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2016年05月12日

全員経営~自律分散型イノベーション経営企業③~ヤマトは我なり・・・バスとの連携

今回も前回に引き続き、ヤマト運輸の事例です。今回は、ヤマト運輸のB.過疎地のバス路線を救う客貨混載の試みを紹介します。この記事ではダイヤモンドオンラインの過疎地のバス路線を救う客貨混載の試みから一部引用します。前回は、地元スーパーマーケットと社会福祉協議会を巻き込み、まごころ宅急便を実現しましたが、今回は、類似業界のバス会社との連携による社会事業の展開です。

過疎化と高齢化が進むなか、全国津々浦々に毛細血管のように伸びていたバス路線網が末端部分から消滅しつつある。その裏には利用者減がある。2000年度と比較して乗合バスの輸送人員は、三大都市圏では微減にとどまっているのに対し、地方では2割も減少。そしてバス路線も、06年から13年までの期間で1万1160kmと、全国バス路線41万km(09年)の2.7%が廃止されてしまった(「物流ウィークリー」より)。
本州最東端にあたる岩手県の重茂半島も過疎地だ。東日本大震災による津波で約50人が犠牲になり、避難・転居先で住宅を新築する世帯もあることで、ますます過疎化が進む恐れも出てきた。

この半島を走るのが、岩手県北バスの重茂線。この路線がヤマト運輸との協業で、通常の旅客だけでなく、宅急便の荷物も乗せて運ぶことになったのだ。これは、ヤマト運輸と岩手県北バスが北上~盛岡~宮古~重茂半島の150km以上の区間にわたって15年6月3日から実施している「客貨混載」事業の一環だ。(「過疎地のバス路線を救う客貨混載の試み」より)

盛岡 ←――――――――――→ 宮古 ←―――――――――→ 重茂車庫
・・・・・・・ ① 都市間急行バス ・・・・・・・・・・・・・ ② 重茂線バス ・・・・・・・
この二つのバスで盛岡~重茂車庫間を荷物リレーすることになります。

①の盛岡~宮古間の都市間急行バス「ヒトものバス」は、大型バスの後部を改造して設けた荷室に、宅急便の荷物を載せる仕組みとなっている。バス側には空きスペースの有効活用というメリットがあるし、ヤマト側にとっては大型トラックによる幹線輸送の1便廃止が可能になる。

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②の宮古⇔重茂車庫間の重茂線バスは、こちらもバスの空きスペースを有効活用できるのはもちろんとして、ヤマト側にはまた別のメリットもある。
重茂半島を担当するセールスドライバー(以下、SD)は、従来は午後の便で入る荷物を宮古営業所までいったん取りに戻っていたが、それらの荷物がバスで重茂車庫まで届くようになったことで、わざわざ戻る必要がなくなったのだ。
節約できたのは、片道約18kmの往復、時間にしておよそ80分。おかげで、SDは重茂半島での滞在時間を伸ばし、接客に多くの時間を充てられるようになった。この時間が、前回紹介した「まごころ宅急便」というサービスに、より多く割けるようにり、SDと地域住民との交流が深まり、扱う荷物量が従前の1.5倍になったらしい。

バス会社と宅配便事業者の双方にメリットのあるこの客貨混載事業だが、協業の呼びかけをしたのはヤマト運輸の方だった。じつは20年以上前の1993年に、同社は同じく岩手県の北上~湯田町間(約43km)で客貨混載に着手しており、その蓄積があったからだ。
北上~湯田町間のその事業は「宅配バス」と呼ばれ、今回の盛岡~宮古間の「ヒトものバス」と同じく、宅急便の大規模拠点間の大型トラックによる幹線輸送を大型バスに置き換えたものだった。

宅配便には全般に、集荷が夕方に集中し、配達は午前中が多くなるという傾向がある。そのため、拠点間の昼間の幹線輸送はそもそも運ぶべき荷物が少なく、コスト高になりがちだ。ヤマトの北上~湯田町間の運行コストは1便につき8000円ほどだったが、北上を6時30分に出る便の荷物数が平均115個、湯田町を18時に出る便が平均134個であるのに対して、湯田町を10時に出る便では平均4個と極端に少なく、1個あたり2000円ものコストがかかっていた。

その昼間の幹線輸送便をなくす代わりに、ほぼ同じ経路を走る路線バスに荷物を委ねた。バスも昼間の便は空いているから、有休スペースを利益につなげられるメリットがこちらにもあった。バスを改造(費用約20万円)して専用の荷室を設けたのも今回の「ヒトものバス」と同じで、フォークリフトでパレットごと積み降ろしができるようにしたのもやはり同じだ。おかげで、荷物が多い場合でも5分あれば積み降ろしが済むという。(「過疎地のバス路線を救う客貨混載の試み」より)

そして何より特筆に値するのが、その「宅配バス」も、今回の北上~重茂半島間の客貨混載事業も(そして後述する宮崎県での事業も)、国からの補助金は一切なしで、民間の知恵と工夫によって実現したものであることだ。それは既存のサービスを少し改造して組み合わせることで双方にメリットを産み出すことで成立し、トータルで地域サービスの充実にもつながっていることだ。個々の組織が個々の利益を追求する時代は終わり、相互連携できる組織が今後の社会と共に生きることになるという事例でした。

 

 

 

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