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2012年05月25日

情報通信産業に期待されることは?(後編)

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前回の記事「情報通信産業に期待されていることは?(前編)」では、情報産業の歩んできた道、情報化が社会にもたらした影響、そして情報通信産業が現在直面している課題を整理しました 😮
◆情報化が社会にもたらした影響
1.情報探索の恒常化・高速化、情報中毒による追求力の低下
2.マスメディアに代わる社会共認形成の可能性、匿名による自我肥大=闇空間の拡がり
◆情報通信産業が直面している課題
1.需要の見極めが迷走、価値の些細な差異化に終始する競争状態
2.激化していく市場
ここでの問題意識は「新しい情報技術・インフラは登場したが、人類社会は未だネットの有効な使い道(皆の役に立つ使い道)を発見し得ていないのではないか」ということです。
だから情報通信産業も苦しい状況に陥っているのではないか。逆に言えば、新しい潮流から可能性を発掘できれば、情報通信産業は新しい意識生産として社会の期待を集める産業になってゆけるのではないかと思います。

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■「自由」「個人」「民主主義」「市場主義」がネットの可能性に蓋をしている
ネットは登場以来「自由」であることを特徴とし、「自由」こそがネットの可能性(良いところ)とされてきました。しかし実はそこが誤りであり、自由という固定観念が閉塞の元凶なのではないでしょうか。
ネットの言論空間、発信・交流の場として、様々なツール(ホームページ、掲示板、ブログ、SNSなど)があります。これはマスメディアに代わる新しい可能性の登場に間違いありません。しかし現在のところ、そこから真に社会の役に立つ新しい何かが実現したかどうかと言えば疑問です。
発信される情報は膨大ですが、統合されずネットワークにもなり得ていません。むしろ情報中毒を加速させています。
これは、「個人が自由に発信する」ことでは何も実現しないことを意味するのではないでしょうか。個人が自由に発信することを無条件で良しとするorそこから何かが生まれるという幻想は、「民主主義という騙し」そのものです。それでは何も実現できないばかりか、一部ネット住民の自我の暴走によって、ネットという新しい場の可能性を潰していくガンにしかなりません。(2chがその典型)
ネットの壁とは、旧住人支配の壁である
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
ビジネスの視点では、様々な情報サービスや商品販売がありますが、「自由な個人=消費者」を当て込んだものがほとんどです。利便性、快美性を煽る情報によって消費者の欲望を刺激するやり方は、ネット空間を単に「市場社会の延長」としてしか捉えられていない証拠だろうと思います。私権圧力の衰弱によって物欲も衰弱し市場が縮小している現在、ネットに場を移してもその流れは変わるわけではありません。そうであるがゆえに、些細な差別化や些末な付加価値、あるいは幻想価値を過剰に訴求するビジネス、騙しビジネスに終始する苦しい状況になっていきます。こうした市場主義の価値観では、ネットの新しい可能性など発見できないし、ビジネスとしても限界は明らかであろうと思います。
上記の旧い市場商売とは異なり、皆が役に立つ情報や認識を提供するサイトもありますが、事業(ビジネス)としてはなかなか成立していないのが現状で、市場主義に代わる何らかの新しい仕組みが必要なのだろうと思います。
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画像はこちらからお借りしました。リンク リンク

■ネットの新しい可能性を発掘していくには、大きな発想の転換が必要
これまでネット空間が前提としてきた「自由」「個人」「民主主義」「市場主義」という価値観のままでは、新しい可能性は発掘できません。
ここは大きな発想の転換が必要であり、おそらくそれは「消費や遊びではなく、課題」、「自由や無秩序ではなく、秩序化」、「個人ではなく、集団をつなぐ、集団や社会を統合する」という方向性ではないかと予感しています。
いずれにしても旧観念(旧い価値観や常識)にとらわれることなく、意識生産の本義に立ち返って、人々の意識潮流、次代の社会期待をどう読むかがカギになります。
■新しい意識潮流と社会期待
○私権から共認への大転換
貧困(飢餓の圧力)の消滅によって、私権を獲得しなければ生きていけないという圧力=私権圧力は衰弱、私権を獲得しようとする欲求=私権欠乏も衰弱します。
人々の活力源は最も深い潜在思念の地平で私権収束から共認収束へと転換しており、同時に集団や社会の統合原理も私権原理から共認原理へと転換しつつあります。
ここ十数年でのネットの急速な普及も、この「共認収束」の潮流が生み出したものです。
「共認充足」「期待に応える充足」を求める欠乏=需要にいかに応えるか、この意識潮流の先に人々が求めるものは何か、ここが焦点となります。
共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
○同類探索の引力
私権収束から共認収束への転換は必然的に同類探索の引力を上昇させます。同類=他の人たち・仲間・みんなの期待や考えや評価が常に羅針盤となり、それらを探索し続けること=同類探索が意識上の最優先の課題となっています。
携帯をいつも手放せないのも、SNSの拡がりも間違いなくこの同類探索の引力の上昇に起因しています。
一方でSNSも次々と登場しては廃れていく傾向(参加者もいずれ飽きて離れる、情報量の増大についていけなくなる)もあります。単なるつながりではなく、その先の中身、意味のある課題や答えが求められているように思えます。
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同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた 
○共認収束⇒課題収束⇒集団統合期待/社会統合期待
最新の潮流として注目すべきは「課題収束」=周りの期待に応えるために期待課題に収束する意識潮流です。
これはバブル世代に象徴される遊び第一の価値観とは正反対であり、遊びの終焉とも言えます。当然、遊び需要をあてこんだ娯楽系の情報通信産業も既に限界を迎えています。現在は、あらゆる手段で過剰刺激を与えて「中毒」状態を続けさせ、かろうじて需要を維持している状態でしょう。
自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
この課題収束の潮流は若者の意識に顕著ですが、役に立ちたい、集団を良くしたい、社会を良くしたいetc という目的に収束しつつあります。特に2011年の大震災と原発事故以降、マスコミ・官僚・学者の無能化と暴走が明らかになるにつれ、社会的な変革期待⇒実現期待が日増しに高まっているように感じられます。
自らの生産の場=企業をいかに統合してゆくか、マスコミに代わる社会的な共認形成の場をいかにつくってゆくか、これらの統合期待に対して情報通信技術はどのようにあるべきか、何が出来るか、追求すべき課題であろうと思われます。

■大衆の期待に応える情報通信技術とは?
このような大転換期の中で、人々の課題意識は、仲間や集団から社会へと急速に広がっています。ですから今後は、「どうやって集団や社会を統合してゆけばよいのか?」「事実情報をどう整理してゆけばよいのか?」といった社会的な課題が顕在化してゆくでしょう。そして、その期待に応える中枢となり、最先端で導いていくことができる可能性が、情報通信産業にあるのではないでしょうか。
○集団統合期待に応えるシステムとしてのインターネット
私達の最も身近な生活・生産の中心となる場(集団)が職場ですが、企業内の共認形成の場をいかに活性化するかが企業を統合していく上で重要なポイントとなります。多くの企業が、朝礼や会議をなどの共認形成の場を活性化することに注力しているのもそのためです。経済の動きや業界や競合の情報など企業の外圧を共認し、課題・役割・評価をどれだけ深く共認していけるかが重要となりますが、対面での共認形成には物理的な限界があるのは明らかです。全方位的な受発信を可能にするインターネットには、その対面の壁を突破し、共認圧力を形成できる大きな可能性があります。
るいグループで実践している社内ネットは、その一例です。
一日に300をも超える投稿が社員から発信され、部門を超えた状況や課題を共有しています。企業の外圧状況はもちろん、社員の問題意識や仕事姿勢を感じ取り、さらにその投稿をみんなで評価していく事で、全員が参加できる活気ある共認形成の場を実現しています。社内ネットを集団統合の軸に据えることで、一体感のある強い組織を形成することができています。
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○情報統合、社会統合の期待に応えるシステムとしてのインターネット
現代の社会は、多くの集団が有機的に繋がることで構成されています。そしてこの社会を共認統合していくには、事実の共認が命綱ですが、マスコミやネットには膨大な情報が流れており、事実が見えにくくなっています。ですから、これらの情報を整理していくことは社会の大きな期待のひとつです。そして、社会的な課題・役割・評価共認を形成していくためには、普通の人々がいつでもどこでも主体的に参画することができる共認形成の場が不可欠です。
また、事実情報が統合されることで、旧観念に代わる現実に使える理論や概念を作り出してゆくことも可能になってゆきます。このように、情報統合や、社会統合の期待に応えるシステムとしてもインターネットの可能性があります。
例えばるいネットでは、集団の枠を超えて、多くの有用な事実情報が投稿され、「社会閉塞の根本原因」「活力再生どうする?」「これからの企業の役割は?」など社会の課題を突破していくための追求や議論が活発に行われています。新たな仮説や現実の役に立つ認識が日々生み出され、共認されていく場となっています。
現在では、週間訪問者は140万人を超え、43万投稿が蓄積されています。
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■情報通信産業の可能性
このように、共認形成の場をつくり、事実を整理・体系化していくという共認社会実現に向けての基盤作りが、情報通信産業が今期待されていることではないでしょうか。
そして、この共認統合のためのツールを作り出してゆくには、情報通信産業が真っ先に共同体企業に転換し、共認統合と共認充足の実現態となってゆく必要があります。
すでに情報通信産業の中にもそのような共同体的企業は生まれ始めており、厳しい状況下でも着実に成果を上げ活路を見出しています。

株式会社村式

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仕事を通じて価値観の違い等が出てきても、ドンドン意見をぶつけ合い、理念そのものを進化させて行く、という形で社内の意識統一がより深く、広く、展開されています。真剣に想いをぶつけ合う相手は、社内だけに留まりません。
クライアントと合宿形式で徹底的に議論を重ねあわせて起業HPを作成する、といった商品企画まで用意されています。
さらにただでさえ仕事がハードな業界にありながら、東京de寺子屋、朝礼ワーク、技術勉強会、潮流会社、社内木鶏、表現会、スマホ会など楽しそうに色んな学びの機会を設けています。

株式会社サンエイ

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社員との共有を図るべく全社合宿を重ね、社としての一体感を高めていきました。こうして導き出された新事業が、平成8年、地域密着型のインターネットプロバイダー事業『スカイネット』
全社員ブログのひとつで個人的な趣味として始めた番組作成がネットを通じて地元の企業や仲間に注目されるようになり、社長公認で本格放送に踏み切られます。テレビや雑誌、ラジオ番組にも取り上げられ、一躍地元の有名人となったのです。今や地元のイベントの司会でも引っ張りだこ、サンエイの営業部の一社員がサンエイの宣伝塔となったのです
社員の自主活動を軸に社員の主体性を伸ばす、武田社長の戦略は、発想力豊かな社員を育て、仕事とプライベートの垣根を無くす効果を生み出しまし、「ユニークな社内風土」と「社員の仲の良さと活力」を実現した結果、これまでも地域密着型の営業で獲得してきた地元顧客からの新たな期待に応えうる基盤を獲得し、今も成長を続けています。

■まとめ
社会は共認原理に大転換し、集団や社会を統合していくためには、「共認形成の場」と「旧観念に代わって社会を導く新たな理論」が必要です。また人々の意識潮流からもその期待は日増しに大きくなっています。
ここにこれからの情報通信産業が応えるべき期待があります。
その期待に応えてゆくためには、自社の枠組みを超えて、集団や社会の「秩序化」、そのための「情報統合」と「事実の体系化」というベクトルで考えてゆく必要があります。
そして、その実現に向けて、まずは情報通信産業に関わる企業自身が共同体企業=共認統合の実現態となり、社会に向けてその可能性を発信してゆくと共に、蓄積された専門技術によって、共認統合のための場を企画、運営してゆくことが大きな可能性を切り開いてゆく第一歩となるのです。

 

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