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2013年11月19日

日本の大学どうする?~企業が学生・大学に期待していること~

グローバル人材育成にターゲットを絞り、徹底した英語教育に特化したAIU(秋田県・国際教養大学)ですが、卓越した英語力を身に付け社会に出ても、それだけでは十分な企業人(社会人)足り得ないと言うのが前回記事の内容でした。
今「グローバル化」という言葉がメディアで氾濫しています。これはある意味社会の期待であるかも知れません(精査は必要)が、AIUの事例は、テクニカルな教育だけでは実社会で通用しない、企業は学生に対してもっと別な力(真っ当な社会人として持つべき力)を期待しているのではないかとも想定されます。更に言うならこの力を獲得した上で「グローバル」教育を(必要ならば)行うのが大学の役割ではないのかと考えられます。
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では、この力とは何か?言い換えるなら企業が学生・大学に対し真に期待しているものは何か?を追究するのが今回のテーマです。
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ありがとうございます 😀
企業人の集まりである社団法人関西経済同友会が、2011年7月に発表した提言『社会が求める大学の人材輩出戦略 ~まずは学部教授会の改革から~』にズバリ今回のテーマに対する「答え」(或いはヒント)が書かれています。注目すべき論点をまとめると以下になります。
●企業(社会)が求めているのは、「社会力」のある学生
●これを実現する為に大学がまず実行すべきは、「学部教授会」の解体
◇「社会力」とは
経済同友会がつくった造語ですが、その定義は、
普遍的な教養や倫理観、他者と連携・協調できるコミュニケーション能力、またチャレンジ精神やリーダーシップ力、学習を継続する力など、社会において必要とされる資質や能力」とされています。
誤解を恐れず解釈すると、前半(青色部分)は人としての根源的な力であり主に大学に入るまでに身に着けるべき素養です。当ブログで何度も出てくる「共認力」とか「共認形成力」とも言えるものです。
参考→共認時代における人材育成とは
後半(橙色部分)が大学で磨くべき力であり、時代状況(外圧状況)に応じて刻々変化するものであり、今、最も求められている力を一言で言うなら「自考力」となるのかも知れません。
参考→学生に与う3 新しい活力源は、周りの期待に応える充足:経営版
から引用します。

この共認収束の潮流は、今後100年は続く大潮流であり、現在も私権から共認への大転換は進行中である。そして、その途上の’11年、3.11と統合者たちの暴走を契機として、この大潮流は遂に「自分たちの手で作り出せる能力」あるいは「自分の頭で答えを出せる能力」への期待、云わば自給期待の潮流を顕在化させた。

社会が求めている「自給期待に応えうる」力こそ「自考力」ということです。
◇学部教授会を解体すべし
提言の中で大学危機の原因を「大学の教員・職員自身が、『社会力』に欠けている」と指摘します。このことが全てを物語っているといえますが、大学が「社会力」を獲得する上で最大の障害になっているのが、硬直した教授会自治にあるとしています。
では大学教授会自治とは何か?
学校教育法は、「教授会は重要な事項を審議する」ことを定めている。しかし、教授会は教員の人事権、カリキュラムや科目の編成権、学生の成績や身分などを決める大きな権限を有するが、大学全体の経営や運営に関する責任を問われないため、自ら所属する学部の利益のみを優先する傾向が強い。
このため、教授会自治の名のもとで、本来あるべき学長や理事長による適正な大学全体の経営や運営を阻害する最大の要因となっている。
さらに、
教養教育は学士課程教育の重要な一角を担う教育であるにも関わらず、専門教育を担当する教員の関心は薄くその教育体制は学外講師(非常勤講師等)に依存する傾向が強い。教育上の責任体制も不明確なままである。
また、
多くの大学では、「学部間の壁」が高く、学生が自由に他学部の科目を履修したり、単位が授与されたりする仕組みになっていない。
これは、
大学が、歴史的に研究重視の東京大学をヒエラルキーの頂点として構成されてきたことから、研究を担う「教員中心」の大学運営、外部から何ら評価圧力が働かない教授会自治が存続してきたことによる。
この結果、
企業(社会)人としての素養も無く、企業(社会)で殆ど役に立たない専門教育を身につけた学生を輩出してきたのが今までの大学です。2018年問題を初め今後大学の生き残りをかけた外圧を乗り越え存続する為、喫緊の課題は「学部教授会」の解体となるのです。これも参考にして下さい→いま、大学の何が問題なのか?~大学の22の問題点
最後に、関西経済同友会の「提言」を抜粋、掲載しておきます。
提言1 教育中心の大学に! 「大学は教育機関としての使命を全うすべき」
提言2 大学はミッションを明確に! 「各大学・学部は、それぞれの個性にあった特色ある教育を行うべき」
提言3 まずは学部教授会の見直しから! 「リーダーシップと責任の所在を明確にした組織に改革すべき」
提言4 情報開示の徹底を! 「大学は改革の達成状況を広く社会に開示し、その評価を通じて改革を促進すべき」
この提言を一つでも実行する為には大学自身が組織改革を実行しなければなりません。教授会の壁は想像以上に厚く、高いのかも知れませんが、これをのりこえ無ければ大学の明日はありません。次回は、この改革を実現した事例とその可能性を考えてみたいと思います。

 

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