2011年08月31日
シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!4-2(最終回)~復興の鍵は地域を中心とした共同体のネットワーク化
11回にわたってお送りしてきた シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!~。
今回がその最終回になります
3月11日に起こった東日本大震災と福島原発事故で、未曾有の被害を受けた東北地方の復興は、未だに遅々として進まない状況の中、私たちはこのシリーズを通じて、日本企業が抱える問題点と課題を追求し、そこから見えてきた支配階級(官僚・学者・マスコミ)と庶民の意識の断絶を明らかにしてきました。
そして、震災復興を足がかりに、これからの日本の可能性(共認社会=共同体社会の実現)を模索してきました
シリーズ最終回では、これまでの復習も交えながら、共同体社会を構築する①実現基盤、②障壁、③突破方針の順にまとめて見たいと思います
これからも「共同体・類グループの挑戦」をよろしくお願いします
①実現基盤
~私権収束から共認収束へ、人々の意識潮流の大転換~
豊かさが実現されて以降、貧困の圧力は消滅し、人々の意識は私権充足から共認充足を求める方向へ変化してきました。今や私権獲得の為の独占や効率主義よりも、人とのつながりや仕事のやりがいといった、共認充足を得られる場を誰もが求めています。
普通の人々にとって充足の場とは、生活の大半を過ごす場にこそ求められるものであって、その多くは職場(企業)や生活圏(地域)です。その一つである職場は、市場の縮小とともに行き詰まりを見せており、多くが閉塞感に包まれています。
しかし2000年以降共認欠乏の高まりを察知し、脱私権、脱市場を目指して共同体を志向する企業が登場してきました。今や、後の共同体社会を構築する実現基盤が、次々と生まれてきているのです。
(参考記事)『シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!4-1~脱私権・脱市場が必然的に企業の共同体化を促す~』
②障壁 ~支配構造を維持しようとする支配階級の存在~
実現基盤である人々の共認欠乏の高まりや、共同体を志向する企業の障害となっているのが、支配階級による支配構造です。
彼ら支配階級は明治以降、庶民の働くことへの主体性を奪い、集団(会社)や社会のことは考えないようにさせて、悉く地方の共同体を崩壊させてきました。そして市場化を推し進め、私権闘争一色の社会を作り上げてきたのです。
(参考記事)『シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!(コラム編)~金貸しに操られた明治以降の民主化と「働くこと」の意味の変化』
彼らはその後も市場拡大絶対のイデオロギーに固執して、国債の乱発、金(かね)のばら撒きといった暴走を続けてきました。その結果、バブル崩壊や格差の拡大を招き、今やドル暴落を引き金とした日本国債の暴落→紙幣の紙くず化が招く経済危機へと、国全体を追い込もうとしています。
共認充足を求める人々の意識とかけ離れて、市場拡大に固執し、日本全体を経済危機へと追いやる支配階級に、社会を統合できるはずかありません。そんな彼らが、権力にしがみつき、支配構造を維持しようとすることこそが、共認社会を実現する上での最大の「壁」なのです。
(参考記事)『シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!~3-3金融勢力は民主主義を大衆支配の道具として利用し、共同体を破壊してきた!』
③突破方針 ~地域を中心とした共同体のネットワーク化~
今後、市場が縮小していくのは必然です。したがって、市場(=金貸し支配)から自立しなければ、市場もろとも滅亡していくことは避けられません。
来る経済危機とともに、これまで立ちはだかる壁であった支配階級たちは自滅していくでしょうが、普通の人々が生き残る為には、自分たちの生活基盤を自分たちで創り、自分たちで運営していく自立した集団(=共同体)の再生が急務です。
そして、自立した集団の最基底部にあるのが、食とエネルギーの確保であることは言うまでもありません。地方を中心に、農漁業を通じで共同体を再生し、自給自足社会を作り上げることが必要なのです
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これらの店は単なる商店ではないです。生活に不可欠な社会インフラであり、ライフラインであり、セーフティネットでもあります。日常生活だけでなく、災害時にはさらにその重要性がはっきりすると思います。しかも補助金や交付金や税金に頼らない、いや頼れないからこそ生まれた、自立した存在です。
(中略)
過疎地という極めて厳しい事業環境においても「住民全員出資」「住民参加経営」という方法で企業経営が成立しているという事実は非常に注目されます。それは「自分達が自ら出資し、経営に参加している」店だという当事者意識が強く影響していると思います。
(中略)
株式会社という制度は、単にお金を儲けるための出資ではなく、その企業の存在の必要性や意義に共感して行う出資という運営に切り替える事によって、大きく変るのだと思います。
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『「住民出資の株式会社」の可能性2:生活に不可欠な社会インフラとしての企業』より引用
迫りくる経済破局の前に、私たちに残された時間は僅かです。
組織化のノウハウを持たない地方の努力だけでは、限界があります。自給自足社会、ひいては共同体社会の実現の為には、いち早く転換した共同体企業が中心となって農漁業へ参入していく事が、一番の近道なのです。
震災復興も同様です。
壊滅的な被害を受けた東北地方の農漁業を再生させる為には、企業の共同体化と、地域密着型で取り組むことが重要なのです。そして、そのような活動に取り組む共同体企業同士が、個々に孤立するのではなく、情報を共有し、互いに高め合い、協力していく為に、共同体企業のネットワーク化が必要不可欠なのです。
(参考記事)『経済危機・震災を機に、共同体企業が食と農の再生を実現してゆく』
そして、それは経済破局後の混乱期を乗り越え、新たな社会を創っていく時の社会統合の要になっていくでしょう。
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以上から判断して、共認収束を強める人々の潜在思念に蓋をし、その前進を妨げているのが古い観念であることは明らかであり、従って、各企業が一直線に共同体に向かえないのも、認識転換が遅れているからに過ぎないと見ていいだろう。
従って、旧観念に代わる新しい認識さえ与えられれば、中小企業を中心に多くの企業が共同体への転換を模索し始めるだろう。
すでに共同体の時代に入ったのである。
それだけではない。
原発災害を契機に、多くの経営者が守りに入ったが、危機対応策の一つとして、そろそろ共同体企業のネットワーク化を考えるべき時期にきている。
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『行動方針1 共認社会を実現してゆくのは、共同体企業のネットワーク』より引用
一極集中ではなく、地域を中心とした共同体のネットワーク化
これこそが、これからの日本の可能性であり、その原動力となる市場原理から共認原理へと転換させていく力、それが日本企業の底力なのです
長い間、お付き合いいただきましてありがとうございました
本シリーズ「大震災復興 日本企業の底力!」のリンク先一覧を下記に掲載します
3・11は生産形態や企業経営のあり方を根本から見直す契機となる
1-1).被災地以外にも広がる企業倒産・操業停止の実態
1-2). 震災後、加速する日本の産業の地殻変動
1-3). 節電・節約で贅沢品の消費が激減する一方、充足を求める需要が増加
2-1).輸出産業を中心に大企業が失速した社会的背景と原因構造
2-2).経済効率優先の企業経営が集団も国家をも破壊していく
3-1).被災地の状況と自主再建に向けた動き
3-2).震災後見えてきた日本人の可能性と特権階級との断絶
3-3).金融勢力は民主主義を大衆支配の道具として利用し、共同体を破壊してきた!
3-4).共認社会を実現するには?⇒民主主義の全否定と共同体企業のネットワーク化が必要
(コラム編)金貸しに操られた明治以降の民主化と「働くこと」の意味の変化
4-1).脱私権・脱市場が必然的に企業の共同体化を促す
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