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2015年01月25日

第2回:今注目される地域メディア

共同体メディアを考える~プロローグ~」はいかがでしたか?

前回の記事では、インターネット普及率が8割を超える現在において、紙媒体が見直される理由について考えていきました。
前回の最後にもありましたが、今回は地域の元気なメディアについてご紹介していきます。

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・地域新聞社

<会社概要>「地域新聞」は1エリア3万世帯前後という小さなエリアに向けて、独自の配布システムで手配り式フリーペーパーという形式をとりながら、熱心に語りかけてきたメディア。地域住民が良い情報に出会い、それにより飲食・物販・サービスなどを営む地域企業が成長する好循環を生み出している。
1984年8月(29年前)フリーペーパー「地域新聞」の発行を目的として、有限会社八千代地域新聞社を設立。地域密着を貫き、こつこつと地道な努力を重ねた結果、千葉県No.1の発行部数となるフリーペーパーを発行している。

<経営理念>人の役に立つ
1.働く人達の役に立つ 豊かな生活と生きがいを生み出す場を確保し続ける
2.地域社会の役に立つ お客様・読者・業者・社会に喜ばれる事業を行い続ける
3.国家の役に立つ 利益を生み税金を納め続ける

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<有限会社八千代地域新聞社、誕生>
元手は親から借りた200万円。何もわからないまま、がむしゃらに取材活動と広告営業を開始し、地域新聞創刊号を設立2週間後には発行していました。
配布部数は2万2000部。創刊号に掲載いただいた有料広告は、3万円の枠が2本で6万円のみ……。また、当初から手配りで配布していたので、配布員さんへの報酬、新聞の紙代、印刷代などで瞬く間に200万円の資金は底を尽き、1984年の年の瀬には1円もない状況になってしまった。
それでも何とか地 道に発行を続けていたので認知度がアップしたのでしょう。年が明けた頃から、広告を入れたいと電話がかかってくるように。やはり継続は力なりなんですよね。 何とか広告収入の目処が立ち始め、少しずつ発行エリア、配布部数が伸び始めます。
しかし、12万部ほどを配布していた1990年、前年と比べガクンとお客様の広告出向ペースが激減したのです。バブル崩壊の幕開けでした。だんだん毎月の資金繰りに窮するようになり、借金をしても資金が足りず、社員の給料を4カ月も滞納してしまったのです。

<企業理念のつくり方>
倒産の危機を潜り抜け生まれた、「人の役に立つ」という志

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リンクより

 朝、出社してみるとデスクの電話に「社長、1万円でいいので、給料ください」というメモが張られていた……。これまで一所懸命会社に尽くしてくれた 社員からの催促に、胸が潰れそうな思いでした。みんなすごく気のいい人たちだったんです。当時25人いた社員たちは、会社に負担をかけないようみんなで相談して、少しずつゆっくり順番に退社していってくれました。
結果、1年後には私たち夫婦を含めて4人だけが会社に残ることになります。その間、1人5役の 働きで奮闘し、何とかこの危機を脱出することができたのです。少数になると精鋭にならざるを得ないことがわかりましたよ。しかし、「あの頃のあなたの目 はマークが付いていた」と妻に揶揄されるくらい、お金には揉まれに揉まれた。ただそれ以降、お金は道具だと客観視できるようになりましたね。

バブル崩壊の危機を乗り越え、業績も盛り返した1993年頃、自分のモチベーションが一気にダウンします。なぜ会社を成長させなければいけないんだろう……?
豊かな生活、お金、他人からの賞賛が、まったく意味のないものに思えてしまったんです。物欲もいっさいなくなった……。少数精鋭を続けていましたから、年間数千万円もの経常利益が出るわけです。このまま現状維持すれば、一生生活できるかもしれない。でも、それでいいのかと自問自答しながら数カ月間悩み続けました。
そんなある日、また書店に入るんです。大学進学で迷っていた時のように(笑)。そこで手にしたある本に「人がこの世に生まれてきたのは、誰かの役に立つためである」、そんな内容が書かれてあった。それが自分の中にストンっと落ちてきたんですよ。
そういえば会社も人で成り立っている。社員や配布員さんたちみんなの生活を支えている。会社経営を人のために役立てればいいんだと。 悩んでいた自分がその時に解放されました。紙面づくりも、広告営業も、会社経営のすべてを「人の役に立つ」という視点で見るようになったんです。

 

・花伝社

創立のことばより抜粋
人類は、まもなく新しい世紀をむかえる。どのような時代の扉がひらかれようとしているのであろうか。21世紀にむけて、いま何が準備されなければならないのであろうか。安易な楽観や公式主義に安住することなく、また絶望の饒舌に浸ることなく、否定しようもない現実を現実として把握する勇気をもって過去と現在をみつめ、人々の歩みのなかで読者と共に人間を考え21世紀を考察してみたい。1985年10月5日花伝社代表 平田 勝

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リンクより

●堅実経営、無借金経営
出版は「注文生産」ではなく、あくまでも「見込み生産」というところに特徴があります。見込み通りいかないことの方が多く、出版は自ずと自転車操業となり、借金体質になっていく必然的要素を内包していると思います。
私の場合は、担保になる資産がありませんから、自ずと借金に限度があります。コストの削減も含めて堅実経営のあり方を徹底して追求してきました。それでも病気をした頃、借金が1000万円を超え、編集長を迎えた頃には借金は最大の額となり、一時は初めて友人の個人からも借金をするようなハメとなりました。
2008年の10月後半に突然花伝社の本が動き始めました。安保徹先生、船瀬俊介さんらの『ガンは治るガンは治せる』という本が発行して1年半後あたりで突然動き始めたのです。斎藤一人さんという「銀座まるかん」の創業者の方が「この本を読め、人に読むように勧めよ、幹部は10冊買え、この本が10万部出れば世の中は変わる」と幹部たちに檄を飛ばしているとのことです。このチャンスに一気に借金を減らそうと決意しました。
借金がないということは、出版の自由を確保していることですから。出すべき本を出す事が出来るという自由と可能性を手にしていることですから。

●「同時代」というとらえ方
「自由な発想で同時代をとらえる」が花伝社を創立した時に掲げた方向性・理念です。
「現代」という言葉が時代に対する客観的なとらえ方であるとすれば、「同時代」というとらえ方は、その時代をいかに生きるかという主体的・倫理的・実践的にとらえた場合が「同時代」という表現であると理解しました。出版を通じて、自由な立場で時代と時代精神に迫ってみたい、いかに生きるか、人はどうあるべきかという問い掛けを絶えずしながら、時代の問題に出版という形で取り組んでみたい、これがあの言葉に私が込めた意味であるわけです。

●インターネット時代の出版の可能性
インターネットの発達によって新聞と同じく、出版も衰退していくだろうという通説的な言辞に対して、私はむしろ出版の可能性は高まっているという認識を持っているのです。
たしかに、「情報としての書籍」という面からだけ見ますと、そのスピードにおいても、世界のあらゆる情報をどこでも一瞬のうちに手にすることが出来るという利便性の意味でも、インターネットに優るものはないでしょう。インターネットの発達によって、確かに社会のあり方も仕事のやり方も大きく変わってきました。ただ、単なるデータと情報とは明らかに違うと思います。膨大な生のデータをいくら集めてもそこから自動的に何かが出てくる訳ではありません。
情報とは、何かの目的に照らした「価値的な概念」ではないかと思っています。その点で最近思いますのは、最大の情報は、生身の人間関係から得られた情報、現場から得られた情報というものがインターネット時代でますます大事になっておりまた最大の価値ある情報ではないかと思っています。

●出版において利益を上げるとはどういうことか
商売の神様の松下幸之介さんも、通常は少なくとも7~8%、理想としては、12%くらいの利益があがるようでないとその企業は存続していくことができないというようなことを言っておられる。
そこで私は、初版を完売すれば少なくとも8%くらいの利益が出るにはどうしたらよいか、読者が納得できる定価をつけつつ、これを実現するにはどうしたらいいかを最初から考え続け、またそのための努力をしてきたわけです。
社会的に有意義な仕事をすることと、採算を合わせていくことは本当に難しいことなのです。一方に偏らず、両者を調和しながら、仕事を持続していくために今後とも絶えず検討研究していく必要があると思っています。

●自由な出版社の存在意義

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リンク
より

時代は大きく変化しています。価値観も多様になっています。これまで有効と思われていた理論や通念もそれまで通りにはいかない、パラダイム転換の時も迎えています。  特定の価値観やイデオロギーに囚われず、どんどん変化している時代に自由な立場で考える、これを貫いていけば花伝社で取り上げるテーマやるべき仕事は無数にあると思います。
「イデオロギーは人格を超えず」ということが、これまで経験したことからくる私の信念でもあります。自由のない硬直した思想や組織は、時代から取り残されていかざるを得ないと思います。少数意見もこの変化の時代にあっては貴重なものです。今は少数意見であっても価値のある理論や意見を積極的に取り上げて世に問うていくのも花伝社の役割のひとつではないかと思っています。
花伝社は小さい存在ながら、自由な言論の一角を担う存在として、今後も頑張っていきたいと思います。「自由な発想で同時代をとらえる」という方向性を堅持し、必要最小限の体制とコストでいい本を作り、これまで通り堅実経営に務めるという方向性を続け努力していけば、どんな不況の時代がこようとも花伝社を存続させていくことが出来ると思っています

 

今回二つの地域メディアの紹介をしました。

人のためになる地域新聞社に、自由な発想で同時代を捉える花伝社。
どちらもお上に支配されている大手メディアにはできない志を備えています。
こういう信頼できるメディアにこそ、縛られることのない人のためになる事実を伝えていってほしいものですね。

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リンクより

次回は人々の意識から求められる時代が求める地域新聞ということで、これから必要とされる地域新聞を読み解いていきます。

引用元

約2,850名の配布員で手配りポスティングを行い、千葉県で発行部数No1を誇る地域新聞社 リンク

志のある出版社「花伝社」 リンク

 

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