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2021年07月15日

選択肢のない人類の生き残り戦略

前々回は、他動物と比較して、人類は体毛がなく皮膚が薄いのは、表皮機能を最大限発揮させる方向に進んだためであること、を展開しました。
前回は、人類は自然からの波動を全身の皮膚で捉えて、自然に包まれる充足感を作り出し、過酷な状況下でも生きる活力につなげたことを展開しました。
今回は、その人類の取った生き残り戦略を生物の進化の中で検証していきましょう。

脳は感覚機能からの様々な情報を集約し、そこから的確に行動するための司令塔です。
人類は五感だけでなく皮膚からも外部環境のより微細な情報を処理するようになり、必然的に脳の容量を大きくすることで生き残る戦略を取ってきました。
さらに皮膚は感覚機能以外にも、脳に効果的な作用を働かせているかもしれません。

表皮には紫外線を防御するウロカニン酸という物質がある。紫外線をマウスに照射したところ、このウロカニン酸が増えた。それだけなら紫外線を浴びたらメラニン色素が増えて色が黒くなるのと同じで、さして驚く必要はない。
驚くのはその後の過程だ。増えたウロカニン酸は血中に放出され、脳に達する。そこでウロカニン酸はグルタミン酸になり、記憶や学習の中枢である海馬、そこで重要な役割を果たしているNMDA受容体を活性化させる。その結果、マウスの学習能力が高くなった。(「サバイバルする皮膚」傳田光洋著:河出出版)

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人類の皮膚にもウロカニン酸は存在します。マウスと同じことが起きるかどうかは未確認ではありますが、それでも体毛をなくし皮膚機能を復活させた人類が、隠れ住んでいた洞窟から日中外に出るときに、皮膚はさらに脳の能力を上昇させる後押しした可能性があるのです。

人類は足の指が先祖返りしたために木から落ちてしまったサル。本能に加え、サル時代に手に入れた共認機能を駆使しても圧倒的な自然外圧に対応できず、何とか観念機能を獲得してようやく生き残ることができた。その際に皮膚機能も最終的に観念機能を強化する≒脳の大きくする一点に可能性収束しました。

一方で生物界には「表皮感覚」を捨てる戦略を取るものもいます。例えば全身を防御するために固い殻で覆った節足動物。これは身体表面で外部状況を感知する機能を捨て、代わりに「視覚≒眼」と「触覚≒触角」機能に集約・発展させる戦略です。それでも昆虫の中にはハチやアリのような精密な巣(≒建造物)を造り、複雑な社会体制を構築するものもいます。

写真はコチラからお借りしました

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中南米にいるハキリアリは、抗生物質も駆使しながら、木の葉っぱを小さくしたものを巣に持ち帰ってキノコの一種を栽培する「農業」を行っています。しかし彼らの脳の細胞の数は10万からせいぜい100万個。人間は1500億個。ネズミでも1億個。知性は脳の大きさで決まるような錯覚がありますが、ネズミの100分の1の脳細胞で社会性秩序を維持し農業を営むことが出来るのです。
4億年前に出現した昆虫の現在の繁栄ぶり、その種類の多さを考えると、表皮感覚を捨てて、小さい脳のままで生きていく戦略はむしろ成功していると言えるでしょう。

実際、原生人類は、数万年前に存在していた亜種もいなくなり、Ⅰ種類だけです。昆虫の種類は、確認されている生物種の半数以上を占める約100万種と言われていて、昆虫はこの種の数だけ生き残りの選択肢を持っています。ここからすると人間が選んだ戦略は、後戻りのできない一本道。つまり人類は、観念機能の発達しか残されていないと言えます。

生物に高等も下等もありません。生物の強さは、種として置かれた環境で生き残れるか?
その意味では豊富な種類で生き残る選択肢を持つ昆虫に対して我々人類は、観念機能が弱ってしまえば即自滅、に近い滅亡につながる脆弱な生き物ということなのです。
※参考:「サバイバルする皮膚(傳田光洋著:河出新書)」

 

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