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2018年02月07日

老舗企業大国日本① ~貴金属の声を聴く田中貴金属工業~

終身雇用制は日本企業の特長の一つ。かつて「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助が始めた制度と言われています。この制度のマイナス面は、従業員が守られている意識から会社にぶら下がり、内向きな志向で「会社の常識が社会の非常識」など閉鎖的で不活性な体制を生み出しやすい点にあります。
しかし一方で技術・技能を長期に亘ってじっくり育て、組織にそれを塗り重ねていく良さもあります。日本が世界で群を抜く「老舗企業大国」であるのは、組織内に塗り重ねられた技術・技能にあるのではないでしょうか。
今回は「世界が賞賛する日本の経営」(伊勢雅臣著:育鵬社)を一部引用して、老舗企業から学ぶべきポイントを抽出したいと思います。

日本には創業百年を超える老舗企業が、個人商店や小企業を含めて10万社以上あると推定されています。その中には飛鳥時代の西暦578年に設立され1440年の歴史を持つ建築会社「金剛組」、西暦718年創業で1300年も続く北陸の温泉旅館「法師」など千年以上の老舗企業も少なくありません。
それに比べてヨーロッパ最古の企業はイタリアのベネチアグラスのバロビエ・トーゾ社で創業1295年で723年の歴史。韓国では俗に「三代続く店はない」と言われており、せいぜい創業80年の歴史の会社が幾つかあるにすぎない。中国でも世界最大の漢方薬メーカー「北京同仁堂」は1669年の創業くらいなので、日本企業のすごさが際立っています。

さらに興味深いのは、日本の100年以上の老舗企業10万社のうち、45000社ほどが製造業であり、その中には伝統的な工芸品分野ばかりでなく、携帯電話やコンピューターなどの情報技術分野やバイオテクノロジーなど先端技術分野で活躍している企業も少なくないこと。時代の変化に対応することが生き残り続ける企業の条件とも言えるのです。

そんな企業の一つが東京の田中貴金属工業。明治18(1885)年には白金の皇后製品としての国産化に成功。以来、貴金属の売買と加工を二本柱としてやってきました。

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現在の代表製品の一つが、金の極細線。最も細いもので直径0.01ミリ、髪の毛の1/8ほどの細さのものが作られています。例えばスマートフォン内部のプリント基板には小さいものでミリ単位の電子部品が多数載っているが、それらを基板の回路に接続する際に、よく用いられているのがこの金の超極細線である。

金は錆びないし、熱や薬品にも強く、導電性も高い。さらに薄く長く伸ばせる。1グラムの純金を、太さ0.05ミリの線にすると、3000メートルにもなる。そうした貴金属の特長を、長年磨いてきた加工技術で引き出しているのである。同社は金の極細線で世界のトップシェアを握っている。

同社ではさらに、プラチナでがん細胞の成長を抑えるとか、銀にカドミウムを加えて接点としての性能を上げるなど、貴金属の新しい特性を引き出す革新的な研究開発を続けています。

同社の技術開発部門長の本郷茂人氏はこう語っています。

「貴金属の方から、そういう特性を世の中に出してくれ、出してくれって言っているような気がするんですよ。我々が特性を探し出すんじゃなくてね。世の中に出してくれ、出してくれと言っているものを出してやるように努力するのが、我々の仕事じゃないかと思うんです」

人は「誰かの役に立ちたい」という思いが行動の原動力になる生き物です。本郷氏を始め田中貴金属工業の皆さんは「貴金属」も「人」と同様に「世の中に役に立ちたい」という想いを持つモノとして見なしその想いに応えようとしているのです。これを「同化」能力と呼びますが、貴金属の持つ可能性を引っ張り出すこの「同化」力が、企業内に塗り重ねられて時代の要請に応える技術を産み出し、企業を支え続けてきたのです。

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