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2018年08月01日

はとバスを赤字転落から浮上させたのは組織の一体化

はとバスと言えば、東京都内を中心に走る有名な観光バスです。東京観光の代名詞とまで言われた存在でしたが、実は平成10(1998)年までの4年間、赤字続きで借入金は70億円にまで膨らんでいたのです。その額は年間売上120億円の6割近い金額。バブル崩壊に、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と相次ぐ事件に乗客が激減していたからでした。
その年の6月に社長に任命されたのが、東京都庁に長く勤務していた宮端清次氏(当時63歳)。そして宮端社長はこのはとバスを一気にV字回復させます。それをまずまぐニュースの記事を一部引用して見てみましょう。

まず、はとバスが赤字に陥った根本原因は何なのでしょうか

宮端社長は、はとバスが業績を下げていったのは、社会的要因はあるものの、社員の中に「顧客第一主義」が浸透していないからだと考えたのです。それが浸透すれば、お客様が、はとバスを利用してくれるはず。 そこで

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宮端社長は、社員全員に丸一日の研修を受けさせようと考えたそうです。総額で1,000万円近くかかるというので、経理担当役員からは「そんなお金どこにあるんですか」と反対されたが、 宮端社長は「この1,000万円については、私個人で責任を持つ」と言って、実施した。
運転士、ガイドから、営業所の社員、予約センターのオペレータまで、1回で30人ほどが集まり、それぞれ7、8人のグループに分かれて、「サービス日本一と言われるためにはどうすればよいか」などというテーマで議論し、社長以下の幹部に内容を報告しました。
初年度でも160件のアイデアが出ましたが、その中で ある運転手から「お客様がバスから乗り降りする際に『踏み台』を置くというのがあった。観光バスから何度も乗り降りするお客さんを思っての提案でした。
しかし実施するとなると、踏んでもグラつかない丈夫な踏み台が必要。宮端社長が「かなりの重量になるが、その重い踏み台は誰が運ぶのか」と質問すると、運転手から「バスが止まり、お客様が乗り降りする時に、私たちがトランクから出し入れします」という回答。

「お客様に満足していただくためには、労を惜しまない」という姿勢に心を打たれました。
鉄製の頑丈な踏み台は、一個50万円もする代物でしたが、150台のバス全てに付けることにしました。
運転士によると、この踏み台を出すと行く先々で他の観光バスの乗客から羨望の視線が集まるということで、お客様の乗り降りが楽になったばかりでなく、はとバスのサービスの高さを示す、良い宣伝になったようです。(『はとバスをV字回復させた社長の習慣』 宮端清次 著/祥伝社)

日頃からバスガイドや、重い踏み台を出し入れする運転士が、現場の最前線で、利用者の喜びを作り出している。そのことを実感した宮端社長は、会社の組織図を改変することを決めます。

「愛されたことのない人間は、他人を愛することができない」といいますが、現場でお客様に接している乗務員も同じ事です。「会社から自分が扱われている以上には、お客様を扱わない」のです。
お客様第一主義を徹底するために、現場で日々お客様と接している乗務員を大切にしなければならない。こうした意識を乗務員以外の社員に浸透させるために、そして乗務員には自分たちが大事にされていることを感じてもらうために、組織図を逆三角形に置き換えました (『はとバスをV字回復させた社長の習慣』 宮端清次 著/祥伝社)

逆三角形の組織図とは、
一番上に            お客様
その下に          ガイド・運転士
その下に         課 長 ・ 部 長
一番下に        社  長 ・ 役  員   とした図のこと。
現場の直接サービスをしている従業員が、思う存分、働いて貰えるよう支えるのが、課長や部長、そして社長の仕事だ、という考え方なのです。
しかし、組織図を逆さまにしただけでは、人々の意識は変わらない。宮端さんは、社内で「末端」という言葉を使うことを禁じた。ある役員が、今までの意識のまま「この計画を末端まで周知徹底して行います」と言った時に、宮端さんは「何を言っているんだ」と一喝した。

末端は社長であり、お客さまと接する現場の社員は「先端」なのです。現場にいるガイドや添乗員たちは、社長や役員に代わって、毎日お客様から叱られています。お客様から叱られて泣き、褒められて泣きながら成長しているので、意識が一番高いのです。彼らこそ、会社の先端なのです。 (『はとバスをV字回復させた社長の習慣』 宮端清次 著/祥伝社)

社長は、休みの日に自腹で奥さんと一緒に、はとバスに乗り、そこでお客さんのナマの声を聞くそうです。某メーカーの調査によると、ある製品に対し、不満・苦情を感じた人のうち、メーカーに直接不満をぶつけてくる人はわずか6.8%。残りの93.2%は、何も言わない代わりに、その会社の製品を使わなくなる、と言う。
とすれば、お客さんを増やすには、お客さんの不満を一つ一つ解決して、この次もまた、はとバスに乗りたい、という人を増やせば良い。それは、「お客様の喜ぶ顔がみたい」というガイドさんの気持ちを、そのまま経営として実践するだけのことだった。
こうした努力が実を結んで、宮端社長は就任4年目には「プロが選ぶ観光バス30選」で日本一に選ばれた。発表の翌日にたまたま研修があったので、「ありがとう。皆のおかげで日本一になった」と、感謝の気持ちを込めて挨拶をした。
すると、あるガイドさんから、その日のレポートとして次のような指摘があった。

社長、これで有頂天になっていてはいけません。そんなものは、大事故でも起こせば一夜にしてひっくり返ります。「プロが選ぶ日本一」になるのも結構ですが、本当は「お客様が選ぶ日本一」にならなければダメです。(『はとバスをV字回復させた社長の習慣』 宮端清次 著/祥伝社)

これには、宮端氏も「参った!」「あっぱれ!!」と感じたそうです。現場で日々真剣勝負をしている「先端」社員ならではの指摘。そしてそのことが「顧客第一」の志を軸に、経営者と社員が一体となり勝てる組織になったことの証なのです。

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