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2013年07月20日

未来を拓く、社会事業の可能性-2-成功事例から学ぶ社会事業継続の秘訣

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前回の『未来を拓く、社会事業の可能性-1-なぜ今、ソーシャルビジネスが注目されているのか?』では意識潮流や歴史から、現在、社会事業が注目されている背景を分析し、今後ソーシャルビジネスに可能性があるのかを追求しました。
「人の役に立つ、社会の役に立つことそのものを自らの仕事にしたい」という本源的な意識が強くなり、その一部が社会事業といった形で顕在化しています。
過去にNPOなどの社会事業が多く立ち上げられてきましたが、そのほとんどが発展性や採算性がなくいつの間にか消滅してしまう団体でした。しかし、近年になって、継続的、発展的な社会事業が生まれてきています。それはなぜでしょうか?
そこで今回は、継続できている社会事業は、どういった仕組みで、どういった工夫をしているのか、どのように採算をとっているのか、どこに可能性を感じるのかといった部分を成功事例から学んでいきます。

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◆社会事業成功事例
1.本当に必要とされている学びの場「あかちゃん先生」

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○設立経緯
理事長自身が孫が出来て久しぶりに触れ合った赤ちゃんという存在にとても癒されたことが最初のキッカケでした。出産後の女性たちが「預けて働くか、諦めるか?」の選択肢しか無い事に疑問を抱きました。混迷の時代、人として大事な事を教えてくれる赤ちゃんとの触れ合いはこれからの時代きっと必要になる!子育て中だからできること!赤ちゃんの共感力を生かした赤ちゃん先生プロジェクトは沢山のママたちの思いからスタートしました。
○活動内容
赤ちゃんの表情や泣くことで表現する赤ちゃんの感情を読みとろうとするうちに、人間特有の共認回路が活性化し、他人のことを思いやる精神が身についたり、コミュニケーション力を向上させたりする効果があるということから、3歳未満のお子さまを「赤ちゃん先生」といって講師として、「小中学生、高大学生向け、高齢者施設向け」といったプログラムを組み、赤ちゃん先生の持つエンパシーの力を最大限に引き出していき、広めていきます。
○成功・工夫ポイント
・赤ちゃんを先生にするという新しい発想
・誰でも参加できる供給者のネットワークの構築したこと
参考リンク

2.真の循環型社会をめざして「NPO法人 伊万里はちがめプラン」

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○設立経緯
伊万里はちがめプランは、平成4年に生ゴミや廃食油を市民の税金で可燃ゴミとして処分していることのおかしさに気付いた市民や飲食店の仲間が集まり結成されました。
○活動内容
生ゴミを捨てるのはもったいないと考えて生ゴミの回収、調査を開始しました。その後堆肥化プラントを設置して生ごみリサイクルを実現。生ゴミの堆肥化、廃食油の燃料化、有機農業等に取り組み、食資源循環を推進しています。さらに、経済産業省の支援ではちがめ農産物直売所を開設しています。 
現在では、食品関連71事業所と250世帯の一般家庭の生ごみを回収し良質な堆肥を生産しています。
○成功・工夫ポイント
・『農家→直売所→消費者→ゴミ処理(堆肥化)→農業→・・・』のような地域の信認関係で運営していけるサイクルシステムを作りあげたこと
参考リンク

3.次世代の農業担い手をつなぐ「農家こせがれネットワーク」

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○設立経緯
日本の農業はこのままでは、担い手不足、工作放棄地の拡大で立ち行かなくなると予測されます。このような現状を改革するためには農家のこせがれが実家に戻って実家を継ぐことが必要です。
しかし、この現状は農家だけが頑張っても解決することはできません。そこで、広く協力者を募ってこの活動を日本全国に拡げるためにこせがれネットワークは設立されました。
○活動内容 
全国8箇所での設立総会、農業の魅力の伝達、生産者のマーケティングの場となる六本木農園、森ビルと連携したアークヒルズマルシェ、都心のビジネスパーソンに農業の魅力を伝える丸の内朝大学農業クラスなど、活動の場は多岐に渡っています。
 今後は、農家のこせがれが実際に実家に帰る取り組みをパッケージ化することで、ミッションの実現を加速させて行く予定です。
○成功・工夫ポイント
・農家から変えていこうとするのではなく、まずは都市の人の意識を変えていこうという今までとは逆の発想で、都市と農家を繋ごうとしたこと。
・跡継ぎがいないという家族内の問題とせずに、一家庭の問題もみんなの課題として、問題意識を共有する人が集い、相互に解決に向かえる繋がりの場を作り出していること
参考リンク

4.工房おのみち

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○設立経緯
もともとNPO法人工房おのみち帆布は、尾道に昔から伝わる「尾道帆布」を廃れさせまいと、帆布を使ったバックや小物を制作し販売していましたが 実は、綿の国内自給率が0.01%以下だったことを知り、尾道の地で育てた綿で帆布を作りたいという思いから綿の栽培を開始しました。今では、市長と市民の協力もあり、栽培面積は500坪の栽培面積となっている。
○活動内容 
現在は綿の栽培だけでなく、綿の栽培による教育活動やワークショップの開催など新たな事業展開を行い、地元企業や住民とのつながりを強くしています。 将来は尾道の他の企業を助けられるような存在になることを目指しています。
○成功・工夫ポイント
・綿の国内自給率が0.01%以下だという違和感に気づき、今まで国内では綿を作るといった発想はなかったが栽培に挑戦したこと
・綿を栽培するだけでなく、綿からバック等の商品の制作や販売をいったネットワークを拡げていったこと
・ネットワークの拡大により観光資源にまで結びついたこと
参考リンク

5.世代を超えた無数のキッカケづくりはここにある!「江東園」

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○設立経緯    
江東園は特別養護老人ホーム(定員五十人)、養護老人ホーム(定員五十人)、保育園(一才~五才、定員八十人) が同じ屋根の下に同居する複合施設です。老人ホームに保育園を併設し、子どもたちと行事を一緒にやる機会が多くなり、やがて日常的に交流をもつようになり、現在のよう形になっていきました。
○活動内容
ちょうど一つ屋根の下で暮らす大家族のようなもので、現在、0歳児から99歳までの方がいます。大人になると、障害がある人や、肌の色が違う人を差別してしまうことがありますが、ここでは子どもたちは、違いを自然に受け入れあいながら一緒に生活しています。施設としてもお年寄りと子どもたちが、自然に関わることができるようにきっかけ作りを怠りません。希望するお年寄りは、子どもたちのおやつの配膳のお手伝いや、昼寝の着替えや、寝かしつけなど、基本的に自由に保育室に出入りしています。
○成功・工夫ポイント
・お年寄りに役割をつくり、それを現実化することで『人のために役に立つ』ことが生きる力となり、「お互いに必要とする、されるいい関係」が気づけるということ
・子供と高齢者の動線を一緒に行動(生活)する困難な課題も、行事やイベントなどを賛同する人のみが参加することで共認形成に力をかけ、制度の壁やリスクを乗り越えた場所であること
参考リンク

6.新たな居場所、私たちの居場所、「うちの実家」

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○設立経緯
・代表者の河田さんは、大阪で特養に勤務ののちに義父母介護のために新潟に帰郷し、会員制で有償による市民相互の助け合いの住民参加型の在宅福祉サービス「まごころヘルプ」を1990 年に設立しました。しかし、活動するなかで家族といても孤独な高齢者が多いことに気づき、子どもからお年寄りまで1時間でも1 日でもいられ更に泊まることができるところが必要と感じ、「地域の茶の間」を開催しました。
○活動内容
誰かに会いたい、話したい、一緒にお茶したい、行くところが欲しいと言う人々の願いに応えた常設型の地域の茶の間で、子どもからお年寄り、障がいの有無に関わらず、誰でも、いつ来ても、いつ帰ってもいい居場所です。
みんなで行う特別なプログラムはなく、何をしてもよく、参加者が自分の実家ですごすように、思い思いの時間を過ごしています。
参加者からは会員会費とその都度参加費や食事代を頂き、バザー、寄付で運営し当番1名のみ小額有償して、参加者が出来ることを当たり前に助け合って利用しています。
○成功・工夫ポイント
・気軽に利用できる生活の場を通して、信認関係に基づいた地域ネットワークの構築を行ったこと
・誰もが供給となり、誰かの役に立ち充足を得られる場作りができたこと
参考リンク

7.親子ペアで社会参画!リサイクルで広がる【命の輪】 「株式会社 アースパートナー」

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○設立経緯
代表の渡辺さんは、母親が高齢者施設に入所し、高齢者や障がい者、職員と交流を深めていく中で、一緒にできることがないかを考えていました。その直後に訪れたリーマンショックを機に、自分の原点を見つめ、協働型リサイクル事業をスタートしました。
○活動内容
障がいを持つ事子供とその母親が一緒になって、空き缶や食品残渣を回収する。空き缶は障がい者や高齢者施設にて分別作業をして買い取っています。
食品残渣は肥料公社に搬入し堆肥化する。これを使ったハウス栽培を実施し、収穫作業を養護学校の体験教室や障がい者施設等に委託。野菜は直営販売所「まちの駅ゆい」やスーパー等で販売しています。
○成功・工夫ポイント
・障がいを抱えた子供の世話で社会参画できない母親も「親子ペア」という形で雇用することで、働きやすい環境があること
・単なるリサイクルではなく、地域で有効活用されていないリサイクル資源のネットワーク化・人の輪・経済の輪が地域内に広がり情報発信と連携、協働を合わせもった循環型のリサイクルを実現したこと
参考リンク

8.自分たちの今ある力が大切!住民による住民のための会社!! 「株式会社 大宮産業」

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○設立経緯
農協の出先機関の統合により、地区の大宮出張所が廃止となり、買い物難民問題が浮上したため、住民が協議を重ね、地元住民のうち約8割(108 人)が出資して株式会社を設立しました。
○活動内容
JAから施設を買い取り、ガソリンスタンドを併設する共同売店の運営を開始。物販だけでなく、住民からなるアドバイザー会議の開催、宅配サービスや感謝祭の実施など、地域コミュニティを大切にした取り組みを工夫。地元産の減農薬栽培米を「大宮米」としてブランド化し、「地産外消」と積極的に販路を広げています。
○成功・工夫ポイント
・出資者と受益者が同じために、住民のニーズに応じたサービスを提供していること
・行政機関に頼らず、自分たちでつくり、自分たちで買い、また作るという今ある力、ものを活かした自力型ネットワークであること
参考リンク

◆可能性があるのはどのような事業?
・もっと良くなりそう!充足発の提案!
今ある不満や問題点の解決ばかりに目を合てるのではなく、何となくこれをしたら面白そう!もっと良くなりそう!という充足発の提案あることが重要です。理屈抜きで(潜在思念的に)「イイネ」を感じてもらえない活動では成功できません。可能性の感じるものには自然と仲間も集まり成功の可能性が大きくなります
・求められているのは新技術ではなく、今あるものをどう使うか!
革新的な技術を使わなければ継続できないわけではありません!今回の事例からも今ある技術、施設、人などをどう組み合わせて使っていくかといったことが重要だということがわかります。新技術を待つよりも身近なものを使って、自分達の手で何かを作り出していきたいといった想いの方が人々の中で高まっています
・供給者のネットワーク化!事業継続可能なシステムの構築
誰もが供給者となれる仕組み作り出すことで、今までのように一方的な供給ではなく、誰もが供給者になることで多くの人が主体的に場作りをしていくことが求められています。
お互いに供給し合い支え合うことで、新たな可能性、どんどん良くなっていく発展性を生み出しています。
供給者のネットワークの構築が事業継続には不可欠です。市場原理に則った目先の利益で結ばれたネットワークではなく、信認関係に基づいたネットワークを築く必要があります
。信認関係で繋がった事業だからこそ継続していけます
・現実を直視した事業
旧来の社会事業のように大きなテーマに目を向けるのではなく、身近のちょっとした違和感や、ちょっと工夫すればもっと良くしていけるといった、生活の場(現実)に直結した場を変えていく事業であること。観念にとらわれずに、現実を直視した上で考えられた「現実をよくしていくためにはどうしたらいいのか?」の答えをみんなは求めています
今回は社会事業を専業として行っている、事業の例から「可能性のある社会事業とは?」を学びました。次回は、専業を別にやりつつ、社会事業も行い、専業と社会事業の両方で成果をあげている事業から「可能性のある社会事業とは?」を学んでいきたいと思います。 😀

 

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