2011年12月09日
これからの時代潮流を捉え、活力・充足で乗り越える IGコンサルティング
みなさん、こんにちは
今回は、浜松に本社を構える「アイジーコンサルティング」さん(以下:「IG」と呼ばせていただきます)を紹介します。
(会社HPはこちらです→株式会社アイジーコンサルティング)
IGは、従業員数150名。浜松(本社)の他、岐阜・名古屋・豊橋・静岡・沼津などの東海圏や横浜・大宮の関東圏に合せて13店、4つのショールームをお持ちの建築関連会社です。住宅の新築、リフォーム、維持管理(定期点検の代行・シロアリ駆除・補修工事等)を中心に、耐震改修も行うなど幅広い事業を手がけていらっしゃいます
こちらは二代目社長 井上芳良さん 昭和36年(1961年)(写真はこちらからお借りしました)
創業は、明治32年(1899年)。なんと100年以上の歴史をお持ちです
初代の計左次 氏が「木造の橋や鉄道の枕木が『白い虫』によって崩壊してしまうという現象をなんとかくい止めたい」と白蟻防除の研究を始めたのが同年。「社会の財産やインフラを守る」という社会的な使命感 をもって、全国でシロアリの防除を行ったといいます。そして、現在でも「住宅・環境・社会インフラを守ることこそが私たちの事業の目的であり使命なのだ」という考えのもと事業に取り組んでおられます
そんなIGは、これまで本ブログで紹介してきた特徴的な企業と同じように、社員の活力・充足を引き上げることに重点をおき、様々な取り組みを行っています。なかでも、四半期に一度行われる「社員総会」、社員全員が発信する「ブログ」が大きな特徴です 今回は、この二つに注目してご紹介しましょう
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◆IGが大切にしていること
①「社員総会」
四半期に一度行われる社員総会
前述のとおり、IGは四半期に一度 社員総会を開催しています。全社員が一同に介して意思統一を図る機会。社員総会を設けている企業は珍しくありませんが、それでも年に1回、多くて2回くらいが普通でしょう。ところが、IGの場合は年に4回(3ヶ月に1回)も開催されます 忙しく過ごしていたら3ヶ月なんてすぐに経ってしまうわけで、社員の実感は「あっという間に次の総会の時期になってしまった」というところでしょう。以下、社員総会に参加した社員さんのブログを紹介します
「社会貢献できる会社っていいなぁ!」(「新入社員 プロフェッショナルへの道」2010年10月7日)
こんにちは中島です。今日はちょっと暑かったですね。車の窓を開けたらキンモクセイの香りが何処からか漂ってきて秋の深まりを感じます今日この頃ですが、昨日は当社の四半期総会と来年度の入社内定式が開催されました。
~中略~
今回の総会は3部構成で行われ、1部では井上社長から全社員に向けてメッセージ。企業成長と我が社の理念、創業の原点を全社員で再確認し『社会貢献』という純粋なマインドで邁進していこう!と。熱い社長の想いが伝わってきました。
~中略~
総会終了後はアイジーコンサルティング111周年記念パーティーという事で懇親会が開催されました。普段なかなか話ができないメンバーと語ったり、盛り上がったりととても楽しく有意義な時間を過ごす事ができました。このような会を開催し社員を大切にしてくださる会社、社長の想いに感謝すると共にアイジーコンサルティングという会社を今以上に『社会貢献』していける企業にしていかなければならないと感じました。
本当に人に熱くユニークで誠実な会社に務めさせていただいている自分は幸せ者です。
日常的に各地の支店に分かれて業務に当たる社員にとっては、全社員の顔が見渡せる貴重な機会となっているようです 年に4回という回数は、社員同士の連帯感を維持するのに必要な頻度なのでしょう。また、内定式を行うことで来期の新入社員=新しい活力を全社員に紹介するなど、会社としての前進感を伴った会になっているようです
気になるのは、井上社長がどんなことを考え、社員総会を開催しているのかというところ その答えは、井上さんのブログに載っていました
「ベクトルの統一」(2011年10月11日)
先日、7日。社員総会及び内定式がありました。
当社では四半期に一度、全社員一同に会して価値観や方針の統一を行っています。
ベクトルの統一、感動企業構築の為の大切な行事となっています。
この総会の継続こそが、我が社を決定付けると思って、大切にしてゆこうと思うのです。
ところで、混迷の世界経済。資本主義の限界を感じます。
新たな希望の光を模索し、確信ある方針を打ち立てる必要があると思うのです。
資本主義に変わる価値。脱資本主義
売上と利益の最大化を追う経済活動が否定されるべきではないでしょうか。
人間主義、共存主義、本物主義、……見えないものを創るのです。未来へ
社員総会の意味は「ベクトルの統一」 各支店に分かれて働く従業員に会社の一体感と統合感を持ってもらうための取り組みとして位置づけられているようです。また、後半の文章は大変含蓄のあるお話です。IGは、4月(新年度)の社員総会で『いまここ』という経営方針書(社外秘なので私たちは見れません)を発表していますが、その中には「資本主義=金儲け」ではない経営方針が記されているものと思います
②「ブログ」
IGの元気印「女性社員ブログ」(写真はこちらからお借りしました)
IGの取り組みでもう一つの大きな特徴は『ブログ』です 井上社長、佐藤常務取締役のトップメッセージに始まり、各支店、専門スタッフ、工事現場、女性社員など、実に様々なところから日常的に発信されています。その数は全部で40以上 全社員がどこかのブログに発信していることがうかがえます
距離が離れた支店で日常の業務をこなす社員にとっては、他の部署の人が何をやって、どんなことを感じているのか、それを知るだけで活力がわいてきそう 新入社員にとっては、現場の生の声を聞き取る重要な場です。そして、会社を統べる社長のブログは、全社員が注目する会社の幹となっているものと思われます。以下、井上社長のブログ「いまここに 全知 全能 全生命力」からいくつかご紹介しましょ
「する される 応える期待」(2004年11月02日)
人生は「期待すること、されること、期待に応えること」が折り重なって出来ている。これは私が経験上思う事であり持論である。私がこの会社の経営に参画するきっかけは、亡くなった叔父の遺言である。…私は24歳で経営の自信など無かったが、叔父の期待に全力で応えようと決意していた。その後会社の業績は目覚しく回復して現在がある。…期待と希望はイコールかもしれない。
「期待を超える」(2004年11月02日)
企業にとって大切な事は、顧客の期待を的確に把握し、応え、尚且つその期待を超える努力をし感動していただくことである。期待を超えるこれが企業存続の条件である。
「CSとES」(2004年11月01日)
本来、社員が自分の業務に使命感を持ち、自分の企業と商品に自信と誇りを感じ満足した時、初めて顧客に滲み出るように安心感と共に満足感が伝わるのである と思う。顧客満足を唱えても、社員の不満が渦巻いているような企業では顧客満足どころか逆に顧客に不信感と不満が伝わってしまう。お客様の満足は、社員の 満足感が滲み出るように伝わるものであることを深く認識しなくてはならない。社員のニーズや、シーズを的確に捉え、社員の満足を実現できないような企業で は、社員の先にいるお客様の心を捉え満足していただく事は出来ないのである。
期待(2007年11月16日)
企業の行く末を考える。我亡き後も社会的責任が果たせるようにと・・・
彼にはこう成長して欲しい、彼にはこう、あいつはこうだ、彼女にはこんな役割り・・・ブレーンの顔と、期待が高まる。際限なく顔が浮かぶ。これから出現するであろうリーダー達にも及んでいく・・・
その成長をしっかり見届け、支えて行こうと思う。
人生は、期待されること、期待に応えること、期待をすること、でできている。
期待され、それに応え、いつしか後進に期待をして生きていくのだろう。
「迷走 先走り」(2011年11月8日)
ギリシャのドタバタ。落胆とともに、諦めすら感じます。まるで、日本と同じようです。
国家のリーダーの迷走は国民のみならず、世界にも混乱を与えることがよくわかります。
混乱はギリシャからイタリアへ、そしてスペイン。。。どこまで続くのでしょう。
財政的に厳しい国は世界に多く存在します。我が国日本も他人事ではありません。
政治の票集め、人気集めの体質を廃し、痛みを伴う改革が必要だと思います。
民主主義と資本主義万能の価値観にメスを入れる時だと思うのです。
大変意味の深い言葉の数々。これはおそらく、社員だけに向けられた言葉ではありません。社会に向けて発信された言葉です 「期待され、それに応え・・・」という言葉を読めば、自らの活力源に気付くことが出来るでしょう。社会に広く目を向け、発信する井上社長のブログは、社員の意識を高め、モチベーションを高めていく役割を担っているのだろうと思います
次に、佐藤常務取締役のブログを紹介したいと思います
原点(2006年7月 3日)
私が言うのもなんですが、このリフォームという仕事は本当に大変です。
忙しいときなど、みんな休日返上は当たり前で、深夜までプランや見積もりを作っています。
なんでここまでがんばれるのか?
まさに、『お客さんに喜んでもらいたいから』の一言に尽きるのではないでしょうか。
作家は『小説』という表現手段を通じて、読者に感動を与える。
映画監督は『映画』を通じて、観る者に感動を与える。
それと同じように、我々はリフォームを通じて感動を提供する。
『リフォームを通じて、住まう人の夢をカタチにする』のです。
改めて、我々の仕事の原点を確認した出来事でした。
こんな報告でたくさんあふれかえるような会社にしていきたい。
精進あるのみ。
第4回ブログコンテスト(2009年7月10日 )
社員総会の報告の続きです。社員総会の中で、半年毎に開催している社内ブログコンテストを実施しました。2年ほど前から、現場での出来事や思いをすぐに伝える手段としてブログを使い始めました。どうしたら定着するだろう?と皆で知恵を出し合い、社内コンテストを実施することにしました。審査基準は、更新頻度やアクセス数、ホームページ製作会社からの客観評価などで、優秀なブログを年に2回表彰するようにしました。その結果、社員自身が楽しみながら、現場の出来事やスタッフの紹介などなど、さまざまな視点から日々の仕事を通じた出会いや気づきをブログを通じて伝えてくれるようになりました。
ブログコンテストによって、ブログを通じて、現場の生の声をストレートに伝えるという目的が果たせたことと、ほぼ全社員がブログを書くことで自らの仕事を振り返ることになり、結果的にスタッフの意識はかなり高まったと思います。
井上社長が考えていることを噛み砕いて言葉にしていたり、日常業務に対する教えなど、より実践的な面で支えていることがうかがえます。もしかすると、ご本人は日々の教訓や反省的な意味合いで書かれているのかもしれませんが、それを読んだ社員にとっては、学び取ることが多いもの。結果としてIGトップがお互いに補い合っているかたちになっています
また、IGが全社員参加のブログ運営を行っている意味合いについて触れられているのも興味深いです。たぶん、最初は今のようにまとまってブログを紹介することは考えていなかったかもしれませんが、皆が知恵を出し合って会社を盛り上げるかたちに変えていったそう。自主的に発信することの重要性と効用が現れているということですね
ここまで、IGの取り組みを見ていくともっと知ってみたいと思うところが次から次へと出てきちゃいますね
例えば、
40以上もあるブログは、最初に誰が「やろう」と提起して始まったものなのでしょうね?ブログを見ていくと一番初めに発信の大切さについて佐藤常務取締役が提起しているのを見つけることができますが、これだけの数のブログを発信していこうと決めたことにはそれだけ強い思いがあったのではないかと思います。加えて、それが自発的に継続されているとすれば、ブログコンテスト以外にも原動力となるものがあるんじゃないでしょうか。IGのブログの継続と発展の秘訣が何なのかとっても気になるところですね。
「全社員が発信」というのは、言うのは簡単です。しかし、日本全国の会社を見渡してみると、それが出来る会社はごく少数。とても難しいことだと思います。パソコンに不慣れな人もいるでしょうし、「なにを発信して良いかわからない」という人が多いのが普通だと思います。全社員が発信するに至るまで、どんなハードルがあって、どのように乗り越えたのか、もしくは、全く問題なかったのか、とっても知りたいところですね。
これだけ社会が目まぐるしく変動していると、日々働く中での気づきや考えを社員同士で随時共有していかないと、早すぎる社会の流れに舵きりが出来ず流されてしまいますよね。「ベクトルの統一」を実現するために、年4回開催している社員総会の他にも、何か社員同士で気づきや考えを共有する取り組みをしているのではないか、とても気になるところですね。
◆当事者として発信することの重要性と意識潮流
(写真はこちらからお借りしました)
主体的に発信する意識潮流について触れられたるいネットの投稿を紹介したいと思います
発信に対する反応を得られる場が開かれて
私自身、テレビを観ていることや、これは観たいと思うテレビが以前よりも明らかに減っている。私の周りの人々や友人にもテレビ離れが進んでいる。「面白くない」と言う言葉をよく耳にするようになった。
ナゼだろう。
笑いを求め過ぎているバラエティー。何をしてでも笑いをもたらそうとしている。笑いは麻痺してしまっている。個人的なことや私生活などプライバシーに関わることも多く、それもおもしろおかしくみせて笑っている。クイズに正解したり、何かに成功すれば多額の賞金を貰えるものも目立つ。お金(や地位)の獲得を活力源としている傍観者の旧観念がテレビの中ではまだ生きている。まさに、現実逃避ではないだろうか。
このようなものは、現代、急速に衰弱しえいるというのに・・・。
それに加えて、テレビと私達(観る側)とは、一方通行な関係である。私たちは、テレビに発信(応望)しても、その反応(充足)を得る事は出来ない。常に、あちら側から次々と流れてくるだけである。
現在、私達は発信に対しての反応を待っている。反応が欲しいのだ。おもしろいことに、一方通行であるテレビに対しても話しかけたり、ツッコミをする人がいるらしい。それほどまでに、本当に私達は反応(充足)を求めている。共認の場を求めている事を示しているのではないだろうか。
ここ数年、住民運動・市民運動やNGO活動・NPO活動への参加が以前に増して注目され、活発となってきている。一般の人々が主になって、何かに取り組む活動が盛んになってきている。また、これらのほとんどが、参加したいと思えば自分の意志で入ることができる。その入り口も広く開かれている。最近で言えば、住民投票や反戦デモなどである。
この、るいネットも勿論そうである。
これらには、一人ひとりが当事者であるという共通点がある。自分達で創ってゆこう、変えてゆこうという動きであり、それを実現・可能にしたものも既にある。反応もダイレクトに返ってくる。
私達は、少しづつではあるようだが、自分達で動けば反応(充足)が得られると言うことを知り始めている。
私権統合の時代は衰え、共認の場や反応を求めるようになった今日。自らの意志で動けるようになり、反応(充足)を得る事のできる場、当事者になれる場も色々と出来つつある。受身の一方通行で反応が得られない、当事者になれないものに対しておもしろくないと感じるのは当然ではないだろうか。
上記の投稿があったのは2003年。このとき既に多くの人に「受身だけでは物足りない。主体的に発信することで当事者になりたい」という潜在思念が芽生えていたのだと思います。IGの全社員ブログ発信が軌道に乗ったのも、この意識潮流とは無縁ではないでしょう。
◆「社員総会」と「ブログ」発信の両輪
IGの「社員総会」は、会社運営・経営方針を確認して一体感を形成する機会 社会の期待をどのように読んで、答えを供給していくか、目標を共有します。そして、社員総会で得た目標や認識で日常の業務に取り組み、成果を社会に向けて発信するのが全員参加の「ブログ」。井上社長の言葉をお借りすれば「資本主義の限界」、すなわち私権統合の終焉は、共認原理で統合される社会の始まりを意味します。そこでは、自ら発信して、相手の反応を得るのが充足。自ら発信して、当事者として皆の期待に応えていくことが活力になります
「社員総会」の意思統一と「ブログ」の発信が上手くかみ合って、活力を維持できていることがIG業績の向上に少なからず結びついていると思います。IGの今後の動きに注目していきたいですね
- posted by ISEZAKI at : 15:13 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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