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2013年02月22日

物流業界の可能性は?~中編その3:“コスト削減という枠”を超えて新たな業態の可能性へ~

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画像はコチラからお借りしました

これまで、時代状況と意識潮流と共に変化する物流業界の変遷を見てきました。
‘70年代以前までは、人々の意識は私権(財や地位などの私有権益)の獲得を活力源とした、作れば売れる時代。まさに大量生産・大量消費の時代で、その意識ともに物流業界は拡大していきました。その後‘70年に豊かさが実現されると、人々の意識は「物的な欠乏」から「類的な欠乏(人と人とのつながり、相手に喜んでもらうこと)」へと移行することで、「宅配」という新たな業態が登場しました。
さらに‘90年のバブル崩壊によって、市場縮小がいよいよ顕在化する中で、人々に「必要か否か」という意識が芽生えると共に登場した(と思われる)「ロジスティクス、SCM(サプライチェーンマネジメント)」が流行し、現在も業界の主流となっています。
ですが、今なお物流業界は輸送量の頭打ち、物流コストの削減、同業者の激増、という【3重の圧力】に晒され続けており、本当にロジスティクスやSCMといった取り組みが物流企業にとっての可能性といえるのか疑問が残ります。
そこで今回は、‘90年バブル崩壊後に産業界全体で進められているこの「ロジスティクス、SCM(サプライチェーンマネジメント)」の問題と影響について考えてみたいと思います。
過去記事:
物流業界の可能性は?~前編:物流業界に圧し掛かる3重の圧力~
物流業界の可能性は?~中編その1:トラックが拡大した大量生産・大量消費の時代~
物流業界の可能性は?~中編その2:「宅配」はなぜ新しいのか~

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■物流コスト削減の時代(‘90~現在)
1.時代状況
ロジスティクス、SCMとは何か?に入る前に改めて時代状況を抑え直します。
‘70年に豊かさが実現して以来、人々の物的な欠乏は衰退し、モノが売れない時代に突入しました。そして‘90年バブル崩壊により、市場縮小が顕在化し、ますますモノが売れない中、売上げを上げる為のコスト削減がどの産業でも最大の課題となりました。

【‘90以降の物流業界の置かれた状況】

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これを受けて物流業界では、①モノが売れないことによる「輸送量の頭打ち」、②荷主企業による物流コストの削減⇒「値下げ要求の圧力」、同時に③「同業者の激増→値下げ争いの激化」という3重の圧力に苛まれ、苦しめられることになります。
そんな中、90年代に流通業界が先導する形で、ロジスティクスやSCM(サプライチェーンマネジメント)と呼ばれる“効率化を図る”取り組みが登場し、広まってきました。
一方で、バブル崩壊により、大衆の意識に「必要か否か」という判断軸が芽生えたことも、ロジスティクス・SCMの隆盛を支える意識にもなっていると思われます。
現在、書店などではロジスティクスの専門書コーナーなどができるほど常識となっているようですが、物流業界にとってこれらはどのような影響を及ぼすのでしょうか?


2.ロジスティクスやSCMにより、いっそう苦しめられる物流業界
従来の物流では、仕入れ、製造、販売のようなそれぞれの工程ごとにコスト削減が行われてきました。しかし、‘90年のバブル崩壊を契機に、より一層の経費削減を求められ、従来の部門毎での削減ではなく、“物流全体の流れを一元管理することで効率化を図る”という取り組みが登場します。これが「ロジスティクス」です。

【ロジスティクスの事例:花王】
郊外のドラッグストアに対し、従来であれば各部門が自由に週6回発注していましたが、ロジスティクスを導入し、部門毎に発注日を週2日に設定し直しました。すると、以前より7%多い商品数を折りコン(折りたたみコンテナ)に詰めることが可能になり、流通する折りコン数そのものも7%削減することができました。

花王はロジスティクスを導入し、全体を見直し配送回数を減らすことで、物流コストの削減ができました。しかし一方、配送を行う物流企業にとってはその分仕事が減ることになります。
さらに1990年代後半になると、このロジスティクスを単一の企業内だけでなく、複数企業間にまで拡張する考え方が登場します。複数企業が関わる供給の流れ(サプライチェーン)を通じて管理していくことによって、より全体の効率化を図るもので、これを『SCM(サプライチェーンマネジメント)』と呼んでいます。

【SCMの事例:イオン】
イオンでは、卸売業を介さない取引、つまりメーカーとの直接取引を行っています。メーカーと共同で作成した各種情報をベースに、半年先までの予測値を作成し、これを元に生産、物流、販売等の活動を行っており、2009年度末時点までに240社の食品・日用品メーカーと提携しています。

【物流企業にとってロジスティクス・SCMとは何か?】

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“複数企業が協力してコスト削減に取り組む“こと自体、聞こえは良いですが、複数企業が連携して、物流経路を短縮することになるので、結局は物流企業の仕事は縮小することになるだけです。
つまり、無駄を省くといった「必要か否か」の軸上に一見乗っているようで、実はロジスティクスにせよSCMにせよ、コスト削減という市場価値に焦点が当たっているのです。したがって、モノを運ぶ物流企業にとってはどちらも仕事を縮小に追い込む圧力になっているのです。
だとすると、現在の物流企業の状況は、『荷主企業からの値下げ要求に応え、低単価で耐えしのぐか』、そうでなくても『仕事を縮小してでもロジスティクスやSCMを受け入れて生き残るか』のいずれかしか残っておらず、このままではどちらにせよ最終的には行き詰ってしまいます。


では一体どうすれば良いのでしょうか?
3.突破口は、「時代の意識潮流を掴み、その潜在需要を発掘すること」
ところが一方で、このような市場縮小の中でも拡大し続けている物流業態があります。
それは前回記事(「宅配」はなぜ新しいのか~)で新しい業態だと示した「宅配」です。
あくまで「モノを運ぶ」ということを前提にしたシステムの追求が「ロジスティクスやSCM」であるのに対し、宅配では、単に「モノを運ぶ」という市場的な役割から「お客さんに喜んでもらう」という共認充足を供給するための類的な役割へ転換し、当時誰も目を向けなかった(=儲からない)小口配送に目を向けたことに成功のポイントがあります。(共認充足⇒類的価値の供給)
これは豊かさの実現により、人々の意識が“物的な欠乏から類的な欠乏(人と人とのつながり、相手に喜んでもらう)に移行した”という時代の潮流を捉え、その潜在的な需要に応えたということに他なりません。

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【物流企業の新業態への可能性】

だとすれば、これからの時代の”潜在需要を発掘して、それらに応える新業態を打ち出す”ことができれば様々な可能性が見出せるはずです。
では、次回の記事では、現在の意識潮流を明らかにしながら、その意識潮流に応える物流業界の新業態の可能性や方向性を見ていきたいと思います。
※参考:寺嶋正尚『事例で学ぶ物流戦略』白桃書房(2010年)
   :角井亮一『トコトンやさしい戦略物流の本』B&Tブックス(2008年)

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