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2020年04月29日

ランチェスター戦略 ~弱者は人間関係に分け入っていく戦略~

コロナ騒動が依然続いていますが、これが終息したとき社会の状況は大きく変わっていそうです。少なくとも政治家も、学校の先生も、医者も頼りにならないことは明白。自ら考え、追求する「自主管理」の志向が強まるでしょう。したがって益々、戦略的思考が重要になります。その意味で以前記事にしたランチェスター戦略を再度取り上げます。その時は豊臣秀吉やナポレオンを事例としましたが、今回は現代でも活用されていることを紹介したいと思います。
改めてランチェスター戦略の特徴は、圧倒的1位の企業が取るべき「強者の戦略」と、2位以下の弱者の戦略」をはっきりと区別したこと。そして何より世の中の企業のほとんどは2位以下。なので中小企業や個人事業主が取るべき戦略は「弱者の戦略」ということになります。まずは「強者の戦略」とは?

「強者の戦略」
1.総合1位主義・全体1位主義
2.市場規模が大きな商品・地域・客層を狙う
3.商品・地域・客層の幅を広くする
4.TVなど派手なマスコミ広告宣伝を使う
5.商社や問屋ルートで全国の小売店へ一気に間接販売
6.設備が重装備
7.後発や2位、3位のマネをして潰す

改めて見るとえげつない手法もあります。しかしこれが1位の特権でもあります。
一方、「弱者の戦略」はどうでしょうか?

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ポイントを絞ると次の4つになります。

「弱者の戦略」
1.差別化   :弱者は強い会社と違うことをする
2.小さな1位 :地域1位、部分1位、何かで1位
3.一点集中  :弱者はあれこれしない、一つに絞る
4.接近戦   :弱者はエンドユーザーに直接営業する

当たり前ですが、強者とは真逆の戦略です。少数派、しかし一定数いる対象を捉えて縄張りを確保していく戦略です。その違いは、手作り、少量生産、オーダーメイドの視点。大きな組織で動いている大企業からすると、面倒で非効率的な仕事に見えるため、手を出せないのです。今回は、そのうちの差別化に徹底した事例を2つご紹介します。大

事例1「人形のごとう」
博多人形といえば言わずと知れた福岡県博多で作られる伝統工芸品の一つ。贈り物の定番でもあり、昭和の家には床の間や玄関に人形を飾る家も多かったように思います。しかし生活が洋式化し、今ではそんな家も少なくなりました。博多人形の老舗「人形のごとう」もその煽りを受け、大きく売上を落とした時期もありました。しかしそこから弱者の戦略で這い上がってきた、その要因の一つが「博多そっくり人形」です。
具体的には、お客さんから入手した写真やビデオと、その人柄やエピソードを聞いて、そっくりの博多人形をつくるのです。注文して順番が来てから少なくとも3~4か月かかる手作りの人形。そして何と価格は43万2千円(税込:2020年4月時点)。「今時、こんな高額な人形が??一体誰が?」と疑問を持つ人も多いでしょう。お客様の声を読んでみると

「待っていました。期待通りでした。久しぶりに息子のH君と逢いました。自然が大好きで山に行って蛇を持ち込み先生から 大目玉をもらっていた元気なあの子がよみがえりました。ありがとうございました。毎日手を合わせています。大切に大切にします。本当にありがとうございました。」(納品後のお礼の手紙より:愛知県/S.Kさん)

事故か病気かで亡くされたお子さんの保護者のようです。精密にコピーされたものではなく、エピソードからその人の特徴に重きを置き、さらに土で作る人形の温かさもあって、高額でも購入するのでしょう。胸が熱くなります。市場が小さく作業としては面倒なので大手では手を出しにくいのです。

事例2.「宗家くつわ堂
香川県高松市の老舗せんべい店「宗家くつわ堂」の看板商品は「瓦せんべい」。1枚1枚手焼きウリですが、通常商品の他に、オーダーメイドで誕生日メッセージや会社のロゴマークなどをせんべいに押した特注品も作っています。さらに受験シーズンには絵馬型の「合格せんべい」を絵馬とセットにして販売しています。合格の文字が刻印されているのですが、その焼き印の方は学問の神様である菅原道真公を祀る滝宮天満宮で祈願したものを使用し、祈願の様子を撮影した動画をHPで公開しています。神様の力を借りて商品を作るとは素晴らしい。

いずれもエンドユーザーそのものが購入するだけでなく、その人への贈り物として購入する場合も結構あるようです。「合格せんべい」が分かりやすいでしょう。ほとんどが受験生の保護者や祖父母、先輩後輩が購入してプレゼンとすると考えられます。つまり弱者の戦略は、「商品」を通じてエンドユーザーを取り巻く関係社会の中に分け入っていく戦略といえます。そして商品によってより関係深化したことで、リピーターを生み出しているのです。
したがってコロナ後では、自主管理を推進していく路線から見えてくる、様々な欠乏を掘り起こし応えていくことが重要になります。

※参考資料「小さな会社の稼ぐ技術」(栢野克己著 竹田陽一監修/豊倉善晴取材・執筆協力:日経BP)

 

 

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