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2019年07月31日

マキャヴェリ「君主論」~志を掲げて人を動かす

みなさんは教科書に出てきたマキャアヴェリ「君主論」を覚えていますか?
テスト用に暗記した人は名前を知っていても、内容までは知らない人が多いのではないでしょうか。しかしこの「君主論」は今でもビジネスで活用されているのです。今回も「戦略の教室」(鈴木博毅著:ダイヤモンド社)を参考にして展開します。

この画像はコチラからお借りしました

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ニコロ・マキャアヴェリは1469年にフィレンツェ共和国(現イタリア)に生まれます。1498年に国の第二書記局長に選出されて以降、内政・軍政に係わるとともに外交官としても活躍→その後、そこでの経験と構想をまとめたのが「君主論」なのです。

その特徴は一言で言えば「美化を排除した現実認識」。それを具体化したリーダーが身に付けるべき要素7つを紹介します。

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1.「組織と人を動かし成長させる「志」を掲げ、指導力の基礎とせよ」

京セラの名誉会長で日本航空(JAL)を再生させたことでも有名な稲森和夫氏は、会社の理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類の進歩発展に貢献する」と決めた後、初めて社員を叱ることが可能になった、と著書「こうして会社を強くする」で述べています。それまで社員が働くこと自体が正義だったのですが、理念を決めた後は、理念に一致しない働き方に対して「怠けている」と厳しく叱ることができたのです。「正義」とは「志」と読み替えることができます。

2.「状況こそが常に最善手を決める」

用意周到な二人の人物がいても、一人が成功しもう一人が失敗するように、成功と失敗は「時代や状況と合致しているか否か」で決まる。栄枯盛衰も同じで、忍耐強い君主も時代が合えば繁栄するが、状況が変化すれば衰える。これは君主が生き方を変えないためで、即応できる賢明な人間は稀である。

3.「人を従わせるリーダーは、恨みを買うことなく恐れられよ」

愛されてかつ恐れられることが理想だが、両方できないときは、君主は「恐れられる」方がいい。鷹揚な態度を見せると相手は甘く見て、たまに必要な厳しさを発揮すると反発される。 一方、日頃恐れられている君主は、稀に鷹揚さを見せると人は慕うもの。愛されないのであれば、恨みを買わずに恐れられることが最上である。

4.「国を守るための冷酷さを発揮せよ」

国を守り秩序を維持するため、冷酷さを発揮する人は、それで国が保たれるならむしろ憐れみ深い人である。悪名を逃れるために国を混乱に陥れる者は、全領民を傷つける悪である。現代はマキャアヴェリの生きた武力時代とは違いますが、組織を守ることはリーダーとして不可避な課題であることは変わりない。

5.「運命は抵抗力がないところほど猛威を振るう」

この世は大抵運命に支配されているが、だからといって「宿命に全てを委ねる」態度で、人間の自由意思を奪われてはならない。運命が半分を思いのままに決めても、あとの半分の運命は我々の支配に任せているからだ。運命は抵抗力のないところに猛威を振るうから「自らの意思」を発揮せよ。又、運命の女神が持つ「機会」を活かすには、荒々しい行動力が有効である。

6.「民衆の気まぐれに頼るのではなく君主は自ら仕掛けよ」

愛情は気まぐれに頼らなければいけないが、恐れられることは君主自らが仕掛けて能動的に行える。支配者は自らの立場を守るため、幸運に頼るのではなく、自ら仕掛けてその地位を強固にしなければならない。圧力≒活力だが、現代は私権圧力が衰弱している時代であり、リーダーは成員の活力が上昇するような圧力を自ら形成していくことが必要です。

7.「平時にこそ先を見据えて問題に備えよ」

天気の良い日に、嵐のことを想像しないのは人間共通の弱点だが、君主である者は、問題が起こる前にそれを考えておき、明代が小さなうちに素早く対処すべきである。病気と同じく、それと明確に分かるときには既に手遅れなのだから。

以上ですが、「リーダー自ら仕掛けよ」は今の激動の時代に特に響く言葉。集団の先頭に立って圧力を作り出す姿が今のリーダー像なのです。

 

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