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2011年06月23日

シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!~ 2-1).輸出産業を中心に大企業が失速した社会的背景と原因構造

本シリーズ1-1)~3)で扱った、東日本大震災から見えてきた日本企業が抱える問題点と課題を改めて整理し、これからの可能性を見出す為に、なぜこのようになったのか、その社会的背景と原因構造を探って見たいと思います
2回に分けてお伝えするシリーズ第2章の1回目は「輸出産業を中心に大企業が失速した社会的背景」について扱います
 
これからも「共同体・類グループの挑戦」をよろしくお願いします!
 
 

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◆震災から見えてきた日本企業が抱える問題点と課題の整理
 
1.日本の中小企業が日本だけでなく世界の大企業を支えている。【詳しくはこちらへ】
→被災地以外にも広がる倒産、操業停止。
→効率優先主義による生産拠点の一極集中が招く脆弱さ
 
2.日本の基幹産業は震災前から衰退の一途を辿っている。【詳しくはこちらへ】
→快美欠乏を求めた物的生産では、いまや新興国に対する日本の優位性はない。
→市場を極端に外需に依存している限り、日本の産業は勝てない。
 
3.不要不急の業種が、大幅な売上低下や倒産に至っている。【詳しくはこちらへ】
→「節約思考」の意識の顕在化が、娯楽や贅沢品の消費減少を加速させる。
→不安思考から目先の安定・充足へ
 
◆日本企業が失速してきた社会的背景
工業生産の発展により、1970年頃には日本は貧困を脱出し、物的生産の飽和限界を迎えました。
本来であればそこから市場は縮小に向かうのですが、利益を追い求める企業は、市場拡大絶対のイデオロギーへ固執し続けました。
  
     
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1.生産の効率化と経営の合理化に傾注し、労働活力を阻害した大企業の組織体制
【①の図解を参照ください
 縮小に向かおうとする市場に対し、大企業は資本力にものを言わせ、市場を独占し、大々的な宣伝によって無理やり需要を拡大させていきました。
 その負担は生産部門にのしかかり、合理化という名の過剰なまでのコスト圧力に転化されました。
 下請け企業の切捨て、人件費削減を目的とした派遣社員の急増などがその一例です。
 
 皆さんは「年次改革要望書」というものをご存知でしょうか
1994年から毎年発行されている、アメリカ企業が日本国内でビジネスを拡大できるように、日本社会の様々な規制を撤廃する為の実行力を伴った、命令に近い要望書です。
 そこでは雇用政策についても記載されており、外国企業が能力ある日本人従業員を採用・確保する上で、障害となる制度の改革を求めた以下のような内容が含まれています
 ・民間職業紹介業の紹介手数料や紹介職種の自由化
 ・後払いではなく、持ち回りの出来る退職金制度

  
 これらの要望は、1995年~1996年に出され、1997年職業安定法及び労働派遣法の改正、2001年確定拠出年金制度の導入というように実行されています。
 
 人材を重視し、雇用を第一とする考え方から採られた、終身雇用制度等に代表される日本的経営が持っていた個人と組織の一体化という強みが、上記のような規制緩和によって悉く破壊されていきました
 その結果、労働活力は衰弱し、組織統合度の著しい低下を招いたのです
 
2.新興国企業の台頭と日本の国際競争力の失墜
【②の図解を参照ください
 無理やり需要を拡大させるにも限界があります。国内需要の低迷が続くと、利益優先の企業は、国外の新たな市場(新興国)に目を向け始めました。
 いわゆるグローバル企業の進出です
 グローバル企業の進出と共に海外資本が流れ込んできた新興国は、先進国が歩んできた道と同様に、豊かさを求めて経済成長をしていきます
 やがて新興国の企業が台頭し始めると、価格競争は激化し、日本企業の国際競争力は失墜していったのです。
根本の問題は、外需に頼るしか生き延びていけないという、大企業の脆弱な体制を露呈したということです。
 
3.大企業優先の規制緩和、金のばら撒きが組織を弱体化させた
【③の図解を参照ください
 1で紹介した雇用制度の規制緩和とほぼ時期を同じくして、金融ビックバンと呼ばれる金融制度の規制緩和も行われました。
 金融業への外国企業の自由な参加や、資本の流動化のために行われたこの規制緩和は、金融商品への過剰な資本流入を招き、日本にバブル経済を引き起こしました。
 
その後バブルがはじけ、日本企業は借金と人材の流出を抑えきれず、弱体化していったのです
 
 一方、国家も、特権階級の暴走とも言える目先の規制緩和によって、大企業はエコカー・エコポイントなどの補助金政策によりかろうじて生き延びてきただけなのです。 
◆今や、国家も大企業も借金経済に依存するしかなくなった。
 
これまで見てきた様に、国家も大企業も、市場拡大絶対のイデオロギーに固執して、自らを衰退の縁へ追い込んできたのです。
求めるものが物の豊かさ(工業生産の時代)から、心の豊かさや癒し(意識生産の時代)へと、人々の意識が変化していく中で、その流れに逆行するかのように市場拡大絶対のイデオロギーに固執した国家や大企業は衰退を続け、今や外需(物的欠乏)と補助金に依存するしかない状態に陥っています
 
今回の東日本大震災は、このような国家や大企業の姿を浮き彫りにし、そのあり方の限界を示した様に思います。
 
 今後震災復興を通して、これまでの「経済効率優先の企業経営の是非」が問われる時代になっていくのではないでしょうか
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次回は「経済効率優先の企業経営がなぜ問題なのかの本質的な原因」について扱います。
    
 次回もお楽しみに

 

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