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2013年12月21日

関西を知る~京都企業の業績がいいのはなんで?~老舗の理法編~

京都には一千年以上続いている商家・細工師が20軒以上あります。
任天堂を含む百年以上ともなれば700軒を越し、これは他都市と比較にならない数です。ここに、京都の商家がもつ”永続への哲理“があるのです。
 
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(画像はコチラからお借りしました。)
 
今回は、それら京都企業の「老舗の理法」を紹介します。
(以下コチラより引用)

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【利益よりも存続 】  京の老舗は、目先の利益に走らず、家業の商売を細く長くいつまでも続けることに最大の重点を置く。「商いは牛のよだれ」「ひたすら永続させることこそ命」である。
もちろん商業だから利益は必要。しかし、(バブルのような)不義・不当の利得はきつく戒める。そして世間のニーズに適った事業を正々堂々と行い、やがて信用を得て老舗となり、社会の役に立つ事に存在価値を置く。
京都は永年政治の中心であり、動乱の中心地であった。そのため京都人は、支配者が誰に交代しても、我が家だけは永続させたいという意識が強烈に働く。加えて、遠い祖先から伝わる経験から物事の本質を直感的に洞察する才能に長ける。
家業の自衛・存続を第一に、時流に惑わされず、物事を百年・千年の長大なスパンで見、念を入れて対応していくこと、これが京都商法の土台である。
<老舗の条件>
「老舗」とは、(1)先祖代々の業を守り継ぎ(2)長年の営業で顧客の信用・愛顧を得(3)今なお繁盛している店のこと。 “永続”と”繁盛”が二大条件
になる。
老舗もまた最初は新店である。そこから何世代にもわたって、変動する情勢を読み、激しい競争を勝ち抜き、天災や戦乱にもめげず、時代を乗り切らねばならない。ある時には、「新しがり屋だ」「無謀だ」と叩かれても、思い切った発想で改革を断行しなければならない。それが”若返り”を生み、次の時代へ向けての生命力となるからだ。

【量より質 】   京都商法の基本は、「量より質」の商法である。商品に対して絶えず努力を惜しまず、繊細な心配りで良質なものを作り、顧客に満足してもらうことが先にある。売れるからといって質を落としてまで生産量を増やすことはしない。
京都の伝統産業のほとんどは平安宮廷のために生まれ、その後時代の変動に対応しながら、常に技術を錬磨しノウハウを蓄積してきた。そうした根っこの深い美工芸の上に立ち、それを守り育てていく。そこに活路と誇りを見出す。
そしてこの品質を支えるのが、社会的分業制である。中世に絶えず権勢が交代し、政治・経済が変動する中で、彼ら自身の保身術として生み出されてきた知恵である。
<社会的分業制 (京人形の場合)>
京人形の完成までには、大きく分けて5つの行程がある。工程はそれぞれが独立した業種として専業化されており、それぞれの分野で最高の技術を発揮している。分業によって手の込んだ高品質な製品が可能になり、総合芸術と呼ばれるまでになった。
京の工芸界全体が、運命共同体ともいうべき相互扶助的な関係を保って、質を重んじて多品種少量生産を行う。例えば京人形の着付に使う衣服は西陣織からの特別注文である。手工業者の連帯・相互扶助が1つの総合力のもとに収斂されているのだ。 
この分業生産体制に加え、少数主義(同じものを数個~数十個しか作らない)をとるため、おのずと「京風のもの」の希少価値は高くなる。そこに、宮廷文化に育まれた老舗ブランド(付加価値)が加わるから、高価でも売れるようになるのだ。
徹底した分業で、優秀な手作りの技術により、高い品質と付加価値をもつ商品を作ること。それで良ければ買ってくれという姿勢、これが京都商法の基本である。

 
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【手堅さと身軽さ 】  ほとんどの老舗は無借金経営を貫く。自己資本比率を非常に高く保つ。借金をせず、堅実に安定した経営を行うことが、京都商法の礎である。
借金がなければ、利息を払う必要がないから不況の時はじっと我慢していればいい。「儲けられる時にも儲けない」が、その頑固な堅実さが、安定した経営を支える。
また、京都は昔から内陸で地の利が悪く、重工業コンビナートにも入れず、軽薄短小産業(工夫・加工・高付加価値)で勝負するしかなかった。加えて京の町民はいつの時代も権力者に虐げられてきた故か、出しゃばることをはしたないと戒める風潮が強い。
オデキと西陣はおおきくなれば潰れる」という俗言が京都にはあるが、「大は目指さず、身軽さを保つ」事を繁栄の礎とする。
京都特有の現象として、(都市でありながら)大企業が少なく、中小企業で成り立っていることがある。京セラ、ローム、村田製作所など、戦後ハイテク産業として名を馳せた中堅企業は多いが、その経営理念はどれも京都商法に根ざしている。
少数精鋭の社員、多品種少量生産、生産工場を持たない(下請けに発注)、身軽な会社。そして、この京都商法をハイテク産業の経営に活かすことで成長した。
<暖簾(のれん)意識>
暖簾とは、布に屋号・商標を染め抜き、店の軒先に吊されたもの。室町~江戸時代に商家の知名度を上げるための広告媒体として流行し、やがて信用・老舗のシンボルとなった。信用がなければ、商家は永く繁栄し存続することができない。先祖が代々積み重ねてきた信用の象徴・暖簾を守り継ぐこと、この意識が京職人には根強い。

 
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【人材と新取り精神】  千年の王都には、いつの時代も全国各地から才能・技能を持ったエキスパートが集まってきた。その子孫同士がまた結婚して、そこに王朝貴族や異国の血を加わって京風の家系をつくられ、それが千年に綿って蓄積・洗練させていった。
 
彼らは異質でも優れたものなら貪欲に吸収する寛容さをもち、更に自主独立心・反骨精神も強い。理論やデータ・マニュアルには頼らず、自らが実際に苦労を重ね、地道にノウハウを蓄積し、ものの実態を知りながら、己の才能を磨いていく。
 
また京都は学問の都でもある。古代から技術の基礎となる学問や研究が盛んに行われ、日本の最先端商品を長年作ってきた。明治維新から戦後ベンチャー企業が次々と興り、ハイテク産業が盛んになった基盤は、こうした土壌にある。
 
京都大学にはノーベル賞受賞者が多いが、学生を拘束する東大に対し、学生の自主性に任せる自由な気風があり、それが創造性を生み出すこととなっている。
<京都商法=カタツムリ商法>
京都・千吉株式会社の西村社長は、京都商人の特徴をカタツムリに喩え、「情勢対応に極めて機敏で、自己防衛意識が強く、質素、慎重・堅実、仲間意識が強く、信頼が厚い。加えて(カタツムリが雌雄同体であるのと同様)保守的であり同時に革新的である」という。
京都商法は、(1)保守的堅実さと進歩的果敢さを合わせもつ、(2)在来の手法を尊重しつつ外来のノウハウを摂取する、(3)節約を尊びつつ信用を大切にする、と定義づけている。

 

【任天堂と京都商法】  世界企業でありながら身軽な中小企業・任天堂。これは京都商法そのものだ。しかしこの会社は、初期からカルタで市場を独占してきた体質がある。そこに、”大を目指さず”といった考え方は見られない。
 
また任天堂は、ファミコン市場を守る・品質維持という名目で、ソフト委託生産方式を採用したが、実際には莫大な量のダメゲーム(クソゲー)が氾濫した。質を無視して、量で暴利を貪った。それでも市場を維持できたからだろう。
 
しかしこのやり方は、90年代に入って大きく転換する。
「私は以前から、量を増やすことがシェア拡大に繋がると言ってきました。しかしユーザーの目が肥えた今、沢山の種類で売上の辻褄を合わせる考え方はもう通りません。」
 
「今、ソフト会社は間口を広げずに奥行きを深くする時期だと思います。これはまさに京都の老舗がおっしゃる”京都商法”に通じる考え方ではないでしょうか。」
 
結局、山内社長がゲーム・ビジネスの存続を考えた時、行き着くところ、それが”量より質・少数精鋭”の「京都商法」であった。ここに京老舗の底知れぬ凄みがある。
 
<イシダの理念・「三方良し」>
任天堂社長・山内博氏と同じような経緯で社長職に就いた方に京都企業「イシダ」の石田社長がいる。彼もまた、大学の卒業を待たずに入社して、京都の販売店の社長に就き、其の途端、社員のストライキにあっている。
この「イシダ」の父・前社長が持っていた企業として守るべき哲理が、「三方良し」というものだった。「自分も良くないといかん、相手も良くないといかん、第三者も良くないといかん」。この信念を貫いた末に会社が潰れるのなら本望だと考え、幾度の危機にも「三方良し」の哲理に鑑みて決断し、ピンチをチャンスに変えていった。
現社長石田氏は、「社会が生かしてくれる適者になれば生きられるはず。人々に喜ばれ、社会に貢献する企業は絶対残る。」とし、目標に『内容充実』・理念に『三方良し』・社格人格に『知徳一体』という3つのスローガンを掲げている。

この様な京都老舗がもつ企業存続のための理念・鉄則は家訓として見ることができますが、 その代表的なものとして、 「温故知新」、「三方良し」、「奢ヲ省キ倹約ヲ守ル」、「正直」、 「暴利を貪らず」「浮利を追わず」などが挙げられます。
 
次回からは具体的な京都企業にスポットを当て、京都の企業経営を紹介していきたいと思います。お楽しみに!

 

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