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2017年07月19日

世界を変えるビジネスはたった一人の熱から生まれる①~研究者が経営者になる~

今回紹介するのは、東京都新宿区にある株式会社リバネス

リバネスは「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などを繋ぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する、研究者集団です。

この会社は現在代表取締役CEO丸幸弘氏が、2006年東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程在学に設立。日本で初めて、「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化したのです。そして現在、大学・地域に眠る経営資源や技術を組み合せて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させています。今回は、その丸氏の著書「世界を変えるビジネスはたった一人の熱から生まれる」(日本実業出版社)を元に紹介していきます。

元々研究者だった丸氏が、なぜ経営者に転向したのか?
そのことについて、世間を大いに騒がせた「STAP細胞」を例に触れています。

当時、理化学研究所再生科学総合研究センターの共同研究者は、メディアの取材にこう答えていました。「小保方さんのように世紀の大発見をするには誰もがあり得ないと思うことへチャレンジすることが重要だ。でもそれは、若い研究者が長期間、成果を出せなくなる可能性があり、その後の研究者人生を考えればとても危険なことだ」と。これが研究者の現実なのです。

私が、科学者から経営者に転向した理由もそこにあります。一介の科学者であり続けていては、世界を変える前に自分の生命が潰れてしまう。だから科学者や研究者の熱が冷めないうちに、企業や教育機関や子供たちと結びつけることで、世界を変える手助けをしたい。たった一人の発明や発見を、世界を変えるイノベーションに発展させるために、私は科学とビジネスを融合したリバネスという会社を立ち上げました(「世界を変えるビジネスはたった一人の熱から生まれる」より)

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ちなみにリバネスとは「leave a nest」=巣立つ、を略したもの。親鳥がヒナ鳥に、先端科学技術をという餌に触れる機会を与えることで、ヒナが新しく科学者や新事業開発者に育っていくことを意味しているそうです。

リバネスを取り上げた理由は、丸CEOの会社経営の考え方が、自身が学んだ細胞生物学に大きく影響を受けており、それが組織というものの本質を捉えていると思ったからです。
現代は「個の時代」と言われており、あたかも個人と組織がお互い相容れない、そして組織を否定するかのような解釈が社会の主流のようですが、丸CEOは、それを生物細胞学で捉え直しているのです。

会社は生き物です。最初は小さな細胞から生まれ、どんどん大きくなり複雑になって「組織」と呼べるものに育っていく。そして組織がさらにいろんな「器官(機関)」に成長し、それらが協調し連携し合うことで一つの体として動くことができるようになる。

人間の集まりである「会社の組織作り」も、細胞からできている「生物の組織作り」も基本は同じです。細胞の仕組みは、そのまま会社の仕組みにも通じるところがある。(中略)

例えばDNAを例にして考えてみましょう。
DNAは、云わば生物の設計図と呼べるものです。生物がどのように成長していくのか、その設計図がDNAに入っているわけです。では会社にとってのDNAとは何か。それは創業メンバーが掲げたビジョンやミッションです。

リバネスの場合は「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンを掲げて、会社をスタートさせました。とてつもなく大きく、尊大なビジョンですが、会社にとってのDNAはピュアで大きい方がいい。そのDNAによってどこまで成長できるか、その伸びしろは、ほぼ決まってしまうのです。(後略)(「世界を変えるビジネスはたった一人の熱から生まれる」より)

人は誰もが、「誰かの役に立ちたい」という想いを根底に持っています。会社のDNAと呼べるビジョンやミッションがそれに結びつけば、個と組織は一体となって機能を果たすのです。

次回はリバネスを代表する「出前実験授業」について具体的に取り上げます。

 

 

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