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2010年12月15日

【元気な会社】シリーズ ~ワインを愛し、客に愛される酒屋~

お酒は好きですか?
はい、好きです(゚∀゚)
(飲むのは)
ということで、【元気な会社】シリーズ第2弾は、熊本県の酒屋『株式会社あらき』さんです。

0.プロローグ
1.板室温泉大黒屋
2.あらき
3.辻谷工業
4.キシ・エンジニアリング
5.未来工業株式会社
6.小ざさ
7.伊那食品工業株式会社
8.ハッピーおがわ
9.医療法人鉄蕉会亀田総合病院
10.沖縄教育出版
11.まとめ

「あらき」さんは、いわゆる大規模量販店のような大展開をしている酒屋ではありません。
それどころか、一時は「店を売る覚悟までした」ほどの経営的困難に直面したこともあるお店なんです。
しかし、今は年商3億円に至るまで業績が上がってきただけでなく、超一流の有名シェフが来てイベントをしたり、フランスの栄誉ある賞を受賞したりと、「人に愛される」お店に変貌しているのです。

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株式会社あらきHPより

一体「あらき」さんの何が人を惹き付けているのでしょうか?
本文でその構造に迫りたいと思います。

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■「あらき」の歴史
1991年: 父親から酒屋の跡を継ぎ、店を現在の場所に移す。
2000年: ワインを中心にしたこだわりの商品展開で年商8億円に到達。
2005年: 売上が急減して赤字に陥り、税理士から店をたたむよう持ちかけられる。
2006年: 黒字転換。
2009年: フランスにてシュヴァリエ・ワイン騎士団の最高賞を叙任される。

書籍「ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社」の記述から抜き出させてもらいました。なんと言っても気になるのは2005年~2006年にかけての激変でしょう。なんで売上が急激に落ち込んだのでしょうか?そして、なんで店をたたむ寸前から1年で黒字まで回復したのでしょうか?
順調に売上が上がっていた頃は、ワインを中心にしたこだわりの商品展開でどんどんお客さんが寄ってきていました。しかし、いつの間にか社長の荒木さんのワインに対する情熱が冷め、お客さんとのやり取りは店員任せになっていたそうです。すると客足が徐々に遠のき、ついには常連さんも来なくなりました。
その後も経営不振が続き、とうとう税理士に店をたたむことを勧められるほどの危機に陥りました。それから荒木さんはワインの一本一本を丁寧に扱うようになり、お客さんに聞かれた時に自信を持ってお勧めのワインを売り始めました。すると、お客さんがリピートしてくれたり、別のお客さんを呼ぶようになったりで、売上が回復して再び黒字に転換しました。倒産寸前からたった1年でここまで変化したのです。
■時代の変化がもたらした転換
この話では荒木さんの姿勢の変化に焦点が当たっていますが、実はその裏に社会状況の大きな変化があったのです。
それは「私権意識の衰弱」です。自分にとっての権益、すなわちカネ、モノなどに重きを置いていた時代は確かにありました。しかし1970年に豊かさを実現したことで私権意識の衰弱が始まり、以降バブル崩壊(1991年)、株式三番底(2002年)と経済の限界を目の当たりにすることでますますカネ、モノへの執着が薄くなっていきました。そして、私権意識が衰弱したことで顕在化してきたのが、人と人のやり取りを通じて充足を感じる「共認充足」なのです。

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私権意識の衰弱

「あらき」さんの歴史を見ると、まさにその潮流に沿った動きをしています。
2000年まで調子が良かったのは、まだ「美味しさ」「高いモノ」のような商品価値に魅力を感じていた客層が多かったからです。しかし2002年に私権意識の衰弱がもう一段階進み、モノそのものに魅力を感じなくなったお客さんは、共認充足の得られない「あらき」さんから離れていってしまったのです。つまり、2000年~2005年の不調には社会的な意識潮流(お客さんの意識)の変化が大きく作用していたのだと言えます。
このことは荒木さんの姿勢の転換に大きく影響した常連さんの言葉にも現れています。

「じつは10年前にここに来たときに“荒木さん、ワイン選んでよ”と言ったら、“担当がおりますから、担当に選ばせましょう”と言われたんですよ。20年前には、一生懸命、ワインはこういうものなんだ、と2時間も3時間も話をしてくれて、それでワインが好きになった。なのに、あんな言い方はないだろうと思って、ずっと来なかった」

(「ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社」p.154より)

10年前というのがキーワードで、「それでもモノの価値で売れていたのが2000年頃まで」「2005年には通用しなくなった」ということです。
その後荒木さんが「ワイン一本一本を大事にする」という姿勢に転換します。一見すると商品(モノ)を大事にすることで上手くいき始めた雰囲気ですが、実はここでも「お客さんとのやり取りが増えた」ことがポイントなんです。
「あらき」に来るお客さんは当然「美味しいワイン」を求めています。荒木さんは自分が厳選したワインを自信を持ってお勧めできるようになったのですが、更に「お客さんの嗜好、懐具合も考慮した提案」をすることで本当の満足を提供しています。
例えば、

新規のお客様で、「ちょっとワインが飲みたい」という人のほとんどは、値段は「4,5000円のもの」と言うそうです。好みを聞いて、「まだあまり飲んだことがないけれど」という答えが返ってくると、荒木さんは1000円ちょっとのワインを選んですすめます。そして、おいしいワインの飲み方を説明するのです。
(中略)
さらに話はワインと食べ物の合わせ方に進みます。
(中略)
「その方たち」は、どこかで“5000円のワインを飲みたい”と思っていますから、そのときには5000円クラスのワインをお売りします。ただし、“5000円のワインには5000円の飲み方がありますよ”と説明します」

(同書p165-167より)

荒木さんの話に引き込まれて実際に試した人は、あまりにも言った通りなので荒木さんのファンになり、その後も繰り返し訪れたり、周りの人に噂を広めてくれるそうです。

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イメージ(画像はコチラから)

「ただ儲かればいい」という思いなら、高いワインが売れるに越したことはないでしょう。しかし、今は「ワインの美味しさを知ってもらいたい」と純粋にお客さんの充足を追求するからこそ、『相手の欠乏に応じた適切な答え』を出せるのだと思います。
お客さんが求めているのは単なるモノではなく、荒木さんとの会話そのものの楽しみや、ワインを美味しく飲める適切な答えでした。言わば、お客さんは共認充足の対価としてお金を払っているのであって、商品は共認充足の媒介としての役割になっているのです。
そんな荒木さんの周りには、ファンとなったお客さんだけでなく、一流のシェフや著名人が多く集まり、よくイベントを開催しているそうです。そこに来てくれた人が荒木さんと語り、また新たなファンとなってお店に来てくれます。
どん底からの回復という離れ業を実現した「あらき」さんですが、その裏には『時代の意識潮流に合った経営スタイルへの転換』がありました。何より、そのことで充足しているのは他でもない荒木さんご自身で、単なる金儲け、利益追求では心が満たされなかったことを振り返って「わかってくれるお客様だけでいい。純粋に、“儲けようと思わないことの幸せ”を感じています」と仰っています。事実、売上はピーク時の半分以下の状態ですが、適正な規模を維持することで十分やっていけているそうです。
「いかにお客さんに充足してもらうか」という姿勢で相手の欠乏に応じた答えを出していく。それが「あらき」が愛され、支援される理由であり、経営体として成立する基盤なのです。これは、モノ・カネ・利益・拡大などが跋扈する市場原理から一歩先に出た、新しい時代の経営モデルだと言えないでしょうか。

 

コメント

なるほど。

  • 木坂健宣 ブログ
  • 2011年8月14日 18:59

劇場建設資金を解約したい。証書番号70114(証書あり)‘77.3,24付  証書番号25842(証書なし)‘79.2.8付返事ください。

  • 三宅 宏
  • 2012年1月25日 10:52

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