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2022年05月24日

【今週の注目情報】母数はわずか「0.0016%」。新聞社の調査が“世論”となる違和感

今年の憲法記念日に全国紙各紙が「憲法改正」に関する全国世論調査の結果を公表しましたが、中には回答者が2080人(総人口のわずか0.0016%)の調査結果も「全国世論」として利用されていました。マスコミが発表している数字…どこまで信用していいものか?

『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこさんが考察しています。
リンクより転載します。

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■世論調査の信憑性
昭和22年(1947年)の施行から75年を迎えた5月3日の「憲法記念日」、全国紙各紙は「憲法改正」に関する全国世論調査の結果を発表しました。もともと自民党の広報紙として憲法改正を推進する立ち場を取って来た読売新聞の世論調査では、「改正する方がよい」が60%となり、昨年4月の前回調査の56%より4ポイント上昇し、過去最多となりました。「改正しない方がよい」は38%、前回調査の40%より2ポイント減少しました。

また「改正する方がよい」と回答した人の中での改正点(複数回答)は、「自衛のための軍隊保持」が45%で最多、大災害などの「緊急事態への対応」が38%、「教育の無償化」が36%と続きました。しかし、戦争放棄を定めた9条1項については「改正の必要はない」が前回調査と同じく80%に上り、たとえ改憲派であっても「9条1項には触れるべきでない」という考えの人が大多数であることが分かりました。

一方、読売新聞とは逆の立ち場を取る朝日新聞の世論調査では、憲法を「変える必要がある」が56%となり、昨年の前回調査の45%より11ポイント上昇して過半数となり、こちらも過去最多となりました。「変える必要はない」は37%で、前回調査の44%から7ポイント減少しました。前回調査では賛成派と反対派が「45%対44%」と拮抗していましたが、今回は「56%対37%」となり、大きく風向きが変わりました。

(中略)

続きましては毎日新聞の世論調査ですが、こちらはちょっと面白かったです。毎日新聞では「岸田政権下での憲法改正に賛成か反対か」という限定的な設問を用意し、その結果、賛成が44%、反対が31%となりました。これのどこが面白いのかと言うと、毎日新聞が2020年4月に実施した「安倍政権下での憲法改正に賛成か反対か」という世論調査では、賛成が36%、反対が46%と、今回とは逆の結果が出ているからです。

(中略)

「全国紙が実施した全国世論調査の結果」と言われると、あたかも全国民の意識が反映されているかのように錯覚してしまいがちです。しかし、いくら設問の文章が違うとは言え、これほど各紙で差が出てしまうのですから、これは全国民の意識が正しく反映されていないことを意味します。

たとえば、今回の読売新聞の記事を見ると、「読売新聞社は憲法に関する全国世論調査を実施し、憲法を『改正する方がよい』は60%(前回昨年3~4月調査56%)と、郵送方式となった2015年以降で最も高かった。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイル発射などによる安全保障への関心の高まりを反映した。」という書き出しなので、読売新聞しか読んでいない人は「なるほど!全国の人たちはそう考えているのか!」と思い込んでしまいます。

しかし、実態としては冒頭にもあるように、今回の調査で憲法改正に「賛成」と回答した人のうち、38%は「緊急事態への対応」、36%は「教育の無償化」と、地震などの災害対策や教育問題を「賛成」の理由に挙げているのです。

しかも、

今回の読売新聞の全国世論調査は、全国の有権者3000人を対象にアンケート用紙を郵送し、そのうち期限までに回答があった2080人のデータを集計したものなのです。いくら日本が人口減少していると言っても、日本の人口は昨年末の時点で約1億2544万3000人です。このうちの2080人は、わずか「0.0016%」に過ぎません果たしてこれが「全国民の意識の反映」と言えるでしょうか?

結局は、それぞれの世論調査を実施した媒体が、そのデータを世論誘導に利用するということ。
このような数字の扱われ方を見ていると、「統計は期間の取り方や比較する対象の設定によって、良いようにも悪いようにもいかようにも表現することができる代物である。」ということを肝に銘じる必要があるのだろうと感じます。

つまり、その数字が何を意味するのか?を新聞やテレビの解釈に委ねていては、数字の奥にある現実や実態を捉えることができないということ。社会で今何が起きているのか?ということは、日々生きている肌感覚と照らし合わせて、自分の頭で探索しなければ見えてこないということを痛感させられます。

参考:母数はわずか「0.0016%」。新聞社の調査が“世論”となる違和感
   ウソつきな統計、科学的な占い

 

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