2011年10月24日
共同体社会の実現に向けて【8】 統合階級の暴走で失われた40年(下)
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日本をはじめとする先進国は今破局への道を進んでいます
この破局への出発点は‘70豊かさが実現し人々の私権欠乏が衰弱、市場拡大が停止したことでした。
拡大限界を迎えた市場を、無理やり拡大するために国債を大量に発行して過剰な資金を注入し、それがバブル経済を生み出し、そのバブル経済による市場拡大も限界を迎え、ついに打つ手がなくなり、破局へと突き進んでいるのです。
失われた40年は統合階級の無能さをさらけ出しました。
統合階級が無能化したのは、金貸しの手先となり市場拡大を絶対視し、事実を見ようとしなかったからでした。
統合階級は40年間も失敗を繰り返したにもかかわらず、いまだに市場拡大絶対のままで何も学んでいません。何故これほどまでに無能化したのでしょうか。
今回は、統合階級が無能化したさらに深い原因、「偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち」の構造を明らかにしていきます。
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【偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち】
しかし彼らは、この期に及んでも、円を売り、デフォルト寸前の米国債を買い続けている。どう考えてもおかしい。彼らは、この40年(少なくとも20年)ものあいだ、何も学ばずに、頑なに「市場主義」にしがみ付き続けてきたことになるが、彼らはなぜ、変われないのか?
もちろん、「市場主義」を捨てれば、地位を失うからであるが、それだけではない。事態はもっと深刻である。
彼らが無能化したのは、私権圧力が衰弱したからであり、従って、’90年代→’00年代→’10年代と時代が下がるにつれて顕著になっていくが、画然と無能化したのは、団塊の世代が各部局のトップの座について以降である。
彼らは、大半が貧困=本当の私権圧力を知らず、従って本当の目的意識を持ち合わせていない。彼らは、単なる試験制度発の「合格」という無機的な目的意識(もちろん、それは肉体的欠乏に根ざした本気の目的ではない)を植え付けられてひたすら試験勉強に励み、「特権」を手に入れた連中である。
又、彼らの大半は、試験制度という与えられた枠組みの中でひたすら「合格」を目指してきただけで、その前提を成す枠組みそのものを疑うという発想が極めて貧弱である。
従って、彼らは社会に出てからも、ひたすら既存の制度の枠組みの中で走り続けることになるが、もはやそこでは、既存の制度によって与えられた特権の維持という目的以外の目的意識など生まれようがない。
かくして、団塊世代がトップor幹部に就いた’00年以降、彼ら特権階級は、ひたすら与えられた特権を行使し、次第に「社会を動かし」「世論を動かし」ているという支配の快感に溺れてゆくようになって終った。
これは、権力の自家中毒であり、それは麻薬中毒よりももっと恐ろしい結果を社会にもたらすことになるが、もちろん彼らには、中毒患者であるという自覚はない。だから、止まらない。
それは、彼らがエリート意識に塗れて、完全に大衆とは断絶してしまったからである。
事実、人々が脱私権⇒共認収束を強めてゆく中にあって、一人、統合階級だけは、全く逆に、ひたすら私権追求と権力支配の道を驀進してきた。
しかしそれは、人々の私権欠乏が衰弱し、私権の監視圧力がほとんど働かなくなった空白地帯での進撃に過ぎなかった。言わば、誰もいなくなった空間での一人勝ちである。要するに、彼らは偽ニッチの罠に嵌ったのである。それも知らずに支配の快感に酔いしれている姿は、もはやアホ丸出しと言うしかない。
上記を図解化すると次のようになります。
原発推進の歴史は、試験制度という与えられた枠組みの中でひたすら「合格」を目指してきた、その枠組みを脱することのできない思考がもたらした象徴と言えます。
原発は、官僚が政治家・御用学者・経済界・マスコミが一体となって「安全神話」をつくり上げ、推進してきました。原発をつくることは至上命題であり、だから原発は「安全だということにしなければならない」という完全に倒錯した思考ながら、彼らはその思考が倒錯していることには無自覚どころか、反対する人間を駆逐し続けてきたのです。その帰結が今回の福島第一原発の事故ですが、性懲りもなく、彼らは未だ原発推進を狙っており、その行為は無能という他ありません。
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参考
人災の原発事故:安全対策より原発反対派対策を優先
権力の自家中毒の典型事例としては、検察による強硬逮捕が挙げられます。検察はその絶対的な権力を使い、田中角栄にはじまり、鈴木宗男、村木厚子、三井環、小沢一郎秘書など、枚挙に暇がないほどの政敵、邪魔者を次々と逮捕してきました。その手法は、予定したストーリーに合わない話はバッサリと切り捨て、意図的に聞き出した断片的な材料を、むりやりつなぎ合わせて、あらかじめ考えた通りの調書を作文し、心理的、肉体的疲労状態に追い込んで、署名を迫るというもの。それにより、己の権力を更に増長させ、暴走を加速する。正に権力の自家中毒状態と言うべき状態です。
(画像はこちらからお借りしました。)
参考
暴走する「検察」①~検察権力の強大さ~
暴走する「検察」②~検察を捜査する機関が日本にはない~
その他にも、官僚の無能ぶりを示す事例は大量に存在します。その一部を紹介します。
禁煙ファシズム進行中。“フリーズ”だけでは社会は悪くなる一方。
『メタボの罠~「病人」にされる健康な人々』の要約~国民の半数を薬漬けにしようとする産学官による悪質なトリック
建築行政の暴走(基準法改正の何が問題だったのか)
【追い詰められた支配勢力と静観する大衆】
しかし、逆に言えば、統合階級がここまでアホだということは、大衆がいつでも彼らに取って代われる準備が整ったということを意味する。
明らかに支配勢力は、根底から瓦解しつつある。一体、支配構造に何が起きているのか?
改めて、社会の大枠から(=構造認識を駆使して)、現在の支配勢力がおかれている状況を押さえておこう。
私権の終焉とは、力の原理の終焉であり、それは、資本主義の終焉を意味する。従って、追い詰められた金貸しの危機感は半端ではない。近年の統合階級を含む支配勢力の狂気のごとき暴走も、直接的には全て追い詰められた金貸しの焦りに発している。
また私権の終焉とは、私権統合の終焉であり、私権統合の結晶体である統合機関が機能不全に陥り、崩壊してゆくのは、必然である。
このように、力の原理を基盤としてきた勢力が、ことごとく機能不全に陥り衰弱してゆくなかにあって、共認形成の場を牛耳るマスコミだけは、共認収束の潮流にのって力を伸ばし、一気に第一権力にのし上がった。
今や、マスコミの作り出す「世論」次第で、特定の政治家や官僚や企業を潰すことは簡単に出来るし、政策や政党支持率を動かすことも容易にできる。
これまで、社会を動かしてきた財界や政治家や官僚etc旧勢力の命運は、今や、マスコミの共認形成力に委ねられている。
逆に言えば、金貸し勢をはじめとする旧勢力の命綱となり、大衆支配の最後の武器となったのがマスコミである。
そのマスコミが、この10年来、「中立公正」という看板をかなぐり捨てて、目に余る偏向報道を繰り返し、好き放題に情報を捏造しデマを流し続けていることは、今や誰の目にも明らかになってきたが、このマスコミの暴走は、そうしなければ一年も持たないところまで、金貸し勢をはじめ旧勢力が追い詰められている証である。
従って、今やマスコミさえ倒せば、旧勢力は全面崩壊する。時代はそこまで来ている。
しかし、大衆はすでに私権から脱して共認社会を目指しているので、私権の多少には関心がないし、いまどき私権力を肥やすことしか頭にない統合階級など、自分たちとは関わりのない別人種だと見なしている。
とりわけ、共認収束の先頭に立つ日本人は、すでに私権から脱却したので、日本では何の運動も起きてこない。
従って、統合階級の暴走は止まらない。このままでは、破局は必至である。果たして、私権社会から共認社会への大転換の時は来るのか?
まずは、このまま破局に突入した場合の状況を、大胆に予測してみよう。
上記を図解化すると次のようになります。
支配勢力(金貸し→統合階級)は、やりたい放題やっているというのも事実ですが、実は完全に「追い詰められている」という状況認識はとても重要です。
象徴的には、現在進行中の「世界金融危機」。これは支配勢力の力の基盤である金融資本が吹き飛ぶというだけでなく、より大きくは、私権の終焉(資本主義の終焉)によって近代数百年にわたって築き上げてきた支配体制そのものが瓦解する危機です。
こうした世界金融危機→私権の終焉(資本主義の終焉)の大きな流れの中で、世界の支配勢力の焦りと生き残り闘争も熾烈を極めています。
そのなかで、今日本で浮上しているのが「TPP」です(米韓FTAも同様)。これは、追い詰められたアメリカ支配勢力にとっては、自由貿易協定によって日本経済(や韓国経済)を占領するしか生き残る道が残っていないことを示しています。だから今、TPP参加を猛烈なゴリ押しで進めようとしているのです。
このTPP参加については、震災復興でそれどころじゃないのになんで今急に?という違和感や、農業者をはじめとする反対論、それらの声を受けて反対側に立つ政治家もいるわけですが、それらを封じ込めるべく支配勢力の戦略の要となっているのはマスコミです。あからさまな偏向、捏造報道を繰り出し続けています。(全マスコミ「TPP万歳」の異常さ「TPP」報道は嘘だらけ)
まさに、追い詰められた支配勢力が、マスコミという大衆支配の最後の武器を使って、なりふりかまわず暴走している、という構造です。
TPP問題については、以下を参照
TPP問題の真実~賛成or反対?? 対立構造は目眩ましに過ぎない
参加したら終わってしまう国を売られる瀬戸際のTPP問題
今の日本は脱私権と言う点では世界の最先端にいると言えます
力の原理を基盤とした権力は私権で大衆を支配することは出来ず、共認形成の場を牛耳るマスコミさえ倒せば権力は全面崩壊します
しかし、私権から脱却した日本の大衆は、私権を脱したが故に統合階級の暴走に怒り立ち上がることもなく静観したままです
原発事故を契機に危機意識や当事者意識が高まり、一部では反原発デモなども起こっていますが、欧米のデモや暴動と比べても活力や盛り上がりが桁違いに小さく、社会を動かす力になりそうにはありません。デモは私権原理に基づいた運動様式であり、共認原理の社会への転換がデモのような運動によりもたらされることはないでしょう
私権は脱却したものの、それにかわる共認原理が潜在意識の段階に留まっているいま、誰も統合階級の暴走を止めることが出来ず、破局への道を進むことは避けられないようです。
しかし、破局への道の中に再生の可能性を見いだすことができるかもしれません
次回は、破局後の世界がどうなるのか、そこに可能性はあるのか、を追究します
- posted by kazue.m at : 11:05 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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