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2020年12月02日

住民が発信主体になることで「まち」が元気になる

最近は民間のアイデアによるまちづくりが盛んになってきました。中でもリクルートOBが各方面でのまちづくり事業に係わっている事例がありましたので、彼らの活躍を紹介しながら、その戦略的思考に同化してみたい。
今回は1986年リクルート入社の樫野孝人氏。2000年にIMJ代表取締役就任しジャスダック上場。その後彼が広島県や京都府で特別職参与として企画した自治体における広報戦略を取り上げます。
情報発信の重要性は今更言うまでもありませんが、その中で必要な認識は、社会に提供されている情報量は人々が取得できる量の500倍ということ。つまり499個は所得されずに捨てられています。一方で面白い情報、有益な情報、悪い情報など、情報価値の高いものはあっという間にシェアされ、拡散していく。大切なのは情報の価値、質と戦略なのです。

事例1広島県「おしい!広島県!」

写真はコチラからお借りしました

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樫野氏の企画した観光キャンペーン「おしい!広島県!」は、優良な資源を持ちながら意外に知られていない広島県を自虐的に取り上げたもの。2012年3月東京での記者会見を皮切りに爆発的な話題を呼び、首都圏のTV、新聞、ラジオ、ネットなど全メディアで取り上げられ、その露出広告費換算は4日間で3億円の大ヒットとなりました。その後、ショートショートフィルムフェスティバルの観光庁長官賞も受賞し、観光客も初年度400万人増加、牡蠣やタコなど連携産品の生産販売も増え、地元経済効果も上がり、広島県全体のマスコミ露出は広告費換算で初年度200億円超えとなり、地域ブランド向上に大きく貢献した。

成功要因の一つは、企画重視。通常なら先に行うはずの媒体選択(TVや新聞など)を後回し。企画を詰めた上で次にどうすればTVなどマスコミがこの企画を取り上げるか?どういう現象が起きれば取材に来るか?を徹底的に追求。誰もが面白がるコンテンツを作成 TVでのニュースネタとしての価値を高め そこからネットで拡散させていく 方法を選択。
それを実現するために、広島出身で、ツイッターのフォロワー数100万人を超えていた人気タレント有吉弘之さんを登用。勿論、今回の自虐的なネタで笑いを誘い、注目を集める点でも毒舌で人気の有吉氏はピッタリ。「共感と炎上」の境界線を狙っていたので、仮に炎上したとしても「おしい」に一文字加えて「おいしい」に変える県民運動にしていくリカバー作戦も功を奏しました。
さらにキャッチコピー等は、県観光課も農林水産課も産業振興課も活用できるので、縦割り行政を横に串刺しにして全体での露出度増大にも成功しました。「賛否両論」でTVやSNSなどメディアを活性化させ、同時に行政を中心に広島県全体をつないで県の良さを県民自身にも再認識してもらう・・。戦略的な広報が成功した事例と言えます。

事例2京都府「もうひとつの京都」

樫野氏は京都府では2014年に「もうひとつの京都」キャンペーンを打ち出しました。京都府観光客は年間約7000万人(当時)ですが、京都市が約54000人。つまり京都市以外の地域にはあまり人が訪れていないのが実態。そこで京都市観光の引力を周辺自治体に広げるために「もうひとつの京都」を打ち出したのです。

広島県のような自虐的に笑いを誘い注目を集める手法ではなく、地域ブランドの王様・京都では「格」を重視。そこで京都の歴史と風情に相応しく賞味期限の長いコンテンツに。映像コンテンツの訴求力は大きいが、インパクトが強い分、賞味期限が短い。一方で、音楽コンテンツになると非常に息が長い。音楽自身が主たるコンテンツにもなるし、映像に張り付いた脇役にもなれる。車中でも聞けるし、何十年経っても錆びない楽曲はたくさんある。この「格」と「賞味期限の長さ」という特徴を活かし、京都府では音楽を軸としたPRキャンペーンを企画したのです。

そこで抜擢されたのが、世界的バイオリニストである葉加瀬太郎さん。葉加瀬さんが作曲した組曲「もうひとつの京都」には「茶かほる」「懐かしの里山へ」「天とつながる海」があり、この曲とともにそれぞれ2015年の海の京都博、16年森の京都博、17年のお茶の京都博を実施しています。楽曲の楽譜は 京都府内の中学や高校に配布 吹奏楽部や合唱部で使われコンクールも開催 さらに駅舎やコンビニの店内放送へ と府民生活に広がった。このように「誰もが知っている著名人」「誰もが使いたくなる楽曲」はバラバラに動きがちな都道府県と市町村をつなげる求心力を持ち、さざ波のようにゆっくりと確実に各地で広がる効果があります。

成功している自治体発の広報は「自治体外に発信すること」を目指すのではなく、外部からの反応も受けながら、「住民自らが発信主体になる」ことが目的になっている。そして発信主体になることで住民同士もつながり、結果としてまちが活性化していくのです。

※参考図書「リクルートOBのすごいまちづくり」(SRRIかもめ地域創成研究所 世論社)

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