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2019年11月27日

様々なプロを結集させ生まれた一粒1000円のイチゴ

2011年東日本大震災で壊滅したイチゴ産地を、全く新しい形で蘇らせた復興起業家がいます。当時東京でIT企業を経営していた岩佐大輝さん、現在は「農業生産法人株式会社GRA」代表取締役CEOです。

写真はコチラからお借りしました

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岩佐さんの故郷である宮城県山元町は、震災前にはイチゴの出荷額が13億円ありました。震災はその95%のビニールハウスと、4%の人口を飲み込み、さらに6年間で25%の人口流出をもたらしました。

「イチゴ産地の復興無くしては、山元町の存在は危うい。復興の旗印になるような成功事例を急いで作らないと、この町に目が行かなくなる。人がいなくなって、文化もなくなってしまう」

と強い危機感を感じていた岩佐さんは、自らが持つノウハウや人脈を駆使して、復興に乗り出しました。

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そして2011年9月、無謀にも僅か3名(農家の友人と役所の友人)で、井戸を掘り、ビニールハウスを作り始めた。井戸水は塩分を含んでおり、イチゴは上手く育たないと思われていた。しかしイチゴは奇跡的に育ち、翌年、収穫の春を迎えます。

岩佐さんの凄いところは、産地を震災前の状態に戻す復興ではなく、世界最高級の産地へと突き抜ける戦略をとったこと。岩佐さんはこれを「創造的復興」と呼んでいます。

山元町のイチゴ農家の担い手は65歳以上の高齢者がほとんどで、彼らの持つノウハウを受け継ぐには時間が足りない。同時に、引き継ぐだけでは高い付加価値を生み出せないという壁にぶち当たります。
そこで岩佐さんは、2012年に産地復興の象徴とも言える巨大ハウス群を5億円投じて建設し、栽培するイチゴやトマトは、温度、湿度、日照、水、風、二酸化炭素、養分などが全てデータ管理する「IT農業」を行います。制御データにはこの道35年のベテランイチゴ農家である橋元忠嗣さんの暗黙知を組み込んでいます。
岩佐さんは単位面積あたりの収穫量を1.5倍にする生産革新と、ブランド戦略によってイチゴの単価を平均1.5倍にまで引き上げ、結果として従来比2.25倍の価値創出を実現したのです。
ここで作られたイチゴは、「ミガキイチゴ」というブランドで、新宿伊勢丹ではなんと一粒1000円の値が付きました。最高級プレミアム・ブランドの誕生です。

実はこのブランド戦略の成功の陰には、GRAが組織するNPOの存在があります。そのメンバーには東京の大企業に勤める人たちが多く、日頃はデザイン、PR、財務など様々な部門に属して働いています。岩佐さんは、彼らが持つ専門能力を、それぞれ5%の時間だけボランティアとして提供してもらう「プロボノ」という枠組みを用いました。このメンバーは登録ベースで1000名を超え、実働ベースでも常時100名くらいは存在するという。彼らは企業に所属しつつも、何か自分も復興に関わりたいという潜在的なモチベーションを持っており、復興NPOに自分の専門性を活かして関わることは、彼らにとって想いの実現になる他、将来的なキャリアアップのための実績にもなるのです。岩佐さんは、この眠っていた企業内個人の潜在的な力を巧みに引き出し、ブランド化の成功を大きく手繰り寄せたのです。

岩佐さんはこのプロボノ組織についてこう話します。

「1人の100%よりも、20人の5%の方がいい。1人でマルチに何でもできる人はいないし、辞めてしまったら全て消えてなくなってしまう。プロボノの5%をつなぐことには実は物凄い価値がある」

GRAの成功は、農業のプロ、PRのプロなど、様々な職能の異なるプロフェッショナルを結集させたことにあるのです。

さらに岩佐さんは新規就農支援ビジネスにも動き出します。これまで培ってきたノウハウを提供し、フランチャイズのように拡大していく。「従来のように農家に10年も付いて仕事を思出るのではなく、1年くらいでクイックにノウハウを吸収してもらう」という新しい指導方式を導入する。このノウハウ・ライセンシングによって、GRAは自らの初期投資を回収するとともに、地元雇用の拡大を進めていく考えである。もちろん生産のみならず6次産業化によって直接、間接に雇用を増やしていきたいと言う。

GRAの目標は、

10年以内に100社の企業化または農業を継ぐ人が現れること、そして1万人の雇用を作ること

自律的なまちづくりを継続するには産業という軸が不可欠。そこから新しい産業が集積する構造によってまちは活性化していくのです。岩佐さんの活躍に期待します。

 

※参考:「日本の革新者たち」(齊藤義明著:ピー・エヌ・エヌ新社)

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