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2013年04月16日

社会の期待に応える介護とは?(前編)

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画像はこちらからお借りしました。
当ブログでも、以前医療・介護業界は今後どうなっていくのか扱いました。
日本の医療・介護業界はどうなる?~前編~
日本の医療・介護業界はどうなる?~後編~
今回は介護業界に照準を絞り、介護業界の課題と可能性を追求し、社会の期待に応える介護のあり方を見出していきたいと思います。

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■介護をとりまく社会状況
まずは介護を取り巻く現在の社会状況から見ていきましょう。
●需要の状況
高齢化の進展
2011年の統計では、日本の総人口1.27億に対し、65 歳以上人口はそのうち2900万人で総人口に占める割合(高齢化率)は23.3%となっており、年々その比率は高まっています。今後30~40年で、高齢化率が40%まで上昇していくことが予測されています。
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核家族化の進展
65歳以上の高齢者の子どもと同居率は1980年では68%だったものが、2009年では43%まで低下しています。また、1人暮らしや夫婦のみでの生活をしている高齢者は過半数を占める状況です。核家族化が社会に浸透するにつれ、高齢者の介護を家族や配偶者で担っていくことは困難な生活環境へと移行していることがわかります。
高齢化や核家族化は今後数十年間進んでいくことが予測されています。大きな社会的課題である反面、製造業をはじめ他産業の需要が軒並み低下しているのに対し、介護業界の需要は今後も右肩上がりで増加していくと考えられます。
増大する介護予算
国民の税金で賄われている介護保険の総費用は、2000年で3.6兆円だったものが、2010年度は7.9兆円と2倍以上に増大し、要介護度認定者数も倍以上に増加。2025年になると、いわゆる団魂の世代が75歳になり、高齢者人口は3500万人、介護保険の総費用は19兆円に登るとも言われています。国の財政なしには成立し得ない状況です。
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参考:これからの社会の変化と医療・介護・福祉サービスについて
このように介護業界は、資金やサービス内容に至るまでほぼ全てを国家・自治体の財政に依存せざるを得ない官製市場です。他業界が軒並み縮小していく中で、介護業界は今後も需要は確実に増大し、国の支えが続く限りは安定した市場が見込まれる数少ない成長産業として位置づけられるでしょう。
●供給の状況
介護事業所数、従事者数の増加
高齢者の急増に伴い、介護事業所数も居宅サービスを中心に増え続けており、2000年から10年間で2倍。また、介護従事者も2000年の80万人に対し、2012年には210万人と10年間で約2.7倍となっています。重労働、賃金が低い、人材の流動性が高いといった状況が問題視されてはいるものの、介護サービスの供給量は大幅に増加しています。
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参考:介護職員をめぐる現状と人材の確保等の対策について
相次ぐ企業の参入
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2000年の介護保険法の施行以降、介護業界に企業が参入しやすくなったことをきっかけに、入居系のサービスを中心に他業種からの企業参入が相次いでいます。社会全体として市場が縮小していく中で、安定して成長が見込める将来性の高い市場であることが最も大きな理由でしょう。しかし、3年で9割の事業者が撤退しており、事業として成立させることが難しい業界でもあります。
参入企業は今まで営んできた業種のノウハウを活かし、得意分野のサービスを定額サービスと組み合わる等の手法を採ることで、利益を確保しているようです。
例えば、外食産業で有名なワタミは、食やサービスなどのノウハウを活かして成果を上げています。
参入企業の増加は、供給量の増加の大きな要因のひとつとなっていますが、それ以上に高齢化のスピードが速く、供給側も離職率が下がらない、利益が出せず撤退する事業者が後を絶たないなどの問題もあり、需要の増大に対して、供給は不足している状況が続いているの現状です。
膨大な需要に対する施設不足、職員不足は業界全体に関わる大きな課題だと言えます。
画像はこちらからお借りしました。
■介護保険制度の成立過程と課題
高齢化の進展に伴い、高齢者の介護が社会問題化し、2000年から導入されたのが介護保険制度です。
介護業界では、サービス内容やその報酬、利用者の負担費用はこの制度にかく定められており、事業者の裁量は、他業種と比較すれば、ほとんどないに等しいのが現状です。行政側も激しい変化に応じて、3年ごとに介護保険法の改正を行っています。
高齢化が始まった当初は老人福祉法に基づく措置制度で、一部の困窮者のみを自治体が選んで、自治体がサービスを提供する仕組みでした。サービス供給が少なく、介護疲れによる自殺や心中も発生しました。これを受けて1980年代にゴールドプランが策定され、ニーズに見合った施設と在宅サービスを緊急に供給する事になりました。しかし、バブルが崩壊し供給拡大が財政的に難しくなったことや、一般家庭の利用料の負担が大きい等の問題があり、介護保健制度が導入されました。介護保険制度の大きな特徴は、要介護と認定された人全員が1割の負担でサービスを受けられるようにしたこと、サービスの量を拡大するために民間企業がサービスを提供できるようにしたことです。
最近では、2009年の改正で介護報酬の3%引上げ、2012年の改正で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの導入が図られるなど、労働環境や意識の変化に合わせた改正も行われています。

●介護保険制度の概要0416%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E9%A1%8D.bmp
介護保健制度では、本人負担以外の9割の介護報酬は、介護保険から50%、税金から50%が支払われます。保険料は全国平均月額2990円からスタートし現在は4972円と倍近くになっています。要介護になった方は要介護認定を受け、そこで決まる要介護度に応じて保険でまかなえるサービスの総額が決定されます。要介護度1で165,800円、要介護度5で358,300円が月額の上限です。その範囲であればどのサービスを使うか自由に選べます。介護保険料は40才以上になると支払いの義務が発生し、65才以上になると受給資格があります。保険料もサービス料の個人負担も所得により減免されます。
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0416%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E5%88%A9%E7%94%A8%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D.bmp介護報酬は国が細かく基準を決めて、定額が支払われます。例えば、在宅の身体介護30分以上1時間未満は4020円、要介護度5の人の特定施設入所者生活介護は8180円です。但し、地域により1割程度の単価差があり都市部の方が高くなります。利用出来るサービスは、在宅での身体介護、生活支援、入浴サービス、通所介護、短期入所介護、施設入所介護、福祉用具貸与販売、等があります。介護保険以外の入所計施設には、医療保険で費用が支払われる医療型療養病床や、国土交通省が建設費補助、固定資産税減免を認めるサービス付き高齢者住宅(サ高住)、完全に民間の有料老人ホームがあります。サ高住や有料老人ホームで提供される介護サービスにも介護保険が適用されます。
介護事業を始め介護報酬を受け取るためには、都道府県、もうくは市町村の許可が必要です。事業の内容に応じて人材体制、施設等の基準が介護保険法で定められており、これを満たす必要があります。介護事業を始めるための申請手続きを請け負う社会保険労務士や弁護士事務所もあります。
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介護保健制度の導入で、介護サービスの供給が拡大し、多くの人がサービスを受けられるようになりましたが、一方で、制度自体が次のような課題や矛盾を内包しています。
①保険料も税金のようなもので、税金頼み。国家財政が悪化すれば継続できなくなる。
②高齢化の進展や高齢者の孤立と言った問題の根本的な解決にならない。
③介護報酬が固定されており、供給者の活力が出る仕組みになっていない。

■介護現場の現実
次に、矛盾を孕んだ制度によって現場に生じている具体的な問題を見ていきます。
●人手不足にも関わらず上がらない賃金
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①公定価格で決まる介護報酬
介護報酬は国や自治体が定めた制度によって一律に定められています。国や自治体は、介護事業者が大幅な利益を生み出さないように報酬価格を調整しているため、事業者としても職員の賃上げが困難な状況が続いています。
②効率化が難しく、付加価値を付けにくい産業
介護は人が人の面倒を見て対価を得る事業なので、付加価値をつけることが難しく、製造業のような大量生産によって効率化を図るわけにもいきません。ですから、企業努力によって収益性を大幅に高めることが難しい業界であり、それも低賃金の大きな要因となっています。
介護は肉体的な負担が大きく、社会的にも必要な仕事であるにも関わらず、それに見合った報酬が得られないことは、企業の撤退、離職率の高止まり、サービスの質の低下、従事者の将来への不安や事業者への不満などを招いています。 :-(
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●がんばっても評価が伴わない介護の現場
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ですから、介護職員が提供したサービスによって高齢者の身体面や精神面が改善すると、要介護度が下がり、介護報酬は低くなってしまうという矛盾を抱えています。
さらに、介護報酬が定額で設定されているため、高齢者が求めていても、利益の低いサービスであれば、それを禁じるような事業所や、法律に定められた最低限のことしかしないお役所的風土の強い施設が多くなっています。
また、介護では、高齢者が現状維持できればいいほうで、大半が弱っていってしまうのが現実です。介護の成果は医療のように治療によって病が治るといったような目に見える成果ではない分、評価するのが非常に難しいのも介護の特徴でしょう。
このように介護職員や企業の努力が真っ当に評価されないことによって、多くの事業者や職員の意欲を削いでしまっていることも少なくありません。実際に、やりがいを感じて介護に携わっていても、評価が伴わず、精神的にも体力的にも疲弊して退職していく人が後を絶ちません。
人手不足の原因は賃金が安いだけではありません。努力が評価に繋がらない業界の特性も人手不足に拍車をかけています。
ここまで、非常に厳しい業界の現実をみてきましたが、その一方で、人々の意識の根底に可能性の萌芽を見出すことができます。 :D
参考:「逆進性」、蔓延る介護保険
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■意識の変化
今後の介護業界を考える上では、近年、高齢者や介護従事者の意識の変化も重要な要素でしょう。
’70年以後、社会全体で貧困の消滅に伴って私権追求はもはや第一の活力源ではなくなり、代わって、周りの期待に応えることによって得られる充足(安心や喜び)こそが最大の活力源となっています。
この大潮流は「自分たちの手で作り出せる能力」「自分の頭で答えを出せる能力」への期待、云わば自給期待の潮流を顕在化させました。
現在は大きな意識潮流の変化が起こっている中で若者から高齢者まで、生活の中で自ら課題や役割を担い誰かの役に立つことで充足を得たい!という役割期待、自給期待が大きくなっています。
参考いま、社会の基底部で何が起きているのか-3 新しい活力源=周りの期待に応える充足

●サービス利用者の意識
サービス利用者は「家族の負担は減らしたい」、「できるだけ今まで暮らしていた地域で生活し、できるだけ自分のことは自分でやりたい」、「地域活動に貢献したい」といったが意識が高まっています。
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参考:平成18年版国民生活白書

●従事者の意識
0417%E5%B0%B1%E8%81%B7%E8%80%85%E3%81%AE%E6%84%8F%E8%AD%98.gif働く側の意識としても社会の役に立ちたい、相手に喜んでもらいたいという意識は業界に限らず高まっており、介護業界は高齢化社会の期待に応え、利用者や家族との共認充足を得られる仕事として認知され始めています。年々、介護を「やりたい仕事」として選んでいる人は増加しています。男女比が全産業31.2%に対し介護70~80%と女性の比率が非常に高い業界でもあり、安心・充足を生み出す基盤は大きい業界だといえるでしょう。
介護に携わりたい!と高い活力を持った人たちが、安心して働き続けることのできる環境を作っていくことが、介護業界にとって早急に取り組む課題と言えるでしょう。 :D
参考:今年の新入社員の就労意識に見る人事労務管理のポイント
■まとめ
以上のような状況から、介護業界の可能性と課題を整理すると大きく以下の点が上げられます。
介護業界の可能性
・今後も需要の増大が見込まれる成長産業であること。
・社会的な期待も大きく、人から感謝され、充足を得られる仕事であること。
・誰もが携わりやすい仕事であり、企業参入もしやすい業界であること。
介護業界の課題
・官製市場であり、政策に振り回される業界。国家財政が破綻した瞬間成立しなくなる危険性を孕んでいる。
・収益性が低く、企業が参入しても事業として継続していくことが難しい。
・介護者への身体的負担が大きいわりに賃金が低く、人材の流動率が高い。
・高齢化社会に対する根本解決にならない。
介護は時代の急変の中で形成されてきた産業であり、課題も多い反面、今後、社会的な期待に応えていくこのできる可能性も大きい産業です。次回は、今後の介護業界のあるべき姿を見出すためにも、そもそも介護とはどの様に形成されてきたのか?歴史をぐっと遡って追求していきます

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