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2017年03月01日

日本でいちばん大切にしたい会社③ お客様主義を貫き前例をぶち壊す中央タクシー

今回は、長野県にある中央タクシー株式会社お客様本位を目指している会社です。
「そんなのフツー」と思われるかもしれませんが、実際には業界の悪しき慣例やシガラミで縛られ、思うようにはいかない。中央タクシーはその呪縛をどう解き放ったのでしょうか?その実現ステップを「日本でいちばん大切にしたい会社3」(坂本光司法政大学教授著:あさ出版発行)で見ていきましょう。

創業者は、宇都宮恒久氏。宇都宮氏が中央タクシーを立ち上げたきっかけは、バス会社を経営していた父親が地元から頼まれて、1972年に地元の別のタクシー会社を買収し再建した経験から。 父親と再建に乗り出したのですが、そもそも当時のタクシー運転手は堅気の人とは見えない風貌や荒っぽい言動が目立つ上に、その会社では労働争議で人心は荒廃していました。宇都宮氏はある時、「家に着いたら払う」と話す客を「無賃乗車」呼ばわりして会社の洗車場に連れ込み、数人がかりで水をかけ引きずり回す出来事に出くわしました「 こんな会社は潰した方がいい!」とさえ思ったそうです。

写真はコチラからお借りしました

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その強烈な経験を胸に刻んで、宇都宮氏は新しくお客様本位の理想のタクシー会社を目指し、1975年に中央タクシーを立ち上げたのです。とはいえ、志だけでは上手くいきません。やはり腕一本でタクシー会社を渡り歩く、一匹狼のようなドライバーの寄せ集めでは「お客様本位」など夢のまた夢のようでした。そこからどうやって改善していったのか、見て行きます。

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1.採用基準の変更
大きな分岐点となったのは、1979年に採用基準を変えたことでした。それまでは即戦力欲しさによる経験者優先でしたが「一切、経験者は採用しない、未経験者のみ採用」という方針に180度切り替えたのです。「採用の門戸を広げるなら分かる、でも未経験者のみと狭めてしまったら、ドライバーは来ませんよ」と当時の管理職から文句が出たそうですが、今変えなければ今後10年何も変わらない、と思っての大英断でした。
社員は少しずつ集まってきましたが、言わば濁った水に真水が徐々に入ってきたようなもの。水はまだ濁った状態なので、改革がそう上手く行くわけではありません。
例えば班を作って班会議で業務の改善をやろうとすると、昔からいる社員が音頭を取って、会社への要求事項だけになってしまう。しかし宇都宮氏は採用方針を守り抜き、現在170人いる乗務員のほぼ全員が未経験の中途採用と新卒採用者になっています。

2.理念を徹底して身に付ける社員教育
採用基準変更の次は教育の制度化です。パソコンもワープロもない当時、宇都宮氏はガリ版で刷った手書きの教育マニュアルを社員に配りました。このマニュアルで、ドアサービス、自己紹介など、当時の長野県内ならどこもやらなかったサービスを徹底的に行うよう教育し始めたのです。売上よりサービスを優先した、徹底した「お客様主義」のタクシー業の始まりです。昔からいる乗務員からは「こんなアホらしいことをやるなら辞める」と言われましたが、未経験者は知らないことばかりなので、徐々に浸透していきました。

3.古いしがらみだらけの事業協働組合からの脱退
当時、タクシー事業協同組合の理事会に顔を出すと毎月バッシングの嵐。「ドアサービスなんて余計なことをするな」「過剰サービスをするな」と業者仲間から徹底的に叩かれるのです。中には「あんなタクシーに乗らない方がいい、一番事故が多いから」と乗客に言うように、乗務員に朝礼で指示する会社もあるくらいでした。
自分の経営理念、経営思想が反映できないなら経営者じゃない。お客様が喜んでくれることをさせない組合なんて脱退する」と言って1997年に脱退したそうです。
組合からの脱退によって、当時売上の40%を占める“全社共通タクシーチケット”の利用ができなくなり、売上の大幅ダウンが予測されました。しかし時代が味方し、この年、料金規制が緩和されたのです。宇都宮氏は即座に10%の運賃下げを行いました。組合に残っていれば勝手な料金設定は無理だったでしょう。結果として料金を10%下げましたが、全体売上は15%ほど伸びました。

4.根付いたお客様優先の精神
組合を脱退した翌年の1998年には、長野オリンピックが開催されました。当時の長野のあらゆる業界が「オリンピック特需」に沸いていました。タクシー業界も例外ではありません。各国メディアがタクシーを通常の2,3倍の料金で借り受けるのです。もちろん中央タクシーにも多くの注文が入り、オリンピック開催数ヶ月前に全てのタクシーが貸切というバブル景気です。「ここは稼ぎ時」と張り切っていた宇都宮氏でしたが、自社のタクシーに乗って乗務員の話を聞いた瞬間、自ら経営理念を踏みにじっていることに気付かされます。

 「乗務員が『社長、オリンピックで貸切車ばかりの中、いつも我が社をご利用いただくおじいさんやおばあさんはどうされるでしょうか?病院や買物へはどうやって出かけるんでしょうね?』と言ったのです。雷に打たれるとはまさにこのこと。20年に亘って『お客様主義』を貫いていたはずなのに、私にはまだ本当には分かっていなかったんです。本当に大切にしなければならないお客様は誰なのかを、乗務員に教えていただきました。」

直ぐに緊急乗務員総会を開き「オリンピック特需」と「地域のいつものお客様」、どちらを優先するか諮りました。結果は「地域のいつものお客様」-全会一致で決定です。このためオリンピック期間の売上は、当然市内最下位でしたが、その後、需要激減に苦しむ他社を尻目に売上を伸ばし、トップに躍り出たのです。お客様主義が社内を貫き、地域にも評価として浸透した成果です。横並びの前例主義を突破することができたのも、地域の期待に真っ直ぐ応えたからでしょう。地域に生きる企業の模範となる取組みです。

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