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2010年07月24日

「社員が楽しく働ける職場」づくり~ヨリタ歯科の取り組み~

「社員が楽しく働ける職場」づくり~サイバーエージェントの取り組み~に続いて、ヨリタ歯科の取り組みです。(『不機嫌な職場』講談社現代新書より)。
ヨリタ歯科は、人材育成の本質とは!?⑥~元気な企業の充足規範活用例~でも紹介されましたが、30人以上の比較的大きな歯科医院で、本当に多くの患者が集まってくる、「患者が選ぶ病院ランキング(近畿東海版)」歯科医院部門1位の医院なのです。
なぜ、多くの患者が集まってくるのか?その魅力は、
%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF.jpg①患者の気持ちを大切にして、患者のことをよく知っている。
②歯を大切にする。そのために治療だけではなく予防に力を入れ、子供たちを中心に歯について楽しく学んでいく機会を作っている。
③医院には笑顔と笑顔になれる仕掛けがたくさんあり、感謝の気持ちがあふれている。

(写真はカムカムフェスタ。ヨリタ歯科HPよりお借りしました。)
しかし、最初からこのような魅力のあるクリニックだったわけではなく、開業4ヵ月半で3人いたスタッフが全員辞めたいと言ってきたような、正反対の職場だったのである。まさに逆境
今回はどのようにして逆境を乗り越えて、多くの患者が集まる魅力ある医院に変わったのかを紹介したいと思います。
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医院変革の理由
依田院長は大学卒業後、4年間の勤務医生活を経て、1991年6月にヨリタ歯科クリニックを開業した。
ところが開業4ヵ月半で、3人のスタッフが全員、今日で辞めたいと言ってきた。そこではじめて、自分とスタッフの間に深い溝ができていたことに気づいたのだという。スタッフの気持ちに気を配る余裕もなく、ハードな毎日を繰り返すだけになっていたのだ。
同時に、一人ひとりの患者さんに十分な時間をかけられず、患者さんの話をきちんと聞いていないことにも気づいた。
そんな中、自分の母親が亡くなった。そのとき診療室から抜けられなかったが、患者さんのためとはいえそれでよかったのか、自己嫌悪に陥った。
結局、自分一人で診療していては、自分がいなければ患者さんに迷惑をかけてしまう。スタッフ全員が安心して、支え合って、動ける医院でなければ患者さんにも余裕をもって接することなどできない。
何よりも自分たちが仕事を楽しまなければ、患者さんも楽しいわけがない。メンバー一人ひとりがイキイキと働き、チームとして一緒に支え合い協力し合える。そんな喜びを分かち合いたい。
この二つの出来事がつながり、依田院長の中に、この病院を抜本的に変えようという強い決意ができたのだという。
わくわく楽しい医院づくり
依田院長はいろいろな人に会い、異業種交流会に参加し、経営の本もよんで、どうしたら自分の理想とする医院に変えられるかを必死に考えた。そこで辿りついたのが、治療だけでなく予防をもう一つの柱として、予防専門のフロアを立ち上げることだった。
医院の入口から内装から全面改装し、スタッフも倍にする。予防フロアは歯科衛生士が主役になって、歯の健康を守ってあげることから始まる医院になろう。そんな決意をスタッフに語った。
最初スタッフは戸惑ったという。もっと忙しくなるのではないか、何故そこまでしなければならないのか、と。
依田院長は何度もみんなに話した。一人ひとりがイキイキと働き、お互いを支え合い、助け合う。患者さん一人ひとりと向き合い、自分たちも患者さんにも、ワクワク楽しい医院にしたいと。
次第に、依田院長の思いにみんなが引っ張られていった。
思いは伝播する
まず大きく変わったのが歯科衛生士だった。他の医院では助手だったが、予防専門フロアでは主役になった。仕事に対する意識、やりがいが大きく変わった。
スタッフの役割も大きく分化していった。初診の際に話を聞くカウンセラーも、じっくり患者と向き合うことの喜びを感じるようになってきた。
さらに、依田院長の思いを言葉で伝えるために「Our Credo(私たちの信条)」をつくって、朝礼で唱和することで、みんなで感じられるようにしていった。
週に一度、昼休みにミーティングを開くようにもなった。スタッフが自主的に始めたミーティングで、お互いの仕事の状況や問題点、新しい技術の勉強などを共有することから始めた。
とはいうものの、最初はまったく意見が出なかったという。そこで考えられたのが、「王様の言うことは絶対~!」というタイトルのミーティング用のシート。司会者が少しでも気持ちよくできるようにというアイデアから始まったが、次第に「チョット聞いてよ院長~」「診療室からチョット聞いてよ~」「受付からチョット聞いてよ~」シートへと、お互いに気づいたこと、聞いて欲しいこと、伝えたいことを、素直に共有し合おうという形に変わっていった。このようにしてミーティングの中で、いろいろなアイデアが出されるようになった
カムカムフェスタなどのイベント企画も自主的に運営されるようになり、ホームページの作成・更新を専門とする感動クリエーターも加わった。ホームページをみれば分るように、クリニックで同じ時間を過ごし、一緒に考え、楽しく働いていることへの喜びと感謝の気持ちであふれている。
自分が必要とされているという実感
依田院長は、「仕事は楽しくなければ、前向きになれない。成功体験を通じて、次にはこうしたいという気持ちが出てくる。そうした前向きな気持ちを引き出してあげると、人はどんどん伸びる」と言う。
実際スタッフからは、仕事に対する責任感や意識が大きく変わっただけでなく、もう一つ、「自分が役に立っているという実感が持てるようになった」「自分が好きになった」という言葉が返ってくる。
ヨリタ歯科では、一人ひとりを認める、一人ひとりに感謝するイベントが数多く行なわれている。
「ありがとう」の色紙も全員に渡される。全スタッフにお互いが感謝のコメントを書いて渡される。みんなが自分のことをどう思っているのか、暖かい言葉で伝わってくる。
ありがとうは伝染する。まず自分からありがとう。その気持ちがスタッフに伝わり、スタッフ間に伝わり、患者に伝わる。それが、患者に喜んでもらえるサービスの原動力になるのだという。
ヨリタ歯科で働くことで、一人ひとりが前向きに生きていく力を身につけていく。それを支えるのが仲間であり、ヨリタ歯科という場そのものである
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如何でしたか?
逆境⇒どうする?と必死に考える⇒突破口をみんなに共感してもらう努力
→徐々に共認形成が進み当事者意識△の輪が広がる
→自主的にミーティングが開かれるようになり、いろんなアイデアが出るようになる
→成功体験を通じて更なるやる気△と同時に、自分が役に立っている実感△
→自分からありがとう→それが周りに伝わり→患者にも伝わり喜んでもらえる
最後にもう一度最後の文章を引用します。
○○○○で働くことで、一人ひとりが前向きに生きていく力を身につけていく。それを支えるのが仲間であり、○○○○という場そのものである。
「○○○○」のところにいろんな会社の名前が入るよう、増やしていきたいですね。

 

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