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2023年03月02日

先端企業の戦略(3) ~・企業が「戦う場」とは①・~

■家族的な会社の「戦う場」は?

企業が生き載っていくために大事な要素は何でしょう? いろいろありますが、その企業が「どこの場」で戦う(稼ぐ)かは、非常に重要な要素ではないでしょうか。

とはいえ「戦う場」は企業によってまちまちです。地方の限られた地域がテリトリーである会社なら、その地域に合う商品・サービスが必要でしょうし、従業員もその地域の実情をよく分かっている人(たとえば地域の人間関係をよく知っているなど)を採用する方がいいでしょう。そんな会社は小規模で(2、30人から150人前後まで)、疑似家族的なつながりが特徴です。

例えば、会社代表が「社員のA君はお子さんが学校に上がる歳だから、残業をがんばってもらって業代で稼いでもらおうか」と考え、実行すればどうなるでしょうか。疑似家族的な会社なら、従業員Aさんは「ありがとうございます! がんばります(いい会社だなあ)。」となるのではないでしょうか。得てして、こういう社内の話は、社員やその家族によって地域に出ます。そしてこの会社の地域評価も上がります。

逆に、そんな地域に根差した人たちに対して冷徹に扱うような働かせ方をすれば、すぐに悪評が立ち、地元からマイナス評価を得てしまいます。

■大企業の「戦う場」は?

では、都市に本社がある大企業、世界的規模で事業を展開している名だたる企業はどうでしょう。そんな企業の上司が部下に、上記のような「子どもが進学年齢なんだろ? 残業して残業代で稼げ。それがうちの会社だ」なんてことが公になれば、その大企業は大炎上になるはずです。「なんて前時代的な企業なんだ」と。

残業の話以外でも、上司が部下に対して「みなまで俺に言わせるな。言わずとも俺の言わんとしていることを汲み取ってくれ」とか「俺の酒席にお前は付き合えないのか」なんて発言があるものなら、国際的な大企業としては失格で、ヘタしたら訴えられます。訴えられないにしても、人事・人材活用やの面で他者に比べて大いに不利になり、その会社の衰退の一因になりかねません。

ですので、今の大企業はこの辺りの社内カルチャーと呼ばれるところは現在、コンプライアンスの観点から見直し、徹底的に常時「改善」しています。専門的には「D&I(多様性と包摂)」という視点で対応していこうとしています(これは次回詳しくやります)。

疑似家族的会社なら+評価、強みになることでも、大企業では真逆の事態になります。「これは疑似家族的会社がいい、大企業はダメだ」とか「大企業の在り方の方が正しい」という2項対立ではありません。その会社の「戦う場」によって対応しなければ、その会社は生存できないということです。

■で、どっいがいいの?

この「『戦う場』による会社の違い」論を出すと、「じゃあ、そんな利益目的で会社はポリシーをコロっと変えていいのか。家族的な会社の方が儲かるとなれば、多様性と包摂とやらを捨てて、そっちに転ぶのか」という指摘も出てきます。これは明確な答えを出すのがとても難しい指摘です。

というのも、企業や会社は利益を求める集団です。その集団が存続していくためには、社内社外さまざま関係を築かなければなりません。もし自らの組織が存続していくために新しい観念や考え方(疑似家族的、多様性を認めるなど)が必要だと思えば、そこに収束していくのは必然です。

企業や会社も社会の一員ですから、社会の「向かう先」に関心があります。企業や会社によってはその「向かう先」に適応するまでまで時間がかかるかもしれませんが、それを「遅い」と言って急がせるのは、それこそ多様性や包摂の否定につながるのではないでしょうか。

例えば、イスラム教地域の会社が欧米流のSDGsを受け入れるとしたらどうでしょうか。実情を考えれば、いきなり欧米レベルまで行くのは難しいかもしれません。しかし、そのことに対して、欧米のNGO等が「努力が足りない!」というふうに糾弾すれば、逆に反発を招いて、その地域で変化を受け入れられる可能性が低くなるでしょう。

なんだか奥歯にものが挟まったように感じるかもしれませんが、元々、D&Iやジェンダーなどの観念は「平等性」「男女」「人権」などという欧米発の近代的な考え方から発生しています。それを世界共通だと思うのはとても危険なことなのです(私たちは今、そんな危険な衝突を生みかねない時代の入り口に立っています。たかが企業や会社のことを考えるにしても、その奥行きはとても深いのです)。

疑似家族的、現代の大企業的な組織、どちらがいいとは一方的に決めつけられない、ということです。

とはいえ、現代資本主義の大通りで企業が勝負するなら、大企業がしのぎを削る「場」のルールでやりやっていかなければ、勝負参加の資格する与えられず、リングの外に退場させられます。

少し抽象度の高い話になりましたが、次回、日本の国内企業から世界へ出ていった企業メルカリを取り上げ、同社が今回の記事と同じ問題に直面して、そこから抜け出した事例として取り上げたいと思います。

 

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