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2017年08月11日

なぜ「日本型経営」が世界で再評価されているのか

今、日本型経営が世界で再評価されています。

利益第一の欧米型経営では、余暇を増やすなどの経営努力も虚しく、社員活力が限界を迎えています。そうした中、日本的な風土文化が、可能性として世界に受け入れられているのは、新たな生き方への大きな潮流だろうと思います。

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■アメリカは父性文化、日本は母性文化
アメリカファーストを掲げて就任した米国のトランプ大統領。就任以来、TPP離脱やメキシコ国境への壁の設置、中東・アフリカ数カ国の国民の一時入国禁止措置など強硬な施策を打ち出してきました。こうした彼の流儀は、典型的なトップダウン型といえます。そして、その背景にあるのは欧米等を中心とした父性文化にほかなりません。

父性文化の特徴は、目標に対しては直進的、他人との関係においては自己中心で弱者切り捨て、目的達成手段は実力行使かつ指揮統制を重視します。そして、保守主義であり、場合によっては独裁に走りかねません。マネジメントにおいては、経営者は自分にとって扱いやすい平均化された人物(社員)を好み、逆に有能であっても自分と合わない人物は排除する傾向が強いといえます。

そうしたなか、日本型経営は反対に、母性文化を拠り所とした「和の経営のシステム」で一貫してやってきました。これは、トップダウンに対してミドル・アップダウン型です。目標には進化と循環で臨み、他者とは調和、協調、対等、寛容、対話とボトムアップで目標達成をめざします。全体としては革新主義であり、民主主義ということになります。つまり、父性文化と母性文化はこれほど違うということです。

これらを経営の現場に即して、もう少し掘り下げてみましょう。まず、父性文化を背景としたトップダウン型の経営は強欲であり、利益の配分もトップが独り占めに近いわけです。しかし、日本は母性文化に立脚した和の文化であり、それを生かした年功序列、終身雇用、全社一丸のいわゆる「三種の神器」で成功してきました。

ところが戦後、欧米、とりわけアメリカから父性の文化が入ってきました。経営面においては、デミング賞などに象徴される品質管理、コンサルティングファームのマネジメント手法が脚光を浴びました。日本人はそれらを絶妙のバランス感覚で取り入れ、望ましい度合いにしたわけです。それでもやはり、比率でいうと母性のほうが強いでしょう。私のイメージでは、日本は母性対父性の割合が8対2ぐらいです。アメリカはその逆で2対8ぐらいになるでしょう。

■日本で「プロ経営者」が成功しない理由
日本もバブル崩壊後に、多くの大手企業がこぞって成果主義を導入し、給与に格差をつけることで競争力を出し、生産性を上げようとしました。ところが、それは惨憺たる結果に終わりました。経営の現場は荒れ、社員のモチベーションが低下したことはご存知のとおりです。

最近、その是非が問われている「プロ経営者」にしてもそうだと思います。これまでの日本企業にあっては、同族経営にしろ、内部からの昇格にしろ、自社の企業文化を理解したが人物がトップの地位に就いてきました。ところが、近年になって、日本の大手企業のなかで外部からスカウトした人材を社長に就任させるケースが見られるようになりました。

日本の大手企業が外部から社長を登用する率は3%程度といわれています。これに対して、アメリカは約20%、世界平均では22~23%。こうしたところにも、父性文化と母性文化の違いが出ているといっていいでしょう。

また、日本には父性文化的な手法に対するアレルギーがあるといっていいかもしれません。住宅設備大手のLIXILや通信教育と出版で知られるベネッセホールディングスでは「プロ経営者」が改革の最中で退任に追い込まれました。残念ながら日本ではうまくいかなかったのだと受け止めています。

経済のグローバル化に伴い、日本国内だけの市場活動だけでは行き詰まってしまう会社がほとんどです。古い殻に閉じこもっているのではなく、国際市場に出ていくには、さらなる競争力も必要です。座して待っていても、展望は開けません。その意味で求められるのは、両方の文化のバランスです。どちらの文化が良い悪いという比較論ではなく、それぞれの国の企業風土に適したものを取り込んでいくことこそが成長のシナリオに必要なものだと思います。

いま、日本独自の「和の文化」に根ざしたビジネスは、世界的にも見直されており、その傾向は人材採用の場面でも顕著になってきました。表向きの顔こそ欧米化されているように見えるものの、根本の部分はこれまでと変わらない考え方を維持しています。そんなハイブリッドな日本型経営および人材の採用と育成が再評価されていることを知ることは、世界の行方を読み解く上で重要なヒントになり、自国の強みと課題を見直す機会となるはずです。

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