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2018年01月24日

世界に安全な水を提供する日本ポリグル㈱ ~志が事業と人の輪を拡大していく~

今回取り上げるのは、2002年に大阪で設立された日本ポリグル株式会社。資本金1億円で言わば中小企業ですが、実は世界40カ国以上にわたり「安全に飲める水」を提供しており、BOPビジネスの成功事例として経済産業省にも取り上げられました。*BOPとは途上国における年間所得3000ドル以下の低所得者層(base of economic pyramid)を対象に、製品・サービスを提供するビジネス

日本ポリグルが提供する「安全な水」とは一体何なのでしょうか?
創業者の小田兼利会長は、自社事業を説明する際に、まず水の浄化実験からスタートします。
実験は、アオコで濁った水の入ったビーカーに1さじの粉を入れて掻き混ぜます。すると数分で汚れが固まり沈殿し、水は透明になり、小田会長はこれを布で濾過してコップにあけて、飲み干します。
「最後に自分で飲んで見せないと人は信用してくれない」らしい。

白い粉は小田会長が開発した「PGα21Ca」という凝固剤。納豆のネバネバ成分であるポリグルタミン酸を主原料とし、カルシウム化合物を添加した水質浄化剤です。水中の汚れや重金属類などの毒物を短時間で凝集させ、「フロック」と呼ばれる微細粒子の集合体に変える魔法の粉。フロックは水に比べて比重が重いので直ぐに沈殿し、透明で無毒な水を作り出すのです。

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「通常では汚れの粒子にマイナス電荷がかかっており、互いに反発してくっ付かないのですが、カルシウムなどの無機成分はマイナス電荷を中和し、ポリグルタミン酸が粒子間を接着してフロックを形成するのです。但し、殺菌効果はないので、飲み水として用いるには煮沸するか塩素を入れた方が安全です。とはいえ大腸菌などの雑菌類はほとんど除去され、うわ水には残りません」(小田会長)

PGα21Caは、1グラムで10リットルもの水を浄化できます。水を浄化するタンクが、バングラデシュ、タンザニア、ソマリア、エチオピア、ブラジルなど世界40カ国に設置され、約280万人の人々がポリグルの水を飲んでいます。

言うまでもなく水は命の源。毎日飲む水が汚染されていれば様々な感染症を媒介し、乳幼児死亡率は高止まりし、人々の平均寿命は短いまま。水を巡る国際協力には古くから井戸掘り事業などがあるが、多額の資金と時間が必要なことが難点。その点ポリグルはわずか5日間でタンクを設置し、浄化剤の使い方を習得した現地スタッフが管理するというもの。タンクもスタッフも全て現地調達で、日本から持ち込むのは浄化剤のみ。水だけでなく事業や雇用の創出にもつながっています。浄化剤も水1000リットルあたり約1ドルという安さなので、安全な水を永続的に供給するビジネスが成立します。

小田会長が今の事業を立ち上げようとしたのは1995年阪神・淡路大震災のとき。水道がストップし、給水車の長い列に並んでいた小田会長は、直ぐ横にある池を見て「あの水が飲めたらなあ」と考えた。そのとき思い出したのが、約40年前の論文にあった「納豆のネバネバ成分・ポリグルタミン酸に水を浄化する性質がある」という一節。このわずか2行の記述が、小田会長の技術屋魂に火をつけた。数年間の試行錯誤を経て開発した水質浄化剤は過去最高の自信作となり「これで一儲けできるぞ」と61歳のときに日本ポリグルを設立。しかし国内の自治体へ売り込んだが、設立まもなく実績のない零細業者は全く相手にされなかった。

落胆する小田会長を救ったのは04年に発生したスマトラ沖地震で被害を受けたタイ政府だった。同社に在籍していたタイ人社員を通じて、タイ政府から要請があり、現地に飲み水を作るためPGα21Caを無償で提供したのです。数千万するフランス製浄水装置が上手く作動せず困っていた中で、日本ポリグルの魔法の粉はたった30分で大量の飲み水を生み出し、現地の人々から大いに感謝された。さらに07年サイクロン被害のバングラデシュでも被災地に安全な水を供給し、現在のビジネスモデルへとつながった。

そして成功の背景には先人たちが築き上げてきた日本人や日本の技術への信頼感があるそうです。

「日本人ということだけで、私はどこに行っても歓迎される。海外で頑張ってきた先人たちの努力を決して裏切ってはいかんよね。我々が背負っているのは自分の技術や会社だけではない。日本のイメージそのものなんだから。」(小田会長)

未だに1年の大半を海外で過ごし安全な水の普及を図る小田会長。

いろいろな失敗をしてきたが、この事業を成し遂げる為に今までの経験があったのだと、私は今、はっきり言い切れる。60歳を過ぎて、何の為に自分が生まれてきたのか悟った自分の命の使い方がわかったんですよ。私が元気で動けるうちに世界中の人々が安全な水を飲めるようにしたい。本当に出来る気がするんですよ」(小田会長)

「志」が活力を産み出し、それが伝播することで会社をさらに日本まで超えた人の輪も広がっている。製造~販売~メンテナンスまで「安全な水の提供」という志で様々な事業がつながっている。21世紀の共同体は地縁血縁でも、職縁でもなく、志を共有するものがつながる社会なのかもしれない。

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