2011年05月10日
時流探索~2011年のGW消費、どうだった?~
震災復興と福島原発事故の影響が続く中で迎えた今年のGWですが、みんなの消費動向はどうだったのでしょうか?ある程度予想された結果ですが、「人出は増えたけど、消費には繋がらなかった」と言えそうです。
※写真はさくら、かく語りき。さんからお借りしました。
では、なぜこのような消費行動になったのか。今回は路上の社会活動「なんで屋」から見えてきた意識潮流も踏まえながら、分析してみたいと思います。
まずは事例紹介から。
ワールドビジネスサテライト「5/5,GW消費を中間決算」によると、
○手軽に皆で楽しめるBBQでも昨年並み
バーベキュー用の食材をケータリングする会社(BBQわーるど)では、GW序盤は前年比約3割▼だったのが、「GWに入ってから予約が入ったり」「(去年並みに)戻ってきていると思う」。人は戻ってきているBBQだが、一方で財布の紐は固く客単価は去年数百円▼。
※写真は八王子農園さんからお借りしました
○上野動物園のパンダ効果もいまひとつ
公開されたパンダを目当てに上野動物園はGW中に約28万人が来園。すぐ近くのアメ横でもパンダの集客効果は表れている様だが、財布の紐が固く外国人観光客の数は減っているので震災の影響は出ている。
○住宅展示場も来場者数が接客数につながらない
東京小平の住宅展示場のGW(4/29~5/5)の来場者数822組で去年に比べ100組近く増えたが、トヨタホーム東京曰く「(接客者数は)昨年の15%ダウンくらい」「もう少したくさん来てもらえるかと期待していた」。
○お手軽消費の代表である映画も苦戦
東京・足立区のTOHOシメマズ西新井では「このGWは非常に苦戦している」「(売り上げは)約5~6割 昨年と比較して伸びていない」。GW前半の売り上げは去年と比べておよそ4割▼。大きなヒット作が無かった事に加えて、客が本当に見たい映画にしか足を運ばない傾向があると言います。
以上は東京のお話。一方の関西はどうだったか?
日本経済新聞:5/10朝刊「活況 関西GW」によると、
○JR西日本
九州新幹線の全面開通で1%増
○西日本高速道路会社
休日1000円最後の機会で4%増
○京都
外国人観光客の落ち込みを国内客で補った
○ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
国内客増加で入場者は2ケタ増
○あべのキューズモール
入居するユニクロが売り上げ日本一
○JR大阪三越伊勢丹
開業5日間で115万人が来店
また、百貨店がひしめく梅田では、派生効果で阪急、阪神共に5/4の売上高は「前年の同じ日に比べて20%増」、大丸梅田は「売上高が前年比92%増」となったとのことです。
※写真は大阪ステーションシティさんからお借りしました
しかし、大丸について言えば、昨年末の増床効果と隣接するJR大阪三越伊勢丹の開業効果の影響であり、阪急・阪神にしても「伊勢丹の開業日である4日以外の売り上げはいまひとつだった」と推測でき、関西でも人出が急増した割に消費には繋がらなかった、と言えそうです。
この状況は、活力再生事業として道行く人といろいろな「なんで?」「どうする?」という疑問を追求する場、路上の「なんで屋」で感じた印象ともある程度合致していて、「なんで屋」もGW中は東京・大阪共に昨年に比べて人通りは増えましたが、接客数が減少傾向、売り上げも減少傾向となりました。
ところが、GWがひと段落した5/6以降、大阪では3/11以降の流れとは違ったちょっと面白い現象が現れたのです。
3/11の震災と原発事故以降の状況を振り返ってみると、なんで屋では喫緊かつ重要な話題である「今知っておきたい原発のこと」を看板に打ち出したにもかかわらず、地理的にも遠い関西では反応はほとんどなし。また東京でもGW一週間前までは人だかりができる程集客できたのに、GWが近づくと関西同様にぱったりと反応が止んでしまっていました。
おそらく社会の意識の流れとしては、震災や原発事故で本能を直撃するような不全感が生起し、それが余震や福島原発からの放射能汚染が続く中で、「一体どうなっているのか?」「どうすればいいのか?」という意識が少なくとも潜在的には続いてきたと思います。
しかし、GWが近づいてくると、東北の人たちのことや自らの身の危険を意識する一方で、「せっかくの休み。外に出てみんなと楽しみたい」「みんな、どうしているんだろう?」という充足志向や外向探索の意識が強く生起してきたのでしょう。それがGWの「外出するけど、消費しない」行動に現れていたと思います。
それが、5/6以降のなんで屋露店(大阪)では、
○原発看板への好意的な反応が急増
○「仕事がうまくいく条件」など実践の闘争課題を巡るカードの販売が急増という現象が見られました。
きっかけは5/6に政府が発表した「浜岡原発の停止要請」にあった、と見ています。
※写真はスカイライトチューブ静岡さんからお借りしました。
この発表を受けて今までは潜在的に引きずっていた「原発問題はどうなったんだろう?」という漠然とした不安感が、「やっぱり原発は危険なんだ」という形で(部分的ですが)固定されたことで、3/11以降ふわふわと浮動していたみんなの意識が「地に足ついてきた」ように感じました。
一連の流れを整理してみると、
このように、震災以降のみんなの意識は短期間で移り変わってきています。
また「浜岡原発停止」については、推進派がスケープゴートつくることで他を生かす形とも取った可能性も考えられますし、国民としても「これでひと段落」と思考停止してしまう可能性も否めません。
しかし、少なくともいままで原発問題と言えば「推進か反対か」という価値観念で捉えられ、色めがねで見られていたのが、これを機に多くの人たちが原発問題をより事実ベースで捉えられるようになってきたことは大きな可能性ではないでしょうか。
今後この流れがどうなっていくのか?
ときどきこの企業ブログ「時流探索」でも取上げていきたいと思います。
☆これからも応援よろしくお願いします。
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- posted by seiichi at : 19:08 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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