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2013年02月02日

成功を導く確かな理論~共同体類グループの事例28上司の見ている背後を掴む~

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●上司と部下の意識がすれ違う
先日、先輩のTさんが、上司のHさんと打ち合わせをしていた時のことです。
Hさんは自分が出した指示にTさんがしっかり応えてくれたことを分かった上で、『この問題について今以上の答えはないのか?君自身のアイデアは?』と問いました。
しかし、これを受けたTさんは「言われたことは出来ているはず。
用意したこれで間違っていないはずなのにHさんはなぜ、こんなことをいうのだろう…」と思っており、2人の意識にはズレが生じてしまいました。
打ち合わせを進めていく内にそのズレがだんだんと広まり、最終的には険悪なムードになってしまいました。
「上司と部下の思いが重ならない」こんな状況って仕事の場面ではよく出くわすのではないでしょうか
噛み合わないままに無理やり進行させようとしても、互いを「否定」してしまっている状況なので、事態はなかなか良い方向には進みません。
いつもはとても仲のいい2人なので、周りも「あの2人、大丈夫かな!?」と心配していました。
 
そんな時、Tさんの仕事仲間が「そもそも、今のTはHさんに対する否定視が強くなってしまっていない!?まずは、その否定視を一旦取り去らないとHさんと冷静に話あえないんじゃない!?」とTさんが周りの感覚からズレていることを諭してくれました。
 
一方で、上司のHさんも「部下に期待するあまり、言い方がきつくなっていましたよ?」「部下に『上手く伝える』能力は上司に必要ですよ」と、仲間から客観的な意見をもらっていました。
それから数日後、Tさんのデスクには1通のお手紙が。
差出人はHさん。
その手紙の内容とは以下のものでした。

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この間は、説教くさくなってすまん。
なかなか旧時代の人材指導から転換できなくて・・・反省です。
『どう伝えればいいのか?』
はこれからみんなと一緒に考えていきます。
その前にまず、伝えたかった中身についてまとめておきます。
これをたたき台に、また話し合いましょう。
成果品というのはお客さんの「期待」があって初めて、どんな中身・表現になるのかが決まります。
DIR(ディレクター:建築設計事務所においてお客さんと直に会って仕事をする役割)は直接彼らと会っているだけではなく、それ以外の様々な 媒体による情報(組織形態、特性・業種・担当者の位置・組織の共認状況・・・意識潮流まで)も踏まえてフルに頭を使い、彼らは何を求め(期待して)いるのかを推定しています。
これらの状況認識をもとに仕事の成果が『いい』のか『ずれている』のかを判断します。
他方、職能的な側面からは、自分の領域の技術をフルに活用して「期待」に応えたいという思考に傾斜しがちです。
しかし、現実には、たとえどんなにすごい技術であっても、相手の「期待」をしっかり分かっていなければ、そもそも、良い悪いの判断はつけれません。
そういう意味で“技術だけ”で成果の良し悪しは判断できないのです。
外のお客さんの期待に目を向けてください。そのために、DIRの状況認識を借りればいいのです。
本当はこんなことを伝えたかったのです。

そしてこの手紙を受けてTさんは以下の返事を社内ネットに投稿しました。
 
Hさんから「外へ向かって欲しい!」という真っ直ぐな期待をいただき、活力が沸きました!

現在、Hさんと一緒になって仕事をさせてもらう中で、上手くいかないことが多々あり、チーム会での雰囲気が悪くなってしまうことがありました。
そんな中、自席に帰ってくると、なんと机にはHさんからの手紙がありました。
その内容は、謝罪に始まり、「外へ向かって欲しい!」という具体的で真っ直ぐな期待が込められていました。
この手紙を読み、今までHさんを否定視してしまっていたことへの謝罪の気持ちと、そんな自分へも期待をかけていただいていることへの感謝の念が湧き上がりました。
まずはこの場を借りて謝罪させてください。ごめんなさい。そして、ありがとうございます。

この投稿内容から、上司と部下の関係は無事元通りになったことが分かります。
それでは今回2人のやりとりが上手くいかなかった原因はどこにあったのでしょうか?
 
 
●「仕事」にはいくつもの段階があり、皆がその内容を共有出来ていることが必要!
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                       図1
仕事を遂行していくにあたって、その内容はいくつかの段階に分けることができます。
社会情勢など会社が受けている「外圧」を捉える、というものから、実際の提出物である「成果品」をつくる、といったものまで様々です。
そして、この上流を上司が、下流を部下が主に担当することになります。(図1参照)
この理想形にそって仕事を行うと、みんなが同じ方向に向かうので、仕事が上手くいきます。
 
 
以下はこれに関連する内容のるいネット投稿です。
 
チームやリーダーは何のために存在するのかを考えることから

現実、仕事はチーム(集団)でないと達成できません。
 
これは、人類が外圧に適応する際に、個体の能力に頼るより、集団で適応するほうに可能性を見出したという自然の摂理です。
 
そして、適応のためには、単に個体の寄せ集めではなく、それぞれが役割を担い、統合されていることが必要です。
 
それぞれが役割を担い統合されることを具体的に言うと、チーム内のメンバーが、期待された役割を自分の頭で考え、(人の力を借りることも含めて)自分で突破して初めて、チームの成果=仕事の成果が出るということです。

 
だから、リーダーの役割とは、
 
・部下が役割(彼の課題)を鮮明にとらえているか?
・成果に向かう思考になっているのか? 
・その際の、判断軸が彼の頭の中に像を結んできているのか?
 
を注視すること。
 
そして、そうなってない場合の、状況認識や判断軸などの不足ポイントを注入してあげることです。
 
 
ダメだしとは、この注入作業です。
 
期限が迫れば、洗脳に近い共認形成も行わざるを得ません。
 
リーダーが出す答えの生命部分は、このように彼が自ら考えることのできる、状況認識や構造認識を提示することです。
 
だから、部下に対して、『何でそう考えたのか?』を問うのです。

上司には仕事の段階を誰よりも先に理解し、それを部下に伝えることが必要である、と要約できるかと思います。 
 
 
『主体性も相手発』・・・言われたことだけやる=言われたこともできないという構造

トラブルが起きても、なかなか収束できない場合がある。
 
それは、クライアントからのクレーム(=要望)に、そのつど応えていくだけで、体系的な対応に なっていない場合だ。
なぜか?それは、打合せの経過の中で、当初から共認形成ができていない成果予定が、納品されて初めて現物確認できるようになる。
企画書と実際のイベントや設計図と現実の建物の関係などがこれに当たる。
このような場合、担当者は一見正しく聞こえる『最初に確認しておけば、こんなことにならなかった』という反省をする。
しかし、この思考法がトラブルの原因なのだ。
 
 
ここを理解するには、まず、相手の要望を『全て』事前に確認するということは不可能であるという認識が必要だ。
もし、それを全て事前に正確に出してくるクライアントがいるならば、彼らは自分で企画などを作るだろう。
そうなれば、プロは要らないから仕事もなくなる。
現実場面は、どんなに気を使って説明しようとも、企画書や設計図の内容のうち、クライアントが理解しているのは30%くらいだと思う。
それでもトラブルにならないのはなぜか?
 
 
それは、クライアントが当初理解していなかった部分が、時を経て現実のものとなっても、彼らの当初からある潜在思念と一致しているからである。
平たく言うと、『こういうものを求めていたんだ』という意識になるからだ。
こうなるためには、相手が何を感じ何を求めているのか?
という視点で徹底的に同化して行く必要がある。

 
そこができれば、企画段階の打合せ内容と現物とが違うというクレームにはならない。
そうすれば、相手の期待以上に相手に応えることが出来るということになる。
また、主体性とは、外圧に立ち向かっていく能力といわれるが、現在は、その外圧のほとんどが相手の期待圧力になった。
そうなれば、相手の期待に応える能力は同化能力に規定される。
つまり、主体性とは突き詰めれば同化能力になる。
だから、トラブルが起きるのは主体性が無いからということになる。
相手の言ったことに一つ一つ反応して、言われたとおりにやるのは、一見期待に応えていると見えても、実は言いなりでなんの主体性も無いのだ。
結果、言われたことだけやる=言われたこともできない、ということになる。 
 
ここを超えるためにも、徹底的に相手に同化し、相手の発信以上に相手の期待に応えていく必要がある。
これこそが主体性なのだ。つまり主体性も相手発なのだ。

部下は課題の段階で留まっていてはダメで、お客さんの置かれている状況や外圧という、上流まで掴んでいなくてはいけない、とまとめられるでしょう。
 
 
今回のHさんとTさんの事例ではどうなっていたのでしょうか。
Hさんが期待していた成果品は最新の状況を反映した上で提案されたものでしたが、Tさんは以前の指示どおりの課題を満足するだけの成果品を提出しました。
模式的には(図2)のようになってしまっていました。
 
 
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                       図2
Tさんは「言われた課題はきちんとこなす」ことに意識が向かっていたので、Hさんの本当の期待であった「外圧→状況→可能性」の部分を自ら掴もうとしていませんでした。
 
一方で、上司のHさんは下流の成果品にまで意識は届いていたものの、Tさんが上流まで意識出来ていないことに憤り、勢いもそのままにTさんにその旨を伝えようとしてしまいました。
 
これではHさんの意図は上手く伝わらず、Tさんには「怒られている」と感じられてしまいます。言われた通りの成果は上げているのに、なぜ怒られるのか分からない、といった思いからTさんはHさんに対して否定視するようになってしまいました。
 
つまり、上司は部下に対して上流まで意識を伸ばして欲しいと期待していたが、事前に仕事の段階について上手く説明することができていなかった為、部下はその期待を受け取ることが出来ず、課題に対して注視した段階の成果品を上司に提出してしまったのです。
 
 
そして、この成果イメージのズレが2人の間にだんだんと不穏な空気を漂わせてしまい、仕事が上手くいかなくなったのです。
 
ではどうすればよいのでしょうか?
 
  
●突破口は「仕事の段階をみんなで共有すること」と「できてしまった否定視を解くこと」
 
仕事をしていく中で今回のような事態には遭遇しがちです。
しかし、対策としては次の①、②のキーポイントを押さえればいいのです。
 
 
①「仕事が上手くいくためには、関わる全ての人が「外圧→成果品」までの軸を共有すること」と「それができていない人が居れば、周囲が気づかせてあげること」が必要です。
 
 
②また、それが上手く噛み合わず、仮に人間関係がギクシャクしてしまった場合には周囲がその原因である「否定視」を一旦解いてあげること。
 
TさんとHさんですが、今では2人は昔のように活力をもって仕事をしています。
そして、その影響はHさん以外の他の上司との打合せでも見られるようです。 
 
「最近、Tが変わったよね。昔みたいにどんどんこっちに迫ってこられて『こういうのはどうですか?』なんかの提案がどんどん出てくるから、一緒に仕事していて嬉しくなるよね」とはAさん。
 
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長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。
◆これまでのバックナンバー◆
 
 
成功を導く確かな理論~共同体・類グループの事例・これまでのまとめ①~
↑成功を導く確かな理論①~⑪はこちらをご覧下さい☆
成功を導く確かな理論~共同体・類グループの事例・これまでのまとめ②~
↑成功を導く確かな理論⑫~⑱はこちらをご覧下さい☆
成功を導く確かな理論~共同体・類グループの事例・これまでのまとめ③~
↑成功を導く確かな理論⑲~24はこちらをご覧下さい☆
成功を導く確かな理論~共同体類グループの事例25『こいつらとだったら勝てるかも!』という仲間プラス視~
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