考えても「みんなの意識=社会」とはずれていくだけ。

  • 天然水
  • 2009年12月1日 20:12

昔は何のために仕事をするかなんて考えたこともありませんでしたが、今は旧来の仕事規範は完全に崩壊していると思います。
規範=秩序がなければ人は生きていけない。
だから、仕事をする上でも、生きていく上でも、「社会の役に立つため」という根本共認がまず必要ということなのですね。
活路を模索している企業はたくさんありそうです。
これからもたくさんの企業を元気付けていってください!

  • titida
  • 2009年12月1日 20:23

天然水さん、titidaさん、コメントありがとうございます。
 おっしゃるように、かつての規範が形骸化していることをまず認めることは不可欠ですね。しかしそれに変わる新しい規範を探しているというのが実態のようですね。
 だから、新しものを構築するための構造認識という武器が不可欠なのです。
 これからもよろしくお願いします。
 

  • daruma
  • 2009年12月4日 20:39

社会起業に成功した例では、「社会の役に立ちたいという目的」と、「事業として成立させるという手段」が逆転してしまってるものも多いようですね。
こういう自己矛盾と昨年の金融危機もあり、今では起業熱も冷めてしまっていると思っていましたが、そうでもないようです。
09/10/31の日経新聞「日本gene U-29」では『「勝算あり」起業一直線』という見出しで『金儲け&社会貢献』の両立を貪欲に追求し続けている若者が取り上げられていました。
まだ「ビジネスとして成功してる=儲かっている」とは言えないようですが、「社会の役に立つこと」に拘って試行錯誤を重ねている社会起業家の卵たちがいるようです。
インターネットには記事アップされていないので要約紹介します。
===以下要約===
U-29(29歳以下)世代は起業や転職の際、給料や待遇より「社会の役に立つor必要とされている実感」」を重視する傾向が強い。
20代が思い浮かべる社会貢献できそうな分野は、
1.環境/2.地域(コミュニティ)/3.福祉/4.農業
起業の成功例など僅か=挫折のリスクも大きいが、覚悟の上。
冷静に現実を見据えて合理的に目標に向う。一見「草食系」
商売の原点は「人の役に立つ製品やサービスを提供すること」
20代起業家は、この原初的な事業家象に通じる。

  • nandeyanen
  • 2009年12月8日 21:51

nandeyanenさん、レポートありがとうございます。
 
彼ら、若者の意思を潰さない為にも、社会を捉える新しい概念装置が不可欠ですね。もう待ったなしの状態なのかもしれません。 

  • daruma
  • 2009年12月8日 22:08

最後のまとめの部分は、特に分かりやすくてスッキリしました!
みんなの欠乏を掴むためには、なぜ旧観念では捉えられないのでしょう?

  • ゆっきー
  • 2009年12月12日 20:57

 ゆっきーさん、鋭いコメントありがとうございます。
 近代思想を源流とする旧観念群は、現実を否定(あるいは都合の悪い現実を捨象)することを前提に理想論を述べているに過ぎないから、まさに現実になりつつあるみんなの意識をとらえることができないのです。
 詳しくは、るいネットのこれを参考にしてください。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=19060
 今後とも、よろしくお願いします。

  • daruma
  • 2009年12月12日 22:55

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