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2019年06月12日

数理モデルで「弱くても勝つ」ランチェスターの法則

今回は、ビジネスの経営戦略として知られるランチェスターの法則を取り上げます。
「孫子」「アレクサンダー大王」「マーレー」「ナポレオン」に続き、「戦略の教室」(鈴木博毅著:ダイヤモンド社)を参考にして展開します。
独創的な技術者だったイギリスのフレデリック・ランチェスターは自動車製造販売の事業を売却した後、航空工学の研究を重ねる過程で、1914年に「ランチェスターの法則」という数理モデルを発表します。彼の発表した法則は、第二次世界大戦中に連合国側で軍事作戦や攻撃効果の分析と決定に応用され、現代ではビジネスにも活用されています。

写真はコチラからお借りしました

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ランチェスターが発表した法則は二つあります。

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第一法則「一騎打ちの法則」
古代の戦闘のように一人が一人を狙い撃ちする戦いの状態。30人と20人で戦いを行うと、一騎打ちの場合は相打ちであっても30人側が、10人は必ず残ります。

第二法則「集中効果の法則」
一対一ではなく、集団が集団を狙い撃つ状態。10人と5人が同じ性能の銃を持って、相手を集団で狙った場合、1回目の同時射撃で10人のグループは10発の弾丸を発し、5人のグループは5発の弾丸を発射します。10人のグループは相手の弾を5発、5人のグループは10発を受けることになります。
 ・10人に5発の弾丸が襲う  =当たる確率は二分の一
 ・5人に10発の弾丸が襲う  =当たる確率は二倍
集団が相互に見渡せる戦場では、二倍の兵力があるとき、実際には4倍の戦力差になるのです。

二つの法則が示すことは、兵力が少ない側は「一騎打ちの戦い」に持ち込むべきであり、兵力が多い側は「集中効果のある戦い」に持ち込むとより優位に戦えるということ。これを現代のビジネスに翻訳すると、組織が小さい側であるときは「一対一で比較される」状況に、つまり事業担当者個人の実績や能力を評価する場に持っていき、逆に組織が大きい側であるほど「集団で評価される」状況に、つまり組織としての実績と信頼感を評価する場に持っていくべきだと示唆しています。
経営コンサルタントの田岡信夫氏はランチェスターの法則を以下のように結論付けています。

「ランチェスターの法則は俗な言葉で表現すれば『市場独占率拡大の法則は弱い者いじめの法則である』ということに他ならない。つまり常に弱者に集中攻撃をかけること。これがランチェスターの法則の結論であるということにもなろう」(田岡信夫著「ランチェスター販売戦略」)

この結論を元に田岡氏は二つのアドバイスをしています。

一つは自社よりも上位にある企業を「競争目標」と定めながら、攻撃する相手は自社より下位の弱者にすべきだということ。 冷徹なようですが、創造性や品質で上位と張り合いながらも、必ず勝てる下位企業から顧客を奪うことが、占拠率の科学が教える勝利の定石なのです。

もう一つはランチェスターの法則を応用する際に、絶対有利の条件は実はナンバーワンになること。田岡氏は、次のいずれかのナンバーワンを目指すべき、と指摘しています。
①ナンバーワンの地域をつくる
特定の経済圏の特定都市にでも、必ず一位のエリアを持つことです。そうすることでその地域市場の増加に対して、自社が最も恩恵を受ける場所を作り上げることができます。
②ナンバーワンの得意先をつくる
どの顧客でもいいので一番多い受注を任せてくれる関係の顧客を作り上げること。顧客の成長に伴って、自社が一位企業であれば最大の恩恵を受けることになる。
③ナンバーワンの商品をつくる
特定カテゴリ、もしくは専門化した用途でナンバーワン商品を作り上げる。そのカテゴリの需要が増せば商品売上がそのまま伸びていきます。

ナンバーワンは、ランチェスターの第二法則である「集中効果」の恩恵を受けることです。

戦国の日本で天下を統一した豊臣秀吉と、ヨーロッパ中を席巻した皇帝ナポレオンにはある共通点があります。それは「戦場において優勢になる地点をひたすら求めて戦った」ことです。

ナポレオンは彼はイタリア遠征でも、自軍が有利にならない陣地で決して戦闘を始めませんでした。重要な攻略拠点だと思われる場所ではなく、敵より多く味方が終結できる場所が発見できるまで、移動を続けることを選んだのです。フランス軍は局地戦で相対優位を選んで連勝を続け、最後はヨーロッパを席巻する大群に膨れ上がります。

最古の兵法書である「孫子」にも「10倍の兵力があれば敵を囲み、五倍の兵力があれば攻めまくる、兵力が劣っていれば逃げるべきである」との記述があります。

相手と自分たちとの戦力状況を踏まえて、戦い方を変えられることが戦略を立てる上で重要なのです。

 

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