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2013年12月30日

関西を知る~京都企業の業績がいいのはなんで?堀場製作所の企業統合編~

京都の企業第2弾は堀場製作所です。
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未来を「予測」するな、未来を「創造」せよ

今や世界一の測定・分析機器メーカー、日本企業・堀場製作所の創立者であり現最高顧問 堀場雅夫氏の言葉です。世界一の分析機器メーカーでありながら、「分析」という領域の根本にある要素還元法を否定するスタンスに、世界の「HORIBA」の強さ・柔軟さの秘密がありそうです。「要素還元」ではなく「複雑系」の世界。氏によって語られるその認識世界は、日本人が元来持っている感性ともとても合致しています。「手法」から「実現の意思」へ。時代は大きく転換を始めています。

世界一の分析機器メーカーとなった堀場製作所には、グループ従業員数5,530名で、世界各地に拠点があります。こんなに大きくなっても企業統合ができているのが堀場製作所の大きな特徴です。
今回は、堀場厚氏が書かれている「京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか」から抽出し、その秘密に迫っていきます。
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協力会社とのコミュニケーションは

私たち(堀場製作所)では、50年以上前から、社員だけでなく外部の協力会社や販売会社とのつながりを重視してきました。ここ数年、業績の上がった際に、かなりの受注残を抱えながら、さらに大きな発注が来たとき、それに対応する製品供給力があるかが問われました。しかし、協力会社は私たちへの供給を最優先してくださり、厳しい納期要求にも対応することができました。
その際、協力会社は、何も私たちが部品を高値で購入するからといった理由で助けてくれたわけではありません。長年の信頼関係の醸成がもとになっているのです
2009年度は、半導体向け製品の生産量が急激に減り、協力会社が厳しい状況に置かれました。わが社に対する彼らの売上比率は全体の2~3割で、残りは他社や競合メーカー向け。私たちとは資本関係もありません。しかし、私たちだけが生き残っても、協力会社が生き残れなければモノづくりに支障を来すことになります。私たちは苦しい状況のなかにあっても発注を続け、協力会社の経営を支えることができました。

「ブランドブック」とは何か

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会社をひとつの「家」としての方向性を提示するツールとして「ブランドブック」という小冊子の存在があります。この小冊子は社是である「おもしろおかしく」を実現するための「五つのおもい」の他に、世界の従業員のHORIBAに対する気持ち、仕事への抱負、業績アップの方法論、将来へのメッセージなどを掲載しています。
言葉や人種、生活習慣すらまったく違う従業員でも、HORIBAという「家」を中心にまとまっていこうという考えが表れています。
単に命令するだけでは、日本から数万キロも離れた出身も文化も違う外国人の社員は、同じひとつの目標に向かって働くことはできません。社員を誰とでも交換が効く部品として見るのではなく、生身の人間としてまず認めることが大事。
どんなによい仕事を与えても、そんなに素晴らしい待遇を与えても、人はそれだけでは動いてくれません。しかし、いったん一体感を醸成できれば、数万キロ離れた場所で働く従業員も、いちいち細かく指示せずとも、自らの高い意志と忠誠心を持って、自然と動いてくれるものなのです。

外国人に日本の素晴らしさを伝えること

ほとんどの人が知らないと思いますが、現在のフランス料理の出し方は、日本の京懐石を見習ったものです。ほんの40年ほど前まで、フランス料理は、見た目にはなんの特徴もない食べ物がドサッと並べられていました。
現在のフランス料理の基礎をつくったのが、ポール・ボキューズという料理人です。彼は日本の人間国宝にあたるフランスのMOFを受賞した、名実ともにフランス料理の重鎮です。その彼が1972年に来日し「吉兆」や「千花」で接待を受け、そこで懐石料理に触発されるのです。彼はフランスに帰国すると、素材を活かす調理法を研究し、皿を料理ごとに、あるいは季節ごとに変え、現在のフランス料理に礎をつくりました。料理は材料も味も大事ですが、目で見る文化でもあるということを、日本の懐石料理から学んだのです。このような話を一般のフランス人が知ることで、日本料理の文化レベルがいかに高いかということを自然に理解します。結果として日本文化の尊重につながり、そうして初めて、彼らは私たちと一緒にひとつのゴールを目指して働いてくれるようになるのです。

共生の思想と外国人社員

相手の価値観や文化を認めるというのは、京都の共生の考え方に由来します。京都、ひいては日本古来の考え方には、相手を認めて共生するというものがあります。相手には相手の価値観や文化があり、自分にも同様にある。異なる価値観や文化を持った人たちが、互いに認め合って一緒に生活するのが共生。相手と自分は同じ立場にあり、上も下もない。そういう考え方が、昔から京都にはあるのです。
自然との共生も同じこと。そこにある自然を侵してはいけない。京都には、自然を征服しよう、あるいは破壊しようという考え方はありません。ですから、自然の宝庫たる山をつぶし海を埋め立てるなどという発想もしない。
ここまで自然と共生するという考え方は、世界でも例がありません。
欧米では自然も人間の考え方でコントロールします。だからこそ、彼らが京都に訪れると、人と自然との共生の在り方に驚き、感慨を覚えるのでしょう。
京都には、共生の考え方がいまも色濃く残っているので、相手の価値観や文化を自然に尊重し、認めることができるのでしょう。HORIBAの社風にも、それがほどよく息づいているのです。

堀場製作所の企業統合において重要なのは、たとえ海外の社員が増えたとしても日本らしさ・京都らしさを体現し続けていることば見て取れます。
次回は、堀場製作所の人材育成編に入っていきます。ご期待下さい。

 

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