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2019年01月16日

板室温泉大黒屋③ ~客との充足関係ができれば接客マニュアルはいらない~

栃木県の板室温泉街の中にある創業450年を超える老舗旅館「大黒屋」の取組みを紹介しています。その老舗旅館に全く異質と思われる現代アートを取り入れたのが室井俊二社長の取組みについて、今回も「ちっちゃいけど世界一誇りにしたい会社」(坂本光司著:ダイヤモンド社)から要約して紹介します。

板室温泉大黒屋の接客の元になっている「宿泊客一覧表」というシステムがあります。
この仕組みを作ったのは、池田春子さん。室井社長が「現代アートを経営に取り入れる」と宣言し、従業員がどんどん辞めていったときに、たった一人残った人。地元の主婦だった池田さんは当時喫茶部門のパートでしたが、従業員がいなくなったため、フロントを任されるようになります。そのとき素人の視点で作り上げたのが「宿泊客一覧表システム」だったのです。

写真はコチラからお借りしました

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この一覧表にはそのお客さまが何回目の訪問の何日目か、前回の来訪日、食べ物の好みなどのほか「足が悪いのでエレベーター利用」などといった特記事項が書かれています。
フロントはこの紙をコピーして、厨房、喫茶、調理場、ルームサービスのスタッフ待機場所に貼ります。例えば調理場ではこの紙を見て、お客様の料理の好みを念頭に置いて食材の仕入れを考えるわけです。
この表のもとになる台帳には、自家用車の種類や色、靴のブランド名、旅行バックの特徴など様々な情報が書き込まれています。フロントスタッフはこれに目を通して、各宿泊者について“予習”をしてからお客様を迎えるのです。

つまり接客マニュアルがあるわけではありません
ここの経営理念には「自己の部門に責任を持とう」「チャレンジ精神で常に向上しよう」とあるとおり、各スタッフが責任を持ち、それぞれは工夫しながらサービスの向上を心がけているのです。

「今は目的がはっきりしているので、逆に良いサービスができます。客層が変わって皆さん静かにゆっくり過ごして下さいます。簡単に言うと“いいお客様”。ガサガサしないし、命令口調でモノをおっしゃらない。お客様が“早くビール持って来い!”という感覚だと、結局、従業員も荒れてしまうんです」(室井社長)

マニュアルがないと接客サービスが大丈夫か?と不安になるかもしれません。大手チェーン店の対応に慣れている私たちはそうなりがち。しかし本来のサービスとは店側が均一に提供するものではなく、客側が快適に過ごせるように事情の異なる個々の客に合った適切なサービスを提供すること。「マニュアルがない」というのはマニュアルに縛られずに本来のサービスができるということなのです。

しかしこれも客側の相互理解が不可欠。個々でサービスが違えば、歪んだ平等観念によって「なんであの客にはして、私にはないのよ!」なんて言い出す客もいるからです。
そこは室井社長が打ち出した、現代アートによって「保養環境」を作り出す経営方針が鍵。お客さんはその方針に共感して訪れる人。なので従業員もブレずに安心してお客さんの求めている方向で、頭を使っていける。リピーターになればなるほど、その行き届いたサービスに充足し、また訪れたいと思うのです。客を選ぶということが、ここでも好循環につながっています。

 

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