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2014年08月20日

高齢者の可能性を活かした新事業計画 04 高齢者による集団事業⇒地域共同体の再生

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画像はこちらからお借りしました。

前回のシリーズ記事では、“スーパー高齢者”の特性を探り、誰もがなり得る可能性を持つことが明らかになりました。
今回は、高齢者が活躍する集団に着目し、高齢者を核とした集団が秘めている新たな社会・地域づくりの可能性を探っていきます。

01.目的意識(志)が明確な高齢者集団
高齢化社会への対応策として、高齢者の雇用確保のために様々な試みが行われています。
その一事例として、高齢者の雇用確保を出発点としつつ、地域を元気にしたいという明確な目的意識(志)を持って発足し、現在では地域共同体の再生が進んでいる長野県小川村の企業「小川の庄」について紹介します。

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20-80代の社員たちが互いに刺激し合いながらビジネスと村の活性化に成功、ますます発展中
<ダイバーシティ経営企業100選>より引用
◆ダイバーシティ経営の背景
・「小川村は雪深く冬には仕事がない。雇用を生み出し村が自立するために企業を立ち上げたい。自分たちが汗した農産物に付加価値をつけて販売したい。村人に喜んでもらえるように地域を元気にしたい。」夢と希望と理想に燃えた40-50代のメンバーが集結し、1986年5月、同社を設立。
・地域の高齢者の雇用創出が大前提であったが、同社はそれを強みに変えた。田舎らしい郷愁のある食べ物をふるまうことが最高のおもてなしと考え、まず60歳以上の高齢者7名を採用、家庭に伝わる伝統的な味や作り方などお年寄りの知恵をもとに冷めてもやわらかくて食べやすい、同社オリジナル「縄文おやき」を開発、国内外へ販路を拡大している。

◆取組内容
・「60歳入社・定年なし」で高齢者を継続的に雇用。高齢者の勤務は1カ月単位でシフト表を作り、勤怠管理を徹底している。各人が一通りの作業を身に付けた“多能工”であるため様々な作業に適応でき、互いに融通を利かせることができる。
・最近では20-30代の若手社員の採用も進み、インターネット販売やそれに伴う個人情報のセキュリティ保護などを主に担当。その他、力仕事など高齢者をカバーする役割を担っている。
・高齢者は二、三手先回りして働き、この気配りに若手は学ぶ。一方高齢者は若手の仕事の速さ、効率の良さ等をほめる。互いの良さを認め合い尊敬しあうことで、仕事を通じて社内のモラルが自然と高まっている。年代は20代から80代までと非常に幅広いが、高齢者(60-80代)と若者(20-30代)、それをつなぐ中間層(40-50代)のマネジメント層が、適切に役割分担を行い、互いの能力を認めて尊敬し合い、一体感のある職場の雰囲気を醸成している。sellers_00000060
画像はこちらからお借りしました。

◆成果
・新商品のアイディアは“お年寄りの知恵”から生まれる。それを50歳前後のマネジメント層も交え議論しながら改良を重ね、市場が求める“売れる商品”に仕上げる。ただ地域が古くから伝承する食品を提供するのではなく、“お年寄りの知恵“に基づく新商品の緻密な開発が売上増を支えている。
・また、創業当初から東京など他地域への販路開拓を指向し、若手社員の入社がきっかけとなって始めたインターネット販売などによる販路拡大で全国展開・海外展開に成功、創業以来売上高はほぼ順調に伸びている。

設立当時は高齢者のみによるスタートでしたが、地域を元気にしたいという志に共鳴した若者が入社して、一員として働くようになっており、高齢者と若手の学び合いも自然に発生しています。
そして、中堅層や若手が“お年寄りの知恵”が新商品を生み出す素となり、中堅層や若手が、世間のニーズに応える商品となるように追求を重ね、販売戦略を練るなど、決して“守り”に入ることなく、地域活性化という軸を保ちながら、常に新しい課題にも挑戦しています。

「小川の庄」が成功している重要なポイントは、高齢者の雇用創出を起点としつつも、それ自体が目的ではなく、働き続けたくなる、住み続けたくなる魅力ある地域を創りたいという目的意識(志)が上位に鮮明にあり、その実現の担い手として高齢者を活かしているスタイルにあります。

社会や地域を対象にした目的意識(志)があるから、高齢者自身も「どうすれば実現できる?」と当事者意識を持って追求し続け、新しいことにも挑戦していきます。
その志が引力となって若い世代を惹きつけ、地域の集団再生へとつながっています。この事例は高齢過疎化という問題に対しても大きな突破口となるように思います。

02.高い生産性を誇る高齢者   
次に、高齢者の生産性について注目してみます。
高齢になると、生産性が低下し、任せられる仕事も限られてくるという見方もされがちですが、果たして事実なのでしょうか?
【参考】「高齢者は非生産的」というのは大きな間違い!!

確かに体力的なピークは過ぎているかもしれません。しかし、定年を過ぎた社員の生産性が最も高くなっていて、その能力を活かして成果を上げている企業もあります。

定年を廃して賃金を上げたら業績が伸びた~60歳を超えた社員の生産性が最も高い樹研工業~
<にっぽん経営サミット>より引用

組織の活力を持続する

個々人の潜在能力を発揮するには会社組織内部の環境も大切だ。樹研工業のもう1つのユニークな人事的取り組み――それは「定年退職がない」ということである。
社員には60歳で退職金という形の一時金は支給するものの、再雇用という形で契約形態を変えるのではなく、そのまま正社員として働くそうだ。

そして、その間も継続して昇給は続けるという。これも世間一般の常識には反することで、通常の賃金曲線は50歳も半ばを過ぎれば下降していくのに、同社では一貫して右肩上がりを維持しているのだという。

そのような高待遇で定年制度を廃止した同社によると、その効果は3つある。

まず、同社の社員は60歳過ぎたあたりが一番生産性が高いのだそうだ。それは損益計算書にしっかりと表れていて、定年制度を廃止してから、平均年齢と人件費が上がるたびに会社の業績は上がっている。人件費の伸び以上に利益が伸びているというのだ。

また、同じ人が長期間勤めてくれるのは中小企業にとっては技術開発の根本を支える土台でもある。大企業はシステマティックに技術開発できるが、中小企業のレベルではそれができないため、同じ人がずっといてくれることで技術が保たれる、と松浦氏は語る。20060828
画像はこちらからお借りしました。

実際に親子2代にわたって同社に勤めている社員もいるそうだ。

そして、もう1つの効果は、そういう人が落ち着いて仕事をすると下の世代も落ち着いて仕事ができるようになることである。実際に、定年がなくなったことで、それまで「定年前」の年齢だった人が急に勉強を始め、品質ISO(国際標準化機構)の審査員の資格を取得した人もいるそうだ。

そして、そうした熱心さが下の世代にも伝わり、40代、30代の世代にも良い効果を与えているということである。

会社は人間を幸福にするために存在する

「技術は難しければ難しいほどいい」。この企業理念を実現するため、人材育成を重要視する樹研工業では、「潜在能力を発揮するための要件」である内発的動機、潜在学習、過去における成功体験、刺激的な情報空間の4つが組織として実現しているのが分かる。

「長期的ビジョンに立った技術開発と会社経営」
「卓越した技術力で価格競争はしない」
「賃金は年功序列で成果主義は採用しない」
「大事なのはお金のためでなく夢を持って働くこと。会社は金もうけのためでなく、そこにかかわる人間全員が幸せになるために存在する」

樹研工業の会社理念は、バブル崩壊後の日本企業がリストラクチャリングによる短期的な効率性を追求してきた際に否定してきた価値観で支えられている。

社員は生き生きと働き、定着率も高く、会社の業績を向上させている。樹研工業の取り組みは、行き過ぎた効率優先主義や定量的な成果主義の負の側面を明らかにし、個々人の潜在能力を発揮させ、組織の活力を引き出すことの効果を証明していると言えるだろう。

上記に紹介した樹研工業では、定年制度を廃止したことで、高齢者の生産性が発揮されて業績が大きく伸びています。
定年を迎える年齢から勉強を始めて、新たな資格を取得している社員もいます。これは、知識や経験を豊かに蓄積するほど対象世界が広がり、世の中には未知課題があふれていることを自覚し、さらなる追求に向かう未知収束の具現化に他なりません。そして、この姿勢を目の当たりにすることで、下の世代にも追求する楽しさ、大切さが伝承されています。

このことから、“定年制”という人工的な制度が、「定年までは無難にやり過ごそう」という圧力逃避や、「もうすぐ定年だし新しいことに取り組んでも。。」という諦めを生み出していると考えられます。
※先に紹介した「小川の庄」にも定年制度はありませんc616360b
画像はこちらからお借りしました。


高齢者の雇用創出の前に、高齢者の強制排除制度(=定年制度)を見直し、未知収束が真っ当に顕在化する環境を確立することが、経験と知識を蓄積してきた高齢者の高い生産性を引き出し、若い世代にも学ぶ姿勢や、追求の充足を喚起するのではないでしょうか。

※ちなみに、“定年制”は19世紀のドイツが起源で、政争において政敵を追い落とすことを目的に創られ、決して社会的な期待に応えるための制度ではありません。
【参考】働きたいけど働けない~定年制度成立の背景~

03.高齢者を核とした地域共同体再生の可能性   
高齢者が活躍する集団に着目してみましたが、「社会や地域を対象とした目的意識(志)」が高齢者の当事者意識を高め、「未知収束を顕在化させる環境」が高齢者の高生産性を引き出し、それらが若い世代の追求心・向上心を喚起し、集団(地域共同体)の再生・存続を促進していることが見えてきました。

かつては、市場社会(消費社会)の興隆とともに、地方から都市へと若者が移動し、集団解体が促進されましたが、現代の市場社会の終焉に伴い、集団再生の兆しが現れてきたのは必然の流れとも捉えられます。
この潮流において、「社会や地域を対象とした目的意識(志)」「未知収束を顕在化させる環境」を備え、高齢者を核とした事業は、地域共同体(=高齢者も含め皆が役割を担う集団)を再生する大きな可能性になると考えられます。

また、現代における新しい可能性であると同時に、500万年前から脈々と営まれてきた本来の人類集団への回帰でもあります。

この本源回帰の潮流を踏まえ、次回は、過去の社会・集団における高齢者の役割について考えてみます。

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