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2017年08月24日

「一流たちの金言」より ~次代のリーダーシップとは~

盛田昭夫氏とともにSonyの創業者である井深大氏が、ある講演会で語ったリーダーシップ論は、現代のリーダー像を鮮明にさせる内容です。それが致知出版社「一流たちの金言」(月刊「致知」編集長藤尾秀昭[監修})に紹介されていましたので、一部引用します。

都庁で管理職になった頃、現役を退いたソニーの井深大さんの講演を聴きに行ったんです。そこで井深さんは1時間ほどリーダーシップの話をされましたが、私にはよく分からなかった。すると終了後に、ある女性が手を挙げて
「失礼ですが、今の話はよく分かりませんでした。私のような主婦にでも分かるように話をしてくれませんか」
と言ったんです。司会者は大慌てでしたが、さすがは井深さんですね。ニコッと笑って、こんなお話をされました。

「ソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、世界中から大勢の見学者が来られました。しかし一番の問題だったのが 便所の落書き です。会社の恥だからと工場長に止めさせるよう指示を出し、工場長も徹底して通知を出した。それでも一向に良くならない。そのうちに『 落書きするな 』という落書きまで出て、私も仕様がないかなと諦めていた。

するとしばらくして工場長から電話があり『落書きがなくなりました』と言うんです。『どうしたんだ?』と尋ねると、
『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、蒲鉾の板二、三枚に、

・・・・“ 落書きしないでください ここは私の神聖な職場です ”・・・・

と書いて便所に張ったんです。それでピタっとなくなりました』と言いました」
井深さんは続けて
「この落書きの件について、私も工場長もリーダーシップをとれなかった。パートのおばさんに負けました。その時に、リーダーシップとは上から下への指導力、統率力だと考えていましたが、誤りだと分かったんです。以来私はリーダーシップを“影響力”と言うようにしました」
と言われたんです。  (「一流たちの金言」より)

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誰だって自分の仕事を汚されたくない、評価されたいと思っている。落書きした社員の心にもある、その思いに火を付けたのでしょう。

既に私権(地位や財産)獲得を活力源とした私権時代が終わり、上下関係・序列関係をベースにした指示や指摘では、部下であっても動かなくなってきています。さらに言えば、自分の組織だけでなく他社とも連携しながら推進していく事業も多くなっており、そこでは、いわば同列関係の中で如何に各成員の能力を結集させるかが重要な課題になっています。

そのためには、どれだけそれを実現したいか、という自分自身の強い意思(志)を伝播させることだったり、それを実現することによって、どれほど皆が充足できるかの可能性提示だったり、関係する人々を自然にその気にさせる≒活力を上げることが、不可欠。それを井深氏は「影響力」と名付けました。

現在、ネットで注目されているインフルエンサーと言われるカリスマブロガーもこの「影響力」を持ち主。まさに共認時代の申し子なのでしょう。

知り合いの会社で同様なことがありました。その会社では新入社員が毎朝オフィスの共用部の掃除を担うのが伝統なのですが、最近は来客だけでなくコラボする外部の人やインターシップ学生などの出入りも頻繁になってきた為、1年生たちは各人の机廻りも含めてオフィス全体を綺麗にしたいと考えたのです。勿論、会社の評価は仕事での成果そのものですが、最初に仕事を依頼しようか?この会社に入社しようか?と考えて来社した人にとって、オフィスの雰囲気も評価の一部であることに気付いたのです。

そこで毎月1日30分だけ先輩社員も含めて皆でオフィスを掃除する時間を設けようと、皆に提案したのです。これまでは「掃除は1年生の仕事」と線引きしていた先輩たちも、新入生の想いにほだされ重い腰を上げました。先輩職員は自分の机廻りだけなのですが、皆で一緒に掃除することで「オフィスを綺麗にして迎えよう」という想いで一つになり、普段からも意識するようになったのです。

この取り組みのリーダーは確かに新入社員。決して指導力、統率力がある、とは言えませんが、多くの先輩社員を動かしたリーダーシップはありました。彼らがしたことは「一緒に仕事をする(可能性のある)人を心地よく迎えたい」という社員全員が潜在的に持っている想いを引き出すこと。現代のリーダーシップとは、周囲の人のエンジンに火を付けることなのです。

 

 

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