2013年11月14日
地方からの挑戦!実現の時代~Wall Art Festival in SAKURA 2013 ~その2
前回のエントリーでは、WAFinSAKURAの実現に向けての歩みを紹介しましたが、今回はこのイベントに纏わる魅力発見と、当日の様子をご紹介します。
まず、今回のプロジェクトに立ち会わせていただき、一番驚いたのはここに集まった方々の動き方でした。通常、企業があるプロジェクトを動かしていく場合、当然の如くそこには統合者が定められ、統合者の指示に基いて役割分担したスタッフ達が作業を遂行して行きます。規模が大きくなればなるほど、その成否は統合度や段取りに規定されて行きます。
しかし、さくら市WAFの場に集う人々の動きは、全く異なるものでした。誰かの指示を待つまでもなく、必要と感じた事を率先して誰かが担っていく。特に地元の方々の動きには、眼を見張るものがありました。プロジェクトの中心を担う桜縁会のメンバーは殆どが経営者であり、日中はそれぞれの仕事がある為、集まれるのは夜中だけになります。つまり日中は、地元のお年寄りやボランティアの方々で準備を進めることになります。よって、必然的に指示者が居ない状態となるのですが、何の混乱も無く準備が進んでいったそうです。
例えば、当日屋台を出すための仮設建屋等も、地元の方があっという間に竹を使って組み上げてしまう。
朝晩には、窯場でご飯が炊かれ、一緒にお食事。アーティストさん達は、地元の方の家に下宿住まい。誰が来ても自然と溶け込み、昼夜を共に出来る環境がある。
これはキックオフの宴の時から発揮されていました。宴の食材は、地域の方々がドンドン持ってきてくれます。誰が頼んだ訳でもなく、集まった人数を見て次々と食材が持ち込まれ、調理され、振る舞われていくのです。宴の合間に区長や市長も訪れ、いつの間にか宴会の輪に加わり、皆で楽しく酒を飲み交わす。輪の中心には薪がくべられ、鮎が焼かれたり、芋が焼かれたり。ギターが弾けるという話が出れば、いつの間にか楽器が用意され、大合唱が始まる。誰も仕切らないからこそ、それぞれに心地よい過ごし方をし、自然と交流が深まって行きました。
日本人の心とされる「おもてなし」、とはひと味もふた味も違う心地よさがそこにはありました。通常、「おもてなし」には、もてなす(お店)側ともてなされる(お客様)側の役割分担があります。しかしここでは、特段だれももてなしていません。ただ、寄って集まった同士が居る。仲間のためにお互いが存在し、役割は自ら見つけて動いていく。ただそれだけの事。共認原理って、こうゆうものかも、と思いました。
こんな形で着々と準備も進み、いざフェスティバル当日。
この日は大型台風が迫っており、地域の他のイベントは全て中止となる中での開催でした。
しかし、蓋を開けてみれば台風は軌道を反れ、午後からは晴れ間も広がり始め、気が付けば400名を超える方々が訪れました。開会式は、地元の幼稚園生が今回のイベントの為に作られた WAF WAF音頭 を踊って幕開け。
そして午後、雨の上がったグラウンドでは、遠藤一郎氏による、地元の方々の夢が描かれた300枚の連凧が未来へ向けて空を舞い、お祭りの空気を盛り上げます。
そして、夜にはまたまた大宴会(笑)。面白いのが、この夜の部の為にも様々な出し物がいつの間にか用意されていること。フラダンスや地元バンドメンバーが駆けつけ、夜の小学校が大人の祭り場となり、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。
快晴の元スタートを切った二日目には、加藤士文氏による地上絵がグラウンドに描かれ、空には連凧の龍が舞い、予定通りのプログラムが全て実現しました。
二日間で1,000名を超える来場者。限界集落と呼ばれる喜連川の地域から見れば、 大成功 と言える人数が集まりました。結局、最後まで誰が何の関係者なのかも正確には掴めぬまま、そんな事はどうでも良い、という空気の中で、最後までさくら市の“人が寄って立つ空気”に触れさせていただいた事に、何よりも感謝の思いを抱きました。
インドとさくら市を繋いだラジェーシュさんの魂が込められたワルリ画は、訪れる人々を暖かく迎え入れ、誰もが沈黙の眼差しでその世界観に引きこまれていきました。ワルリ画に描かれている人の造形は本当にシンプルですが、じーっと眺めていると、本当に人の暮らしや活動の様子が頭に浮かび上がってくる。作者の思い、そして作者の背後にいる人々の姿が浮かび上がってくる表現力には、みんな感嘆の声を挙げていました。言葉は通じなくとも、しっかりとその反応はラジェーシュさんにも届いたと想います。
そしてあっと言う間に迎えたWAFのフィナーレでは、ラジェーシュさんからも感謝の言葉が。
同じ地球に住むもの同士の繋がり、そして学ぶ場(学校)がある事の大切さ。一度廃校となった旧喜連川小学校が、こうして改めて人の集まる場になったことの意味する可能性。その先にある未来を、また皆で築いて行きましょう!
という心強いメッセージ。
最後の締めは、プロジェクト立役者の岩崎さん。
自分一人では何も出来ないが、こうして人が集まると何でも実現できる。本当に、みんなのおかげ。感謝の涙で、締めくくり。
と~っても素敵なイベントでした。地域共同体の大切さ、そこにある力、魅力、本当の意味での協働の姿。沢山の事を学ばせて頂きました。都市部では金と時間に日々追われる生活が当り前となっている昨今ですが、少し足を伸ばせば、全くの別世界が広がっている。日本の持つ可能性は、まさに地域に残された共同体の中に在る、と実感しました。
- posted by kawa_it at : 13:24 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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