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2018年07月19日

大阪府阪南市箱の浦 ~自主財源確保による まちづくりの取組み~

今回は自治会から発生したまちづくりの取組みを紹介します。自治会というと古くからいる高齢者の集まりというイメージで、あまり可能性を感じないと思いきや、意外や意外、新しい可能性を探索している自治会もあるのです。

大阪府南部の阪南市箱の浦は、かつてはニュータウンと呼ばれていましたが、現在人口1930人、世帯数732世帯、高齢化率38.5%強の地域です。市内まで8km、最寄駅まで2kmと典型的な交通の便が悪い地域。特に一人暮らしの高齢者の「孤独、健康上の不安、買物の困難さ」等を訴える声から、自治会として行政に解決方法を相談。しかし行政からは「協力出来ない」とのこと。
一方自治会も毎年のように会長や役員が入れ替るため、事業継続が難しいのが現実。それを突破する為に自治会の20名の有志で「箱の浦まちづくり協議会」を立ち上げたのです。そこでは「住み続けたい町にする」ことを目的に、行政に頼らず「地域のことは地域で解決」を目標に設定しました。
その展開を見ていきましょう。

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2012年
まず自治会役員を中心に社協、民生委員などの趣旨賛同者で「箱の浦まちづくり協議会」を立ち上げた。行政の援助を受けずに高齢者が集えるたまり場「おしゃべりサロン」の開設。しかし想定していた公共施設はアクセスが悪く、高齢者が通いにくいため、仕方なく空き家を借りることに。家賃・光熱費など諸々の費用13万が払えるか?無償のボランティアが集まるか?など不安要素あったが、10月に毎週火・木の週二日開催でスタート。ところが40人と予想の倍の賑わいがあり翌年から火・木・土の週三日開催に。
さらに同年11月には、おしゃべりサロンを拠点に買物困難地域の解消を成すべく「朝市」の開催を計画(毎週土曜日)。野菜は勿論新鮮な魚、パン・ケーキ・漬物・陶器と販売品目もできるだけ多彩にした結果、毎回100名が参加するほど盛況に。
参加者からの精肉や日常生活品の販売要請も加味して、2014年12月からは「生協の移動販売車」を導入し、買物困難地域を名実共に解消。
*このおしゃべりサロンには週1度、ソーシャルワーカーが訪問し、医療・福祉、認知度の不安から身の回りのことまで相談に乗ってくれる。

2013年
「地域の子どもは地域で育む」を合言葉に「のびのびクラブ」を創設して毎月イベントを運営し、2016年度末には最終目的の「こどもサロン」=こどもの溜まり場として読書、語り、宿題などができる子どもが主役のサロンを開設した。
他方、財政基盤の確立にも努力を注ぎ、高齢者の便利屋として「お助け隊」を創設して、高齢者に喜ばれている。現在では地域の空き地の除草、屋根のペンキ塗り等に発展。
さらに地域の防災活動や避難経路についても勉強会を開催し、箱の浦団地の防災パンフレットを作成しています。

2014年
さらに財政基盤の一つとして、「再生資源の回収事業」を開始。業者ではなく、自分たちでアルミ缶・新聞紙・段ボール・雑誌などを回収して業者に持ち込み、年間65万円(市からの回収報奨金を含む)の収入となり、財政基盤の確立に大きく貢献している。

2015年
食事から健康を考える為の「シニアランチハウス」を開設。民家を借りて高齢者、特に一人暮らし、認知症の人たちの参加を積極的に呼び掛けた。「ランチハウス」には毎回20数名が参加し、500円の会費で食事はもちろん食後はカラオケ等を楽しんでいる。開催は月3回であるが、回数を増やして高齢者、特に一人暮らしの人たちのストレスを解消し認知症の予防につなげていきたいと考えている。

次々と新しい事業を立ち上げている事業意欲が旺盛なことにも驚きますが、事業継続組織継承のために、自主財源確保のための「お助け隊」や「再生資源回収事業」にも取り組んでいることに、彼らの本気度を感じます。行政や自治会とも連携しながら「自分たちの居場所を自分たちで確保する」を実践する地域活動は今後も増えて行きそうです。

 

 

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