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2011年10月01日

今求められる、いい企業とは?

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 リーマンショックを期に再来している就職氷河期。漠然とした将来への不安から、就活生が企業に求める期待は大きく二つに分かれている。一つは、給料が高いことや残業時間がないことが企業選びの最上位に位置づけられ、仕事の面白さや社会活動などは後回しの安定志向。もう一つは、仕事場の充足性や社内の風通し、仕事内容、地域貢献など、給料や労働時間よりも“やりがい”を感じる会社環境を求める充足志向。
 
 いずれにせよ、就活生は大きく変化する社会に戸惑い、突破口を模索している状況にある。さらには、今後予想されているギリシャ危機を発端としたユーロ危機→アメリカドル崩壊→世界恐慌が起これば、リーマンショックとは比べ物にならない就職難が起こるかもしれない。いったいこれから何が求められようとしているのか、何が始まるのか。今後の社会の突破口を見つけるには、まず今の社会状況を知る必要がある。
 

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■70年代からの経済縮小と求められる人材力
 
 では、今はどういう社会状況なのか。’70年、実質的(物質的)な経済成長によって貧困が消滅し、豊かさが実現すると、誰もが私権を求めていた価値観が崩れてくるようになってくる。つまり、私権(資本)によって企業や社会を統合することができなくなる。実は、貧困の消滅は歴史的に見ても今まで一度も実現されなかったことである。そのため、我々は貧困を克服し、私権を求めないようになった初めての世代なのである。だからこそ、みなが先行きに迷い、不安を覚え、社会が混乱を迎えている。そこに追い討ちをかけたのがバブル崩壊とリーマンショックである。これによって企業は、経営難→経費削減=人材削減→活力減少→成果不良→経営難といった悪循環に陥った。今後さらに大きな経済危機が待っていることは、経済に関心がない人であっても少なからず気づき始めている。どうすれば今後生き残っていけるのか。
 
 こうした経済が縮小している状況でも、着々と経営を拡大・継続させてきた企業はたくさんある。彼らが何故拡大・継続し続けることができるのか。そこにはある共通点がある。それは、社会が私権社会から共認社会(『実現論 序』:私権時代から共認時代への大転換(下))へ移行することをいち早く捕らえ、そこに経営軸をシフトさせることができた点である。つまり、私権社会では利益を得ることが企業の統一目標であったが、共認社会では働く人の人材力(親和力、知識力、etc)を充足させることが統一目標になってくる。人材力が高い企業がこれからも成長し続けて行くであろう事は、時代の変化に鋭い経営者や若者たちほど、感じとっているであろう。
 
 親和力がある人と一緒に仕事すると楽しい→活力が沸く→自分も成果が上がる→仕事に充足感が生まれる→社員全体の雰囲気も良くなる→企業の業績も上がる。こうした活力→成果→充足→活力→成果→活力…の生産サイクルを生み出している根本は人材力にある。
 
 

■会社が拡大・継続し続けるために必要なことは?

 
 人材力が、社員に、会社に、社会に、どういった影響を与えるのかもう少し見てみよう。「日本でいちばん大切にしたい会社(あさ出版)」の中で、人材力がもたらしてくれる恩恵を垣間見ることができる。
  

「日本でいちばん大切にしたい会社」から抜粋
  
1.社員とその家族を幸せにすること
  
 …お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければならない当の社員が、自分の所属する会社に対する不平や不満・不信の気持ちに満ち満ちているようでは、…お客様が満足するようなサービスを提供することなどとうていできません。…ですからいちばん大切なのは、社員の幸せなのです。社員と、それを支える家族の幸せを追求し実現することが、企業の最大の責任なのです。
  
2.外注先・下請企業の社員を幸せにすること
  
 大手企業の中には…好業績企業が数多くあります。しかし、これら好業績の企業の外注・下請企業の…赤字企業比率は70%にも達している。…こんなことをしていたら、下請企業・外注企業の反発が強まることは目に見えています。反発は一方では発注者離れを加速させ、一方では廃業を加速させるでしょう。…結果としていちばん困るのは、発注者自身です。
  
3.顧客を幸せにすること
  
 …「あなたの会社が存在していてよかった」「あなたの会社が、こんな商品を創ってくれてよかった」と、お客様に感謝されるような製品やサービスを提供する。…この世にない価値、潜在需要を発掘・創造することです。…創ることが、会社の本当の使命なのです。
  
4.地域社会を幸せにし、活性化させること
  
 …会社の社会貢献とは、お客様にとって、社員にとって、そして地域にとって存在価値のある、なくてはならない会社になることです。…大切なことは、経営を通じての、企業市民としての日常的な活動だと思います。
 ある程度、物質的な豊かさを手に入れた今の人々は、会社に対して、雇用や生産を通じた貢献だけではなく、心に響くようなことを期待しているからです。そのような使命や責任を果たそうとしている会社こそ、今や高く評価され、多くの人々にその価値ある経営が伝えられていくのです。
  
5.自然に生まれる株主の幸せ
  
 …一つは物的なもの、つまり、株主配当といった現金的な見返りです。もう一つは心的なものです。これは、自分が保有している株の会社が、社員や顧客、さらには地域社会から尊敬され、愛されているかどうか、です。…実は五人目である株主の満足度は、これまでの四人の満足度を高めれば、必然的に発生するものです。ですから、…結果として実現するものといってよいです。

  

 社員とその家族の充足が自社の成功を生み、それが外注先・下請企業の社員の幸せを生み、成果が顧客の幸せを生み、地域社会を幸せにし、株主までも幸せにする。これが、拡大・継続し続けるための基礎になっているようである。
その上で本書では、会社がどういった視点を持つべきかについて次のような指摘をしている。
  


 多くの企業は、1から5番の順序を勘違いしているから失敗しているのです。…正しい決断をし続けていくには、ブレない正しい視点を持つことが大切です。
 会社が今やっていること、これからやろうとしていることについて、「儲かるか儲からないか」とか、「他社に勝つか負けるか」といった視点ではなく、それが「正しいか正しくないか」「どんな判断をすることが社員のため・お客様のため・地域のためになるのか」などといった、会社がもっていなければならない正義感や倫理観に立って決断しなければなりません。そのうえで、「その決断にやましいところはないか」を考えなければならないのです。


  

 つまり、会社内の充足を生み出すのに人材力が必要であり、新たな価値を生み出すのに人材力が必要であり、そこで生み出される1から5の生産サイクルの方向性を決定するのにさらなる人材力が必要となる訳だ。

  
 資金や資本を提供してくれる株主の満足度を優先して追求する経営では、人材はどんどん後回しになってしまう。業績や成長は継続するための手段に過ぎない。大切なのは、会社を創っているのは社員(人材)であるということである。
  

■人材力を活性化させるのに必要なことは?

  
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 では、人材力を活性化させるには具体的に何が求められるのか。
 
 以下は、これまでも「共同体の時代ブログ」にて取り上げてきた活力の高い企業群の特徴から抜き出したキーワード群だ。具体的な取組みの中にも、いくつかの共通項が見られる。これらのキーワードに一つでも当てはまる部分があれば、その成功体験を軸に更に充足度を高めていく事は可能であろう。何故なら、共認原理とは同化を軸として「相手の充足=自分の充足」となる事であり、共に喜べる風土が企業の土台となっていれば、その充足度を高める為の取組みは次々に真似(同化)し、吸収していける可能性が既に芽生えている事を示しているからである。
 


1.期待・応合の共認充足が活力源


・社員の活力を高める工夫がある
・社員の充足が周りにも伝わる仕組みがある
・万人の役割創出(高齢者、身障者)を考え、実践
・女性の活力・充足度が高い
・社会の役に立つ事を理念に掲げ、実践している
・社員同士が仲良し
・意見を言い合える風土があるか(若手でも積極的に発信できる)

 


2.自主管理による主体性の向上


・共同出資、自社株制
・自主活動が活発
・社長・役員交代制(権力の偏りを作らない)
・合議制の導入
・社内ネットが整備されている

 


3.外圧適応度


・地域密着度が高い
・学びの意欲、追求力(学ぶ姿勢)、社内研修等が充実
・社会的目的意識が社員全員で共有されている
・多角経営
・老舗度(長年愛され続けている。安定度が高い)
・ネットワーク度が高い(自社のみでなく周辺企業や消費者との連携力を持つ)

 

■企業ネットワークの可能性

 
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 だが、経営軸をシフトさせることは容易ではない。一般に、大企業ほど序列原理(私権体制)が残存していて、変化しづらい。先に述べたシフトに成功した企業も中小企業の割合が多い。それもそのはずで、所員数が少なければ少ないほど意識変化が起こりやすいし、大企業からの圧力を常に受けてきた分、私権で統合される経営体系の矛盾にいち早く気づける利点を持っていた。こうしたシフトしやすい中小企業は日本でどのくらいあるのだろうか。
 
 「元気の出る経営塾(オーム社)」より、日本の企業の割合を見てみる。
 

「元気の出る経営塾」より抜粋
 
 日本の中小企業はその数約600万、企業の99%、従業員数の80%を占め、製造業中小企業に限っても80万を超え、付加価値の50%以上を生み出している。まさしく、日本は「中小企業国」といっても過言ではない。

  
 全国の企業の99%が中小企業というのは衝撃的な数字である。これら中小企業群は、これからも日本の生産の主軸を担っていくことは疑いようがない。その上で、先に述べた、「いい企業とは」の3条件を発展させながら、日本の企業がネットワークを作っていけば、日本は世界でどこにも負けない生産力を持った企業大国となりえるだろう。日本の未来はものすごく明るいのではないかと思う。

 

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