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2018年04月04日

おもてなしの心を継承していく ~浜野製作所~②

浜野製作所の経営理念は「『おもてなしの心』を常に持ってお客様・スタッフ・地域に感謝・還元し、夢と希望と誇りを持った活力ある企業を目指そう」というもの。実はこの経営理念は、2000年に起きたもらい火による火事で、工場が全焼したときの思いが込められています。
今回も『人に喜ばれる仕事をしよう』(坂本光司著:WAVE出版)を一部引用して紹介します。

2000年6月30日火事が起きたのは午前10時頃。出火後すぐに浜野社長は、「うちも全焼する」と直感し、すぐさま近くの不動産屋に駆け込みます。「今日の午後出荷しなくてはならないものがある。お客様に迷惑をかける前に、どこか移動できる工場を貸して欲しい」。不動産屋社長は方々に電話し、元皮革工場を紹介します。さらにその女性オーナーも見ず知らずの浜野社長に「前金も契約手続きもいらない。とにかくお困りなんだから、今から使いなさい」と温かく対応してくれたのです。

「地域の皆さんにお世話になって応援してもらい、助けていただいて、今の浜野製作所がある」

浜野社長は、この件をきっかけに地域への想いを強めたのです。さらに火災で生産がままならないにも係らず、契約を打ち切らず、中には通常の1.5倍の発注量を出した取引会社もありました。

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「取引先が大事にしてくれるのは、先代が良いものを作ってくれて残してくれたからです」

「お陰さま」 社長の話からこの言葉が浮かんでくる。周囲への感謝が、経営理念の根底にあるのです。そしてこの想いを「おもてなしの心」として直接伝える為に、浜野製作所は下請から脱却し、精密板金加工やプレス加工を中心とした精密試作品の作成を、直接請負うことに舵を切ります。

「従来の加工の部分でしか仕事しないのではなく、ものづくりをデザイン素材試作実際の加工アフターフォローメンテナンス、全ての工程で捉えて得意分野を活かしていく必要がある。東南アジアや中国の製造品質が向上し、価格面だけで勝負するのはもう古い。36年間ものづくりをして培ってきたものを活かした仕事がしたい!価格追求型・量産型の仕事はどんどんなくなるだろうが、試作や開発に係る“小ロット多品種”というニーズはなくならない。」

それから浜野社長は、試作品工場への新型機械も購入し、訪問先に「どういう条件なら注文してもらええるのか」確認したところ、3つの共通した答えがありました。

1つ目は、「安いこと
2つ目は、「難しい仕事で、他社にできないこと
3つ目は、「納期が短いこと

特に3つ目の納期は産業界において極めて重要。各社新製品の開発にシノギを削っている中で、製品化のスピードが成否を決するといっても過言ではない。 そこで浜野社長は自社の強みである加工技術に「納期1週間以内」という条件をプラスするという大胆な戦略を打ち出したのです。そのためにはまず業務プロセスの整理です。営業、生産、管理と全スタッフを巻き込んで徹底的に話し合い、改善していきました。

また「生産管理システム」の導入による進捗状況や「工程管理板」の導入による加工機械の稼働状況をPC上で確認できるようにしたり、「見積モジュール」の導入により見積次官の短縮を図るなどITを積極的に活用し、試作品の注文を受けてから納品まで「1週間以内」を実現し「短納期の浜野」というブランド構築に成功したのです。

火事の当時、2名だった社員は、14年後には社員数33名、取引先は千社を超え、売上も10倍以上を達成しています。
さらに数々の賞も受賞しています。
「すみだが元気になるものづくり企業大賞」(2005年)、東京商工会議所主催第5回「勇気ある経営大賞」優秀賞(2007年)、「東京都中小企業ものづくり人材育成大賞」奨励賞(2008年)、「東京都経営革新計画奨励賞」(2011年)など。

大手企業からの信頼も厚く、ホンダの役員研修会を同製作所で開催したこともあったそうです。なぜか?ホンダの担当者はこう答えたそうです。

「ホンダもそもそも中小企業だったじゃないか。ものづくりの原点を勉強させてもらえるような中小企業で集まりたくなって、声をかけさせてもらったんですよ」

中小企業は会社と社員の距離が近いので、社員のやる気≒会社の活力になりやすい。それは活力にある企業の典型例でもあり、大手企業が注目するのも当然かもしれない。日本に老舗企業が多いのは、浜野製作所のように技術の継承とともに、「おもてなしの心」も継承しているからなのだ。

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