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2010年11月24日

★シリーズ『会社って誰のもの?』4-1~生産の場における「参画期待⇒自主管理」の潮流~

今まで、M&A急増に伴う「会社って誰のもの?」という問題意識から始まり、13回に渡って、追求してきました。
今までの内容をふまえて、最終章では、新しい企業形態 労働のあり方 について考えてみたいと思います。

※画像はコチラよりお借りしました。
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1.株式会社の限界と新しい企業形態の模索
今までの復習も兼ねて現在の会社形態の全体像を俯瞰してみましょう。

<会社形態毎の比較>

中世以降、近世に入って発達した資本主義では、資本(私権)が制覇力となってきました。よって、「資本の集約力」と「企業統治(支配構造)」が主要な課題となります。規模が小さく相互の信頼関係に基づいた合名・合資会社では「企業統治(支配構造)」の問題は少ないですが、「資本の集約力」に限界がある。「資本の集約力」を高めるにはより多くの出資者から資本(私権)を集める必要があります。しかし、それによって、利害関係者が増え、それぞれの利害調整や意見統合に非常な手間と時間がかかるリスクが増えます。つまり、「船頭多くして・・」の状態となり、「企業統治」がうまくいかなくなります。その相反する二つの要素をより高度に統合できた組織=株式会社が最先端機能として勝ってきたのだといえます。
ただ、最先端機能である「株式会社の序列原理による支配構造(株主>経営者>従業員)」も、
①「貧困が消滅→物欲▼→市場縮小」の時代となり、
②生産力が「工業生産(機械が主役)から意識生産(人間が主役)へと移行」し、
③それに伴って統合原理も「序列原理(有無を言わせない私権の強制圧力がベース)から共認原理(仲間や社会からの期待や評価圧力がベース)へと移行」
した現在では、機能しなくなり統合不全の状態にまで陥っているといえます。
また、金融市場の発達と株主利益至上主義となるにつれて、株式市場と企業経営との間で目的(=実現したいイメージ)のズレが生じてしまっています。それに伴って、株式会社の強みである株式公開が逆に弱点に変わりつつあります。

株主の存在が、大企業の弱点になる時代
市場の終焉の社会を迎える今、企業に求められるのは、経営者の意識転換にある。
そして、その可能性は確実に『共同体企業』にある。
騙しや搾取ではなく、現実の圧力の中で、本当に必要とされている物を生産し、消費していくという至極当たり前のシステムへの転換。そのためには、活力・充足・安心の源となる同類圧力が真っ当に働く集団の再生が重要になる。経営者が市場の拡大の幻想を打ち破れるかどうかがこれからの日本の命運を左右するやもしれない。
このような集団再生の可能性としての『企業』という集団形態ではあるが、市場の拡大しか頭にないような、株主に企業の運営を牛耳られてしまっている大企業ほど、この転換の足かせになっていることが予想される。安定基盤としての大企業こそ、実は倒産の危機に瀕しているのだ。逆に言えば、転換のフットワークの軽さから、次代の可能性は中小企業にある。

2.私権圧力が崩壊→共認原理の時代の働き方が必要
ここから言えることは、中世から始まった会社形態の発展を経て、資本主義の最先端ともいえる「株式会社」も、逆にそれが弱点となる時代となってきています。400年前に考えられたシステムでは、時代や外圧に適応できなくなったのだと思われます。

3.「出資・経営・労働」三位一体の働き方の可能性
そんな株式会社の統合不全や活力衰弱とは別に、日本でも新しい「雇われない働き方」の実践、模索が始められています。

協同組合法:出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは10万人を越えている
『共に出資、働く主体 広がる労働者協同組合』2008年10月10日 Tweet       
一人暮らしのお年寄りに食事を届ける県高齢者協同組合の配食センター「配彩那覇」のメンバー=8日、那覇市首里末吉町
 働く人が出資し、事業を起こす労働者協同組合(ワーカーズコープ)を法制化する動きが県内でも進んでいる。10日の県議会で「協同出資・協同経営で働く協同組合法(仮称)」の早期制定を求める意見書案が可決される見通しだ。全国的に福祉や介護事業が広がり、県内も県高齢者協同組合がお年寄り向け配食サービスを展開している。景気後退や非正規雇用の増大が続く中、労働者協同組合の法制化による「雇われない働き方」が受け皿として期待されている。
『ポイント解説 協同出資・協同経営で働く協同組合法』
■どんな法律なのですか
この法律は、協同労働の協同組合、つまり「出資・経営・労働を一体化した協同労働を行う組織」に法人格を与える法律です。
■なぜこの法律が必要なのですか
今の法律では、「労働者」は「雇われる人」で、「雇用労働」しか考えられていません。
 働く人たちや市民が、この社会の主人公として、地域に役立つ仕事を協同しておこし、責任をもって事業を発展させようとしたとき、それにふさわしい法律はありません。
現在、出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは、労働者協同組合、ワーカーズ・コレクティブ、農村女性ワーカーズ、NPO、障がい者団体などに広がり、10万人を越えているとみられていますが、この働き方にふさわしい法律はまだありません。
■この法律のポイントは
●働く人が組合員
「出資・経営・労働」を三位一体にした働き方のための法律で、働く人が組合員です。主体者=組合員となって働く、といった方がいいかもしれません。しかも、定款で定めれば、利用者や地域の人も組合員になれるようにしました。
「労働者協同組合(ワーカーズコープ)」リンク
——————————————————-
上記で注目されるのは、
◇ワーカーズコープ沖縄の山下太一事務局長は「給料は企業で働くより安いかもしれないが、自分たちが主人公で仕事をつくり出すモチベーション(動機付け)が根本的に違う」と説明する。
◇株主や経営者の権限で運営方針が決まる企業と違い、労働者協同組合は出資、経営、労働が一体で、話し合いの中で運営方針を決めていく。
◇出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは、労働者協同組合、ワーカーズ・コレクティブ、農村女性ワーカーズ、NPO、障がい者団体などに広がり、10万人を越えているとみられていますが、この働き方にふさわしい法律はまだありません。


※画像はコチラよりお借りしました
もはや、労働者自らが、働く場の運営に参加し、自主管理していくという「生産の場における(組織や経営への)参画期待 」は大きな潮流として動き出しているように思います。
さて、次回でこのシリーズの最終回となります。今までの流れを踏まえて全体のまとめをしてみたいと思います。ご期待下さい 😀
<今までの記事>
プロローグ~ある日、突然、会社が売却されたら・・~
1.「現状はどうなっている?」
1-1 法人の実態は?~
1-2 会社制度の比較~
1-3 新会社法改正の背景は?~
2.株式会社の歴史
2-1 生産集団の変遷~ギルドとは?~
2-2 現代の企業につながる起源は?
2-3 株式会社=資本主義における最先端様式
2-4 日本における企業集団の歴史・由来
2-5 近代(明治以降)の会社形態の変遷~
3.何が問題なのか?
3-1 高度経済成長期の日本
3-2 貧困の消滅以降の企業の迷走~
3-3 これから可能性のあるいい企業って?~
3-4 「出資・経営・労働」三位一体の経営~雇われない働き方~

 

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