2011年02月03日
【元気な会社】シリーズ ~ハッピーおがわ、相互扶助経済社会の幕開け~
【元気な会社】シリーズ ~ハッピーおがわ、相互扶助経済社会の幕開け~いうことで、
シリーズ第8弾は、介護用品をつくる『ハッピーおがわ』さんです。
0.プロローグ
1.板室温泉大黒屋
2.あらき
3.辻谷工業
4.キシ・エンジニアリング
番外編・元気な会社は日々のやり取りも素敵☆+゜
5.未来工業株式会社
6.小ざさ
7.伊那食品工業株式会社
8.ハッピーおがわ←今ココ
9.医療法人鉄蕉会亀田総合病院
10.沖縄教育出版
11.まとめ
『有限会社ハッピーおがわ』は、広島の呉にある、介護、ユニバーサル用品製造販売を行っている会社です。
この会社の一番の特徴は、お客さんの要望に徹底的にこたえること。たとえそれで、赤字が出ても、ということです。実際赤字続きで、何度も倒産しそうになりました。そして、そのたびに、その志と熱意に共感された方々から援助の手が差し伸べられて来たのです。
市場原理から見ると、一見矛盾しているような現象ですが、なにか新しい社会の仕組みを感じられずにはいられません。そこで、この現象は未来の、どんな社会の仕組みに発展しそうなのか?を考えてみたいと思います。
続きの前に・・・
↓ ↓
☆☆☆ハッピーおがわの歴史
小川社長は明治元年創業の裕福な老舗呉服問屋の5代目です。介護服に関心を抱いたのは、祖母が寝たきりになったのがきっかけです。その当時、おしゃれだった祖母に着させるものがガーゼの寝間着しかなかったのです。その祖母から、『なにか私でも着れるオシャレな衣服をつくっておくれ。』と頼まれたのです。
ここで全国の問屋を探しましたが、どこにもそんな商品はなかったのです。このような、おしゃれな介護服を求める人はたくさんいるのに、その期待にこたえる製品はないという状況だったのです。そこで、本当に困っている人の服がないのならば『自分がやるしかない』と決意し、富裕な老舗の呉服店を捨て、介護服の開発に全力を注いだのです。
1987年、高齢者・身障者向けの衣服の製作を開始。
しかし、先の祖母の依頼にも、その後倒れたジェントルマンの祖父にも、残念ながら新製品は間に合いませんでした。
☆☆☆相手のための徹底した追求と利益を度外視した価格構成
困っている人がいれば助けてあげたい。
苦しむ人がいれば少しでも楽にしてあげたい。
体の不自由な人が少しでも使いやすいようなものをつくってあげたい・・・
そんな純粋な気持ちで製品をつくり続けている会社があります。
商品は、高齢者や体の不自由な人のための下着や洋服、寝たきりの人のためのマットレスなどです。ほとんどの商品は、一品一様のため、なかなか採算が取れないので大手企業は手をださないのですが、困っている人には、なくてはならない製品なのです。
このような会社のため、こまった人からの要望があれば、素材開発も含めて、どんな要望にも応えようとするのが『ハッピーおがわ』さんです。例えば、
『この子が履ける靴下をなんとか作ってくれませんか?』とある両親が目頭を赤くして頼みにこられました。理由は、その子は、リュウマチと皮膚性の難病を持つ子で、普通の素材の靴下では、履いているうちにかぶれたり、出血したりしてしまうからです。そして、小川さんは素材開発からはじめ、半年がかりで製品を完成させました。
その値段は、たった1260円です。開発コストがかかったからといって、何百万もの値段を付けたのでは、その人は買うことが出来ません。それでは、必要な人が使うことが出来ず、我慢してしまうことになる、というのが理由だそうです。
このような活動のため、多くの利用者からその性能、価格にわたって、感謝の手紙.が届いています。
☆☆☆相互扶助経済社会の幕開け
このように、ハッピーおがわさんは、多くの人に必要とされ、その期待にこたえる経営を続けています。そうすると、採算の合わない製品もあるので、赤字なることもあるのです。市場原理からみると決して優秀な会社ではありません。しかし、多くの人に感謝されるその活動は、高く評価されています。
そしてただ評価されるだけではなく、現実に、製品を買った方々ではなく、この活動を評価するそれ以外の方々が、資金援助を申し出、その結果会社が存続できているという側面も持ち合わせています。この資金援助は、製品を必要とする方々への、間接的支援というということになります。
ここで歴史を振り返ると、日本では古くから共同体の中での相互扶助という本源的は支援活動がありました。これには、金銭的なものも活動提供的なものも含まれていました。そしてこれらの活動の前提となる共同体が崩壊した、近代市場社会の発達の中で、『福祉』という概念や制度が出来上がってきました。
これにより、相互扶助的な活動も市場経済のなかに取り込まれ、その本源性はなくなってしまいました。その結果、たとえ人の役に立つものでも、儲からない製品は造らないという、非人間的な判断を平然と行うようになったのです。もしくは、納税者の意思とは無関係に、官僚の判断で税金を投入して福祉市場を作り上げてきました。
ここで、先の間接的な資金援助について考えてみると、市場経済の中の福祉に比べれば、はるかに共同体的な本源性を持ちあわせていることがわかります。そこには、税金とは比べ物にならないくらい、支援者の本源的意思が反映されているからです。
たとえば、何に使われるか解らない税金を納めるくらいなら、自ら評価した企業に支援金を送るほうがはるかに充足できます。また、支援されるほうも、できる限り期待にこたえることによって、資金も得られみんなの役に立つのであれば、活力も出ます。
このように、ハッピーおがわさんの事例は、古い市場原理を超えていて、みんなの評価がすべてという共認原理をもとに、相互扶助の精神で経済活動を再編成していく可能性を秘めているのではないかと思います。
これは、
相互扶助経済社会の幕開け・・・
なのかもしれません
- posted by sinsin at : 21:38 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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